瀬名秀明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初は、科学知識をちりばめた医療もののサスペンスドラマという感じで手堅く始まるのだけど、途中からあれよあれよという間にものすごい世界に連れて行かれる。そのあたりを、快感と思うか違和感が勝るか、そこが評価の分かれるところだろう。
僕は、どちらかといえば違和感が勝った方かもしれない。「まさか、それはないだろう。だったら笑うけど」と思ってたことが、小説内で本当に起こっていったから。まして、ラスト近くになると想像を遙かに超えて、読み始めたときとまったく別の物語になってしまった印象さえした。「ドクターX」を見ていたら、いきなり「昭和版仮面ライダー」になってしまったような。「びっくりしたなあ、もう」という感じである。
まあ、でもそんなのは、僕の個人的な先入観から始まったことであり、ジャンル分けなどはあまり意味のあることではなく、仮にジャンルに縛られた読もうとしたとしても、その区分を強引に近い筆力で飛び越えたことに感心するべきなのだろう(同じような感じを、昔「総門谷」でうけたことを思い出した)。それにしても、「びっくりしたなあ、もう」である。
おもしろかったかと言われれば、まあまあおもしろかった。最後の方のドドドドと「やってくる」感じも、気持ちがよかった。でも、小説の世界にどっぷり浸れたかとか、ページをめくる手が止まらなかったかとか聞かれれば、それほどでもない。意欲作ではあるけれど、小説としての完成度を言えば、一流とは言えない感じがした。第1作なのだから、そうかもしれない。アイデアと知識が先行していて、どうも理詰めになりすぎるからかもしれない。
なによりも、もう一つ登場人物に感情移入ができない。みんな、「役割を果たすために存在している」感が強いからだろう。「人間なんてそんなもの」というのが、小説のテーマの一部でもあるのだろうけれど。