マーク・トウェインのレビュー一覧
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アルコール依存で浮浪者な父を持つ主人公ハックが父の暴力に身の危険を感じ逃げ出すところから冒険が始まった。
筏でミシシッピ川を下っていく中で、黒人奴隷だったジムと再会し一緒に旅を続けていく。途中様々な人との出会いがあり、いくつ命があっても足りないようなスリリングな展開が繰り広げられていく。ユーモラスでもあり、所々笑える。当時のアメリカ社会が垣間見えて興味深い。
ハックの並外れた適応力や、虐待や苦難を受けながらも擦れていない心、当時の常識ではなく自分の良心に従って物事を考える洞察力、生き抜く力がかっこいい。
ジムもジムで、奥さんも子どもたちもそれぞれ奴隷にされバラバラになっている状況でも、人を信じる心や優しさを失うことなくどこまでも前向きで、2人のキャラクターがとても良い。
そんなジムとハックだからこそ、人種や身分の垣根を越えて友情を育むことができたのだろう。
心に残った言葉
「それからあとは、いつでもそのときにいちばん楽なほうを選ぶことにした」
「おかれた場所で最善をつくす」
「筏の上でなにより大切なのは、みんなが満足していて、ほかの人には正直で親切でいること」
「父ちゃんから学んだことなんてなにひとつなかったと思うけど、とうちゃんと似たような連中とつきあうには、好きにやらせておくのがいちばんだってことだけは教わった」
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人間は外部からの影響でしか何かを生み出すことができないという刺激的かつ挑戦的な論が展開され、非常に興味深かった。
特に、善行の話は凄く面白かった。人が善行するとき、その人は外からの目線や、自分の良心に耐えられないなど結局は自分自身を第一に考えているというのは凄く納得してしまった。
人間は機械だとするこの論は一見酷いものだと思うかもしれないが、勇気づけられる人もいるのではないかと思った。とある選択をずっと後悔して悩んでいる人や、自分の勇気の無さに嘆いている人などには救いとなるような気がする。ともかく、これが良い悪いではなく、一つの考えとして吸収できて良かった。 -
Posted by ブクログ
トウェインの晩年のペシミズムの代表作。
サタンと名乗る美少年(彼は天使だという)が村に現れ、人間の文明の軌跡やその愚かさを嘲笑い明らかにする。
善悪とはという問いを起点に、
幸せとは、運命とは、人間とは何なのかという問いに繋がっていく。
サタンが魅せる人間の愚かさのいくつかの描写や緊迫感が見事で、物語に引き込まれた。
いろんな問いがある中で一番刺さったのは、サタンが良心を語るシーン。
人間は良心なんてもので善を選択しているつもりになっているが、カインとアベルから始まり人間の歴史は戦争と殺戮の歴史じゃないか。
ほとんど間違った選択をしている中で正義を振り翳して生きていて、それで得をしているのは一握りの奴らだけ。
良心がなければ善も悪もない。良心なんてクソ食らえだ。
ハックほど切実ではないものの、俯瞰的に捉えられた良心の概念が顕になって、トウェインが人生を通して向き合ってきた題目なのが窺えて面白い。
最終章にあった人間とは思惟、夢なんだというところが完全に意図を汲み取れず、、人間とは何かの方も読んでみたい。
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1885年発行。口語体で書かれたはじめての小説。ヘミングウェイがあらゆるアメリカ文学は本作に由来すると言ったことでも有名。
前作『トム・ソーヤーの冒険』(以後『トム・ソーヤー』)で大金を得て、養子となったハックルベリ・フィン(以後ハック)が窮屈な暮らしから脱出し、逃亡奴隷のジムとともに自由を求めてミシシッピ川を下る冒険に出る。
前作『トム・ソーヤー』が、少年と退屈との戦いを描いた無邪気な物語であるのに対し、本作では子どもの目線で描きつつも、アメリカ南部の社会を皮肉を交えて痛烈に批判している。
明るい『トム・ソーヤー』の続きを期待してしまったために、背後に流れる暗い影に一度は本を閉じてしまっていたが、本作を黒人奴隷目線でリライトした小説『ジェイムズ』が刊行されたのを機に、最後まで読んだ。(この『ジェイムズ』が問題で、この小説を読んでしまうと本作の見方が大きく変わってしまう。もはや切り離せないので、本作の考察は『ジェイムズ』の感想にまとめた)
