瀬名秀明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小中学生のころに読みふけっていた、手塚治虫の『ブラック・ジャック』が、現代に実在したら、という想定で描かれた作品です。
AI医療や冷凍睡眠とiPS細胞、安楽死についてなど、昨今の医療テーマを扱っているだけでなく、原作のストーリーをしっかりと踏まえた物語になっていることや、ドクター・キリコなどの登場人物もその魅力を残したまま描かれていて、とても楽しく読むことができました。
全部で5つのエピソードが収録されていますが、どの物語も、切なくもあり温かくもある原作同様の読後感で、とても満足できるものでした。
やはり、ブラック・ジャックはカッコいいです。 -
Posted by ブクログ
この本とってもよかったです。
科学書の書評集なんだけど、とにかく読んでいると読みたくなる本がたっくさん。
ドッグイヤーをしていったら、気づけばほぼすべてのページの角を折ってました。読み終わったときは角っこが異様に分厚くなってしまった。
この本なにがよいかというと、読むべきベストセラーとか名著100とかそういう感じじゃないんです。
著者の瀬名秀明さんが科学書を読んでほんとによいと思った本を紹介してくれているんだと思います。
それは前書きにも明記されています。
中身もいいんだけど、わたしがとても良いとおもったのは、前書きでした。
「日本では進路を決めるとき、理系・文系というわけかたをするけど(中略)本書があなたに伝えたいのは、科学実験が好きで、読書が好きな人生なんてすばらしいじゃないか、ということなのです。」
このくだりを読んだとき、絶対この本は自分が読むべき本だと直感しました。
女だけど地図は読めるし、配線得意だし、数学大好きなうえに、読書も音楽も好きです。どうして日本じゃそれをうさんくさがられるのだろうといつも思っていたから。
理系・文系分けられないことを感じてる人なんて、この社会にたくさんいるでしょ。それをこんな風にゆるく明言してくれるなんてとっても心地よかったです。
もう一つは、「本のページを閉じたとき、世界はもとに戻るのではなく、むしろ変化してみえることでしょう。」というくだりが前書きにあります。
こういう読書をたくさんしていきたい。
マニアックな本でもいいから、旅に行けるような、目が開くような、そんな本に出会いたい。
そんな本たちに出会わせてくれるすばらしい書評でした。 -
Posted by ブクログ
ヒト型ロボットが実用化された社会。ロボット学者の祐輔と進化心理学者の玲奈は、ロボットのケンイチと共に暮らしている。三人が出席した人工知能のコンテストで起こった事件から、悪夢のようなできごとは始まった。連続する殺人と、その背後に見え隠れする怜悧な意思が、三人を異世界へ引き寄せる――。人間と機械の境界は何か、機械は心を持つのか。未来へ問いかける科学ミステリ。
・レビュー
面白かった。久しぶりにテンション上がりっぱなしだった。哲学は人を狂わすほどに面白くて、やめようと思ってもやめられない究極的な快楽だと思う。瀬名秀明のSFの面白さは『パラサイト・イヴ』で判ったのだけれど、『BRAIN VALLEY』ではSFだけでなく哲学の分野でも面白い小説を書くと気付いた。この作品『デカルトの密室』はSFであり哲学であり、そしてミステリでもある。個人的に最も好きなジャンル三つが含まれているのだから当然面白いわけだ。
こんな文章から、この小説は始まる。
“これは「知性(インテリジェンス)」についての物語だ。なぜこの宇宙に知的な存在が誕生したのか、なぜそのような存在はこの世界を、この宇宙を、そして自分自身のことをもっと知りたいと願うのか、なぜ人々は知能に魅了され、知能に幻惑され、知能の謎に搦め取られて、ときに殺人まで起こしてしまうのか、そういったすべての謎についての物語だ”
『デカルトの密室』というタイトルを見た時、『我思う故に我あり』という概念の密室性に挑んだんだろうと思った。ずっとこのテーマで物語を書きたいと思っていたのだけれど、実際は難しいというレベルではない。それを見事にこれだけ読みやすい物語に落としこんでいるのは見事。
しかし、内容はデカルト劇場の密室だけではない。人間は三つの密室に閉じ込められている。一つは身体。物理的な制約の密室。次に自我。思考する〈私〉を知覚することはできない。そして最後に宇宙。宇宙を認識することは何故可能なのか、認識するから宇宙があるのだとすればそれは観測者を含めて宇宙なのではないか。この三つの密室を巡って起こる事件と思考。そのための舞台として提示されたテーマはロボットと人間。ロボットと人間の違いは何か、考えるロボットが在ったとしてそれはいかにして判別できるのか、人間の自由意志とは何か、ロボットの自由意志とは何か。
まさに知性へ挑んだ物語だった。答えのない哲学に限界まで挑んだ物語として読み応えのある小説だと思う。 -
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ソーシャルメディアに感想なんて書かなくていいんだ、独りでひっそりでいいから、すぐに絶版になってしまう科学書をはやく保護して楽しもう、という本。出版からちょっとだけ時間が経ってしまったので、絶滅種が増えているかもしれません。
