瀬名秀明のレビュー一覧
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読み進めながら、隣に次に読む本が積み上げられていくような本。読みたい本がどっさり増えてしまった。
瀬名秀明さんの書評は優しい。本を書いた側にもこれから読む側にも優しい。その本のいいところ、面白い読み方を必ず見つけてくれる。書評に限らず、レビューってそうあるべきじゃないか。
もちろんくそみそにけなしたくなる作品だってあるし、そういうものに評価をつけなきゃいけない仕事もあるだろうけど、でも誰かに何かを紹介するなら、それの面白いところを伝えるべきだ。そうじゃなきゃ面白くない。
瀬名さんの文章は本の出来不出来にも触れる。でもここはこの本にしかない面白さで、しかも必ず読め、それもこう読めとは言わないからいい。気になったらめくってみて、わからなかったら本棚の隅に置いておけば、そのうち読める日がくる。心に余裕のある、いい読書の仕方。
次に何を読もうかと迷ったらぜひ手に取りたい本。これを読めばたぶんもう迷わない。 -
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色々なものを下敷きに書かれているので、ちゃんとした方であれば小松左京を読み、ダンテを読み、日本SF的な素養を身につけた上で読むのでしょうが、山下卓さんがTwitterでつぶやいていたのを見て何も考えずに読みました。。
読み進むにつれて難解度は増していくのですが、どういう訳か同時に文章に引き込まれていった感があります。
きらびやかな言葉が紡がれて色彩さえ見えるようなコンサートの光景、気付かないうちに見てはいけないものをみてしまったかのように背筋が凍るようなダイヴの光景。文字だけでここまでできるものか。
下敷きを知らないのと諸々の用語を知らないので、そもそも理解できていないという要素は多分にあるのですが、こんな本、ストーリー、世界があるのか、と圧倒されるような感覚を味わいました。
また、作品内で描かれた未来の世界も非常に興味深かったです。たぶんにアカデミック寄りに引っ張られた世界だなぁとは思いましたが、こんな未来の姿もあるのかもしれないと考えさせられました。東日本大震災を受けて書かれたという側面も、大いに影響しているのでしょうか。
万人に受ける作品では無いと思うのですが、個人的には凄い本だと思いました。瀬名さんの本をもうちょっと読んでみようかと思います。 -
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小難しい話が続き、分からんなぁと思いながら遠ざかると、ふいになんとなく共感できる部分が出てくるのでまた引き寄せられるの繰返し。
ロボットの知能(あるいは心)を考えるとき、機械からは遠いように思われる哲学の問題が出てくるのは面白い。しかし、人間は自分の枠を広げることは出来ても越えていくことはできないが、ロボットには枠を越える可能性があるとのだろうか。しかし、ネットもロボットも所詮人間が作ったものである以上その枠を越えることは出来ず、個を越えるだけだから、それほど魅力も感じないが。
ところどころ前に解決した事件、という話が出てくるが前作があったのか。そういう「設定」なのかと思っていた。 -
Posted by ブクログ
瀬名秀明さんの作品を読むのは、日本SF作家クラブ会長就任前に書かれた短編集『希望』以来である。本作『月と太陽』は、日本SF作家クラブ会長辞任・退会後に刊行された。その間に何があったのか。現在では公式サイトも消滅している。
『希望』は哲学的問いかけの連続で、僕にとっては難しい作品集だったし、瀬名作品から遠ざかるきっかけになった。久々に読んでみる気になったのは、本作の文庫版を見かけたからである。今回も戸惑うであろうことは、覚悟の上。
「ホリデイズ」。瀬名さんが飛行機の操縦免許を取得したことは知っていた。作中の作家とは、ご自身がモデルだろう。もっと飛びたいけどお金がないとか、あまりに生々しいし、痛々しいではないか。作家としてヒットに恵まれているとは言い難いだけに…。
一押しは「真夜中の通過」。瀬名さんとは母校が同じなので、キャンパス描写が懐かしい。JAXAによる「はやぶさ」のミッションを彷彿とさせる、人工衛星を巡る物語。それは一筋の光明だった。物語だった。こういう熱気を、僕はとっくに忘れている。
ここからやや難解になる。「未来からの声」。タイトル通りのタイムトラベルネタだが、声だけが未来から届いたらしいという設定。本編には、東日本大震災と思われる記述があちこちに出てくるが、それ以前の過去にメッセージを送れるものなら送りたい。
最も長く、最も難解な「絆」。前作『希望』の流れを汲んでいると思われるが、これが瀬名さんが考えるSFの形なのだろうか。結合して生まれた双子にとって、分離することは幸せと言えるのか? 哲学的な上に時代が大きく前後して、まったくついて行けなかったのが正直なところ。日食に関する話だけは興味深かった。
最後の「瞬きよりも速く」は、未来への警鐘と受け取ることもできる。ここに描かれたのは、管理社会のなれの果てか。これに近い研究が密かに行われていても、おかしくはない。後半3編中、リアリティという点では最も訴える1編だろう。
評価されないことへの苦悩をしばしば吐露してきた、作家・瀬名秀明。どうか執筆活動は続けてほしい。僕が作品を受け入れられるかは別として…。 -
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インフルエンザだけを対象に新書としては規格外の五百頁。2009年に世界的大流行した新型インフルエンザを巡って関係各界の専門家が大挙登場しインフルエンザとは、パンデミックとはについてあまねく語り尽くす姿は圧巻である。以下本文引用『子供にワクチンを接種すると高齢者の死亡者数が減る。』『「自分は重症化しないから、罹ってもいいや」と思っていると感染の鎖が続いてゆく可能性がある。その鎖の続いて行った先には、必ず重症化する人が出てくる。』『私たちは自分が途上国の(医療的)弱者とつながっていることは想像できないだろう』
インフルエンザ21世紀 >> 新書版京極夏彦か?規格外の500頁!^^;