後半の皮肉や社会風刺はこれぞマーク・トウェイン!実に痛快で楽しく読んだ。それでも読後に振り返ると寂しさが残る。ハックはとても残酷な世界で暮らしている。この地獄巡りのような旅で唯一救われるのは、ハックがさっぱりとした性格だったことだ。重いテーマを軽口で描き切ったところに、この物語の物凄さを感じる。 -
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「人間とは機械にすぎず、ただインプットされた情報を手順通りにアウトプットするだけ そこに自由意思や創造性などかけらもない」身も蓋もない結論だけど、嫌悪感はないし腑に落ちる所が多かった
生まれながらの性向は変えられやしないという主張は、個人的にはある程度の幅でなら自分で操作出来ないかなと思う
例えば武士道って、「あえて死ぬってのがロックなんだよ!」「耐えて忍んで最高にcoolだぜ!」みたいな後天的な精神修養で成り立つものじゃないだろうか
それもトウェインに言わせれば、島国の特集な時代・身分制度の元での集団マインドコントロールの結果とか言われちゃうかな? -
Posted by ブクログ
■評価
★★★★☆
■感想
◯人間とは機械であると主張する老人と、それを否定しようとする青年の対話。
◯「自己の精神を満足させることが、行動原理の全て」とする考え方は、かなり納得感があった。
◯サイコパスの考え方は、実は本質的なのかもと考えさせられる作品だった。
◯鉄を精錬・加工していくアナロジー(鋼鉄・銑鉄・鋼で、不要な成分を除いて性質を向上させていく)は、非常にわかりやすく、面白く読無事ができた。
◯金の延べ棒に水蒸気を吹きつけても変化しないけど、気化水銀を吹きかけると溶け出てしまう話や、鉄の精錬の話のアナロジーも面白い。外部からの影響力でいかに左右されるかというのと、それを受けうる気質があるかというたとえとして使われている。 -
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『トムソーヤの冒険』や『ハックルベリー・フィンの冒険』で知られるマーク・トウェインのタイム・スリップ小説。
イギリスのウォリック城を見学していた”私”が、奇妙な男に出会うところから物語が始まります。その男の話す内容は、アーサー王と円卓の騎士について、まるでその時代にいたかのような口ぶりです。驚きから我に帰るといつの間にか男の姿はなく、夕刻に宿泊先のホテルにいると、男が部屋に訪ねてきて自分の来歴を語りだしました。
男の父は鍛冶屋、叔父は蹄鉄工で、2人の元で手先の腕を磨き、軍需工場に勤めてからは、当時考えられるあらゆる技術を身に付けて現場監督の親玉にまでなります。しかし、手下と喧嘩して鉄梃で殴られて気を失ってしまい、目覚めるとそこは1300年以上の昔、528年のアーサー王在位の宮廷でした…
この物語、前半のマーリンとの魔法比べとその後に地位を固めてしばらくの間がとても面白い。持ち前の技術力の高さと豊富な知識や学力で、次々と改革をして行く様を、風刺の効いたギャグで笑いを誘います。
中盤は、アーサー王と2人で身分を伏せた隠密行動で、民衆の不満を垣間見る旅に出ます。しかし、奴隷制や教会への不満、選挙や共和政治など、風刺を散りばめて語っているのは、ちょっと欲張りすぎかなと思いました。そのせいで全体が560ページもある長篇になってしまっているのが残念。言いたいことはわかるけど、もう少しコンパクトにして欲しかった。
終盤は、ある経済政策がもとで内戦状態になり、力を持った教会の騎士たちとの戦いで、著者が生きていた19世紀の技術力と兵器による圧倒的(一方的)な戦いが繰り広げられますが、ちょっと残酷な気もしました。
ラストは”私”に手記を手渡すくらいなので、当然、元の時代に帰ってくる方法があるのですが、それは読んだ人だけのお楽しみ。
それにしても、タイムパラドックスもなんのそののやりたい放題な描きっぷりは、ある意味で著者の晩年に訪れる精神状態を垣間見ているようで興味深かったです。 -
Posted by ブクログ
老人と青年の対話調で綴られた、「人間とは外からの力に反応して作用するだけの機械である」という主張を説明する内容だった。
言い換えると、「すべて人間は、自らの経験学習と気質に従って、自らの精神的満足を充足するための選択をする」ということが主旨だった。
そのため、自由意志などや自己犠牲などは存在せず、一見すると当人にとって損な善行や苦行も、結局は「そうしなければ別の精神的な不満足によって耐えられない」という天秤で選択された行いになる。
相手を小馬鹿にしたような語り口調と、説得に際し用いられる古い事例は少し読みづらいが、一貫した主張は明確に読み取ることができる。