この本の毒の無さ、と言うといやらしいですね、よいものをすすめようとする真っ直ぐな気持ちに、恥ずかしながら心洗われるようでした。
中学生ぐらい向けの科学書は妙に面白いと、いつも思っています。ゆえに紹介されているものも既読の本も多いのですが、その紹介を見ても我が意を得たり、という幸せな気分になるし、だからこそ、他のピックアップされた本も間違いがないのだろうと思います。一方的ではあるけど、著者と意気投合。 -
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人類最後の秘境=脳。その研究のために、各分野の気鋭の学者が巨大施設「ブレインテック」に集められた。脳科学者・孝岡護弘もその一人だ。だが彼は赴任早々より、奇怪な現象に次々遭遇する。白き光芒を放つ女、幽体離脱体験、そしてエイリアンによる誘拐。孝岡の身に起きた出来事の意味は?そして、このプロジェクトの真の目的とは何なのか―。超弩級エンターテインメント。
・レビュー
SF作品として、ここまで洗練された作品も少ないと思う。
ノンフィクション学術書を読んでいるようなレベルの豊富な情報量と、それらの密接な関係性をたった一人の作者が書き上げていることに驚く。
前作『パラサイト・イヴ』と同様、学問に興味のない人にとっては目が眩むような専門用語の量であったが、逆に知的好奇心の強い人には、専門的な説明シーンも楽しんで読むことが出来る。
その内容は「脳・心・記憶・人工知能・人工生命・動物心理・神・エイリアンアブダクション・臨死体験」と、多岐に渡り、しかもそれらが関係ない事象ではなく科学的に結びついてくる。
科学を持って宇宙人やUFO、神や奇跡をある種の証明に導いているこの作品は、オカルト嫌いの人や、逆にオカルトを信じやすい人にも読んで欲しいと思えるほどに一つの説として完成している。
主題となっている「神」についての作者の一つの解答も非常に納得の行く面白い説だと思った。「哲学すること」のなかで自分の中の科学と哲学の知識を総動員して神について考えたことがある人には、より結末は解りやすい。
個人的には、終盤にかけての「アイデンティティ」というテーマも物語のまとまりを演出していて素晴らしいと感じた。 -
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神―。その存在をめぐり、古今の賢者が懊悩し夥しい血が流された。科学者・孝岡は、ブレインテックに赴任した日から、大いなる謎の深奥へと引き寄せられてゆく。高度なメッセージを発する類人猿、爆発的に進化する人工生命、死後の光景を語った少年。すべてが、あの男の望みのもとに昇華されるとき、神はその姿を現すのか。小説の新たなる可能性を切り拓いた、記念碑的大作。
・レビュー
SF作品として、ここまで洗練された作品も少ないと思う。
ノンフィクション学術書を読んでいるようなレベルの豊富な情報量と、それらの密接な関係性をたった一人の作者が書き上げていることに驚く。
前作『パラサイト・イヴ』と同様、学問に興味のない人にとっては目が眩むような専門用語の量であったが、逆に知的好奇心の強い人には、専門的な説明シーンも楽しんで読むことが出来る。
その内容は「脳・心・記憶・人工知能・人工生命・動物心理・神・エイリアンアブダクション・臨死体験」と、多岐に渡り、しかもそれらが関係ない事象ではなく科学的に結びついてくる。
科学を持って宇宙人やUFO、神や奇跡をある種の証明に導いているこの作品は、オカルト嫌いの人や、逆にオカルトを信じやすい人にも読んで欲しいと思えるほどに一つの説として完成している。
主題となっている「神」についての作者の一つの解答も非常に納得の行く面白い説だと思った。「哲学すること」のなかで自分の中の科学と哲学の知識を総動員して神について考えたことがある人には、より結末は解りやすい。
個人的には、終盤にかけての「アイデンティティ」というテーマも物語のまとまりを演出していて素晴らしいと感じた。 -
Posted by ブクログ
本書は『パラサイト・イブ』などでお馴染みの小説家、瀬名秀明氏によるサイエンス本の書評集だ。「朝日中学生ウィークリー」紙に連載されていたものが中心とのことで、非常に読みやすい。
一口にサイエンス本といっても様々なわけなのだが、脳科学、生命科学から宇宙、評伝本までが幅広くカバーされている。その中でも本書の特徴は、選書の確かさにあるだろう。ためしに生き物のパートを覗いてみると、しっかりとハダカデバネズミやクマムシなどが選ばれている。これなら他のパートにも期待できそうだ。
また、レビューがすごくコンパクトに纏まっていることにも感心する。本の内容紹介を簡潔に済ませ、その楽しみ方を伝えることに重点を置いているのだ。自分にとって既読の本の書評を読んでみても、ついつい再読したくなってしまう。
個人的には、年末年始に「恥ずかしくて言えなかったけど、まだ未読だったサイエンス本」の類を読破しようと思っている。実はファインマンさんとか、まだ読んでないし。。。本書で紹介されている本も、きっと何冊か読むことになるだろう。
本を読む前に、本を読む。「飲む前に飲む」みたいなことか。皆さま、くれぐれも読み過ぎと飲み過ぎには御用心!