マーク・トウェインのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ個人的に何度も読み直したいと思った本。
例えばです。
私の身の回りにはもう亡くなった人も含め、何人か認知症を患っていました。
そのとき、「日常生活でできなくなってしまったこと」が数多くある中でさえ、人を選んで攻撃をする姿を幾人も目にしました。
大体、人により、(八つ当たりなど)攻撃する対象は限られてるのですよね。弱者に向かう。もちろん当人が一番の弱者なわけですが、当人が元気だった頃の認識で弱者と思われる人間が攻撃対象になる。強い人間にはあまり向かわない。
わたし、何となく見ていたり、その対象になったりして、
「あぁ、自分に対する弱者強者を見分ける力って、結構人間の根源 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私は純粋に、冒険小説としてこの物語を楽しみました。各章ごとに続きが早く読みたくなるように物語が展開されており、ハックと同じようにハラハラドキドキしていました。しかし、冒頭で著者のマーク・トゥウェインが述べているように、この本の主題は単なるハックの大冒険ではありません。一連の物語を通して、著者はものすごく深いメッセージを読者に送っていたのです。最近の小説でも、物語を通して何かメッセージを発信することはよくありますが、大抵の場合はメッセージの方が物語よりも意識されすぎているか、メッセージが高度すぎて物語の面白みが欠けるかのどちらかになってしまっているように思います。この本のすごいところは、メッセー
-
Posted by ブクログ
ハック・フィンとの冒険が終わってしまった。
これが、この本を読み終わったときの最初の感情だった。
この本は、たくさんのものが詰まっている。
黒人奴隷、キリスト教的道徳観、詐欺、集団リンチ等々。
そういう点は非常に興味深く映る。
ただ、なにより主人公ハック・フィンが魅力的なのだ。
自由を求めて、故郷も財産も捨て冒険に出るハック。ハックは人を助けるときや物を盗むとき、それは善いことなのか、正しいことなのか、いつだって一生懸命悩み、考える。賢いわけでも格好いいわけでもない。だが、たまらなく愛しいのだ。
著者は冒頭にこう記している。
「この物語に主題を見つけようとする者は、告訴されるであろう。教 -
Posted by ブクログ
齊藤ジョニーというミュージシャンがいる。彼のファーストアルバムの1曲目が「ハックルベリー」というタイトルで、これを聴いていたら無性に読みたくなった。歌詞の中に「世界のすべてが君の恋人だった」というフレーズが出てくる。この本を読んだ人なら、みんなハックのことが好きになる。だからこの歌詞に共感し、グッときたのであった。
<ハックは宇宙的存在>
この本の素晴らしさは、ハックルベリー・フィンのキャラクターの描かれ方にある。何ものにも染まっていない純粋無垢なものの見方、善悪のジャッジさえも意味をもたない透き通った心は、仏教的に言えば仏陀の境地であり、空がそこにある。目の前に現れるものをただありのま -
Posted by ブクログ
ハックの精神的成長を描いた作品。
黒人奴隷ジムの逃亡幇助をめぐる、
人間的かつ道徳的な「健全な判断を下せる心」と
奴隷制度を容認する南部社会が生んだ「歪んだ良心」との葛藤が素晴らしい。
原子力発電の推進を援護する方々に、ハックが持っているような「人間として何が正しいか」という意識を持ってもらいたい。
まあ表向きにはハックの成長がこの小説のテーマみたいになってるけど、(おそらくそれはトウェインが講演旅行の下準備のノートブックでの言葉がそうさせている。すなわちトウェインは、道徳的危機に際して、へたな修練を積んだ良心などというものよりも健全な判断を下せる心が、より安全に人を導いてくれ -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初に出てくるので、ネタバレではないと信じてタイトルの答えを書くと、淡々と「人間は機械である」を説く内容。哲学だけど、会話調でとても読みやすい。
自分の思考は、自分のものではなく、すべてが環境や気質に依存したもの。他人のためではなく、全ての行為は自分のため。漠然と思っていたことではあるけど、なるほどなぁ。自動機械は「運命」といってもいいかもしれない。震災の時に偽善活動が流行って、折り鶴やら好き勝手な支援品送りつけやらをする人が多発していて、僕も「自分の痛みを伴ってこそ」と募金をしていたけども、結局のところ僕は僕が満足したいだけだった、そうだったんだ。結局のところ、内なる主人を満足させるために -
