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Posted by ブクログ 2016年03月22日
色々なものを下敷きに書かれているので、ちゃんとした方であれば小松左京を読み、ダンテを読み、日本SF的な素養を身につけた上で読むのでしょうが、山下卓さんがTwitterでつぶやいていたのを見て何も考えずに読みました。。
読み進むにつれて難解度は増していくのですが、どういう訳か同時に文章に引き込まれて...続きを読むいった感があります。
きらびやかな言葉が紡がれて色彩さえ見えるようなコンサートの光景、気付かないうちに見てはいけないものをみてしまったかのように背筋が凍るようなダイヴの光景。文字だけでここまでできるものか。
下敷きを知らないのと諸々の用語を知らないので、そもそも理解できていないという要素は多分にあるのですが、こんな本、ストーリー、世界があるのか、と圧倒されるような感覚を味わいました。
また、作品内で描かれた未来の世界も非常に興味深かったです。たぶんにアカデミック寄りに引っ張られた世界だなぁとは思いましたが、こんな未来の姿もあるのかもしれないと考えさせられました。東日本大震災を受けて書かれたという側面も、大いに影響しているのでしょうか。
万人に受ける作品では無いと思うのですが、個人的には凄い本だと思いました。瀬名さんの本をもうちょっと読んでみようかと思います。
Posted by ブクログ 2014年04月13日
小松左京と東日本大震災を絡めた作品集。小松左京と言えば、日本沈没と大震災’95ということで、東日本大震災と関係付けるのには必然性がある。
とにかく作者の小松左京愛に圧倒されました。特に「ミッシェル」の代表3作同時新解釈には口あんぐり。難を言えば真面目すぎるところか。もう少し矛盾があっても良かった気が...続きを読むするが、瀬名秀明らしさは充分に出ていました。
個人的に「Wonderful World」は好きだな。別格扱い。
Posted by ブクログ 2020年02月06日
小松左京への大いなるリスペクトとオマージュは最後のエッセイにこそ熱く語られてはいるが、さて肝心の本編はというと、むしろイーガンの『万物理論』を模したようで、イーガン同様どうにも読みづらかった。
第一短編「新生」にはイントロダクションとしての妙味や謎がふんだんに描かれ、続く「Wonderful Wor...続きを読むld」も震災を経てのSF表現ということで納得できたし、「
エヴリブレス」が作者最高作だととらえる身としては久しぶりに浸った。
しかし「ミッシェル」。力が入っているのもわかるし、十分に練られたストーリーと登場人物造詣も良い。良かったのはこの設定までだ。
音楽演奏表現に「門外」の素人感を感じるし、変に凝った時系列構成も楽しくない。非常に読みづらいのだ。イーガンの場合は作者のその難解への言い訳のような開き直りというか、申し訳なさそうな態度が文間からにじみ出ているので、まだ許せるし、楽しい。
なんか作者のドヤ顔が浮かぶのだ今作は。その難解ぶりを弄したうえで小松左京へのオマージュにむしろ責任転嫁させたようにも思う。第一に小松左京は難しいことを面白く、読みやすいということにこそ最大の敬意を払うべきではなかったのか。偏見だろうか。
Posted by ブクログ 2014年04月23日
あまりの斬新さと難解さのため、素直な小説としての評価は難しいけれど、瀬名さんの深い想いはやはり心を打つし、感銘を受ける。毎回の新しいビジョンの提示はSFの王道と言えるのかもしれない。
小松左京さんへのオマージュと著者自らが語る本作たち。
「果てしなき流れの果てに」を読んだ時の感情が甦った。
Posted by ブクログ 2014年04月07日
読み進めるにつれ、小松左京へのオマージュが濃くなっていく。作者がSF作家クラブの会長に就任したあたりから、作品の文系SFへの傾倒が目立っていたが、本書はその到達点であるように思える。小説を一冊仕上れば、テーマとして取り上げた事象の啓蒙書が一冊書けるはずという作者の持論でいけば、あとがきにも触れられて...続きを読むいたとおり、小松左京の諸作と本書との関連についてのべた啓蒙書のようなものが書かれるべきと思われる。しかしながら、出来れば、次は、別の系統の作品を読んでみたい。