わかりやすさが最大の魅力
本書の最大の特徴は、難解な金融用語を極力避け、シンプルな言葉で本質を突いている点である。タイトル通り「難しいことはわかりませんが」と前置きしつつも、読者が直感的に理解できるように解説されている。金融の専門書は、時に読者を突き放すような難解な内容になりがちだが、本書はあくまでも「わかりやすさ」を追求している。
例えば、株式投資について「個別株ではなく、インデックスファンドを買うべき」と明確に結論を提示しており、初心者が迷わず実行できる内容になっている。このシンプルな指針は、投資のハードルを下げ、多くの人が実践できる環境を作り出している。
貯金と投資のバランス
著者は、まず生活防衛資金として「半年から1年分の生活費を確保せよ」と説いている。その上で余剰資金をインデックスファンドに投資するという方針を推奨している。これは、資産形成を始める上で非常に重要な考え方であり、リスク管理の基本でもある。
一方で、日本人の多くが「貯金信仰」に縛られていることにも言及し、「銀行預金だけでは資産は増えない」と明確に指摘している。インフレが進行する現代において、ただ銀行に預けているだけではお金の価値は目減りする。そのため、適切な投資によってお金を増やすことが重要であると繰り返し強調している。
インデックスファンドを推奨
本書では、投資初心者が手を出しやすい「インデックスファンド」を強く推奨している。インデックスファンドとは、市場全体の動きに連動する投資信託のことであり、低コストかつ分散投資が可能である。
個別株投資のリスクや、プロのファンドマネージャーでさえ市場平均を上回ることが難しい現実を説明し、読者に「プロを目指すのではなく、市場全体の成長に乗るべきだ」と諭している。特に、米国市場の成長性に期待を寄せており、S&P500に連動するインデックスファンドが最適であるとの意見が述べられている。
保険に対する考え方
保険に関する記述も興味深い。本書では「不要な保険には入るな」と明言している。特に、貯蓄型の生命保険や学資保険はコストが高く、投資効率が悪いため、基本的には避けるべきだとしている。
必要なのは「掛け捨ての生命保険」と「自動車保険(任意保険)」のみであり、それ以外の保険商品は金融機関の利益を優先したものが多いため、慎重に選ぶべきである。このシンプルな保険戦略は、保険に対する漠然とした不安を持つ人にとって非常に参考になる。
個人的には実際の経験からペット保険にも入っていて良かったと思っている。ペット(特に犬猫)の飼育者に限られるが、理由は別の記事で述べたいと思う。
お金の使い方も重要
本書は単に「お金を増やす方法」を解説するだけでなく、「お金の使い方」にも言及している。著者は「お金は使うためにある」とし、ただ貯めるのではなく、価値のあることに使うべきだと述べている。
例えば、経験や健康、教育にお金を使うことが推奨されている。これは、単なる投資ではなく、「人生を豊かにするための資産運用」という視点を読者に提供しており、非常に共感できる部分である。
本書の実践性
本書の優れた点は、単なる理論ではなく、実践的なアクションプランを示していることである。例えば、
楽天・S&P500インデックスファンドなどの低コストETFを購入する
証券口座を開設し、積立NISAやiDeCoを活用する
無駄な保険を解約し、必要最小限の保障を持つ
といった具体的な手順が示されており、読者がすぐに行動に移せるようになっている。金融の知識がない人でも、この手順に沿って進めば、資産形成の第一歩を踏み出せる。
まとめ
『超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』は、投資初心者にとって最適な一冊である。難しい金融理論を排除し、実践的なアドバイスをシンプルに提示するスタイルは、多くの人にとって有益だろう。
特に、インデックスファンドへの投資、保険の見直し、資産を適切に活用する考え方は、誰もが実践できる内容であり、すぐにでも始めるべきものである。本書を読んで、お金に対する考え方をアップデートし、より良い資産形成を目指すことを強く推奨する。