Posted by ブクログ
ネタバレアメリカ文学を代表する、マーク・トウェインの名作。
岩波文庫の上下二巻。
世界中の少年たちの憧れ、『トム・ソーヤーの冒険』の続編です。
前作の最後で財宝を見つけたうえ、富豪未亡人の養子となったハックルベリー・フィンは、しきたりだらけの文明的生活にやはり馴染めず、ろくでなしの親父の登場とたかりもあり、自由を求めて家出。
それをトムが連れ戻そうとして前作は終わりますが、本作品はまさにそこからストーリーが始まります。
再度の家出で逃亡奴隷のジムと一緒に筏でミシシッピ川を下り、目指すは自由の町ケーロ。
富裕な大地主のグレンジャーフォード家に保護されたかと思えば、敵対するシェパードソン家との抗争に巻き込 -
Posted by ブクログ
傍からみたら最低限の教育も受けていないガサツでしかない浮浪少年ハック。だけれど、その内には勇気と誠実さと、ありのままの自然を愛する豊かな感受性が隠されている。
これらのことが第三者の視点からでなく、すべてハックの行動や独白から読むものに伝わるようになっている。
これが実に見事で、まるで本当に独りの少年が語っているかのようなリアリティがある。
物語の展開を云々することは容易だが、この作品の本質は"冒険"にはなく、あくまで一人の孤独な少年の内面を描き出すことにあると思う。
結末はいかにも創作だが、実はこれはハックの願望を具現化した妄想であるとしてもなんら矛盾しないように思う。
-
Posted by ブクログ
Pipoさん、ありがとうございます!堪能しました。「SFの元祖」(カヴァーより)とか、どーでもいいです。…、ってくらいに、面白かった、です。面白がりながら、ちょっと切なくなったりもしました。例によって引用しますが、「コネチカット生まれのちゃきちゃきヤンキー」「中世円卓の騎士」「アーサー王」「…現代文明を痛烈に批判」、なんて謳い文句を「ほほー、面白い!」と感じる方に、お薦めします。何よりも、マーク・トウェインはジャーナリストだったんだ、ということを、身に凍みて思い知らされました。もちろんパロディではあるけれど、単に「オモシロオカシイ」だけのパロじゃ、ない(これこそ、ホンモノのパロディの真髄です)
-
Posted by ブクログ
実はこの本とトム・ソーヤの冒険は原作を読もうと高校のとき購入し、最初の数行で挫折した辛い記憶があります… 南部訛りの英文なんて高校生には分からないって… しかも出版されたのは1885年。そりゃあ辛いものがありますよね。日本語で読むのは楽だなあ〜 なんてニコニコしながら読みました。
面白かったです。当時の南部の状況も興味深いし出来事が又面白い。正直ハックの置かれた状況は面白いだけで済まされない状況ですがこの精神と肉体の強さはすごいなあ。昔は物が無いから応用力がつくのでしょうか。物事を打開する力だと思います。強かに、そしてまっすぐに(純粋、と言う意味ではなく)生きている。生きる力、と言う事だと -
Posted by ブクログ
「トムソーヤの冒険」で有名な作家の「トム..」の続編的な作品でトムの仲間の一人ハックが主人公の冒険物語。
アメリカ南部が舞台で、暴力的な飲んだくれの親父から逃げる様に、筏での旅に出る。途中出会った逃亡奴隷である黒人のジムも加わり物語は進んでいく。
奴隷制が残るアメリカ南部(特にミシシッピ川)の
人、自然の描写が細やかで、人柄や景色がありありと浮かんでくる。
人への気配りが出来、聖人の様な心の優しいジムと話し方はがさつだけれども、良心を持ち1本筋の通ったハックのやりとりが物語のキモ。
大人の汚さを知り、ある意味それを達観しているジムは、大人の扱い方は心得ていて、物語後半で登場するトムと -
Posted by ブクログ
「トムソーヤの冒険」で有名な作家の「トム..」の続編的な作品でトムの仲間の一人ハックが主人公の冒険物語。
アメリカ南部が舞台で、暴力的な飲んだくれの親父から逃げる様に、筏での旅に出る。途中出会った逃亡奴隷である黒人のジムも加わり物語は進んでいく。
奴隷制が残るアメリカ南部(特にミシシッピ川)の
人、自然の描写が細やかで、人柄や景色がありありと浮かんでくる。
人への気配りが出来、聖人の様な心の優しいジムと話し方はがさつだけれども、良心を持ち1本筋の通ったハックのやりとりが物語のキモ。
大人の汚さを知り、ある意味それを達観しているジムは、大人の扱い方は心得ていて、物語後半で登場するトムと