瀬名秀明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
東大で博士号を取った8人たちの学生時代の体験や研究生活の紹介をした本.監修者の好みが反映されたのか生物,医学に関する研究が多い.研究の結果よりも「日常の研究」のプロセスが臨場感をもって書かれているのが,この本のユニークな点.いろいろな研究があるものだと感心して読んだ.特に創薬の研究は難しいが面白そうだった.
多くの人が東大の良さとして,幅広く学べる教養部の存在をあげているのも興味深かった.この教養部を面白い存在にしているのは,優秀な教授陣の力もさることながら,優秀な学生の力でもあるだろう.自分の専門にすら興味を抱けないような学生の多い大学ではこういう制度はうまく機能しないような気がする. -
Posted by ブクログ
読んだー!!!
立ち上がりの部分がすごく面白くて、引き込まれるように読み始め、
途中あまりに難解な哲学とか情報とかの理論に次第に食傷し、
でも、解らないながらにそれを何とか理解しようと考えて、
示唆を与えられたり、構成や文章の緻密さに感動したり、
読み応えのある作品でした。
ロボットと人間との差異を考えていく中で、
自分・人間とは何者なのかとか、
自分たちが見ている世界ってほんとは何なのかとか、
改めてちゃんと考えてみなさい、
という示唆を感じました。
とくに私がいいな、と思ったのは、
ロボットの不気味さとかがたくさん書かれるけど、
最終的にはロボットを好意的に受け止めて、
肯定して、ロ -
Posted by ブクログ
『パラサイト・イブ』で有名な人です。
元々科学者なので内容自体は結構難しいです。
でも、それはそれでOKで、ストーリーとしてはなかなか面白い話です。
ロボットのケンイチが、果たして本当にロボットは成長するのか?
自律行動をとれるのか?意識を持てるのか?という命題に取り組んでいる話です。
いろいろな大事件に遭遇して、結局かなり大変なコトになってしまいますが、最後の結末として、こんなかんじで良いのかなぁ?と思ってしまうのでした。
このシリーズでは、『デカルトの密室』という長編があり、前に読みましたが、なんか結末がどちらも悲しい結末となっていて、作者としてはケンイチくんみたいなロボットが出来るよ -
Posted by ブクログ
ネタバレロボットと人間、倫理と哲学、自我の話。
自分の知識や読解力の弱さを棚にあげるのも心苦しいところではありますが、対象となっている、科学技術、倫理、精神学上の知見が乱立されている印象が強く、全体的に何が示されてたのかよく理解できませんでした。
チューリングテストのコンテスト、中国語の部屋などは物語の舞台としては大変魅力的であり、文章も巧みであるため威風独特な雰囲気は十分に感じられるのですが、その舞台の特殊性がどのように生かされたのか、とどのつまり何のためのエピソードだったのかが最後まで理解できず、もやもやとした消化不良に苦しみました。
作中では舞台の転換や主格(ぼく)の転換が激しく、確かに -
Posted by ブクログ
内容は相当マニアックというか、専門的というべきか。脳の研究者が主人公のお話なので、専門的な記述がたくさん出てくる。シナプスとかレセプターとか、ニューロンネットワークなどなど。
心を探求すると一言でいっても、さまざまなアプローチがある。心理学はもとより、文学や哲学も心を探求する学問だ。その中でも、心にもっとも近いアプローチをしているのが、この主人公が携わる脳生理学だろう。すなわち脳の動きを調べれば、心が分かるという考え方だ。確かに脳と心は密接な関係があるけれど、脳のすべてを解明することで心のすべてが分かるわけではきっとないんだろう。この主人公も、はじめは脳を解明することが心の解明につながると信