マーク・トウェインのレビュー一覧
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マークトウェイン 「 人間とは何か 」
対話形式による人間論の本。「人間は 自己中心の欲望で動く機械にすぎない」とする 人間機械論 をテーマとしている。
機械に 自己意識や欲望があるわけないので、しっくりこなかったため「人間は 自己満足と周囲の影響がプログラムされた機械にすぎない」と読み替えた。人間には、他者満足のためだけに行動したり、周囲に構わず自己判断するプログラムがない という意味。
この本全体に漂う「創造するのは神のみ、人間は機械にすぎない」という論調だと 人間の意義に たどり着かない気がする。
人間機械論の悲観的現実
*人間の政治意識、趣味、道徳、信仰をつくるのは周囲の影 -
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人間が何かってことは、すべてそのつくりと、遺伝性、生息地、交際関係など、その上にもたらされる外敵力の結果。みずから創り出すものなんでなんにもない。
心を支配する力は人間にはない。
義務はなにも義務だからやるってものではない。それを怠ることが、その人間を不安にさせるからやるに過ぎない。人間の行動は唯一最大の動機、まず自分自身の安心感、心の慰めを求めるという以外にはない。善人も悪人もつまるところ心の満足を得るために必死になっているにすぎない。
人間は自発的にやることはできない。その生息地、人間関係を変えればいい。
気質(生まれながらにもっている性質)はいくら教育しても抹殺できない。ただ元々の気質が -
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主人公トムはいたずらっ子でポリー伯母さんに怒られてばかりですが、本を破ってしまったベッキーを庇うために自分が破ったと嘘をついたり、無実の罪で捕まったポッターに差し入れをしに行ったりと、優しいところがあり、どうしても憎めません。そんなトムや、浮浪者ハックルベリーといった、少年たちの物語です。
彼らは毎日楽しそうで、少年たちの楽しみを見つけ出す力を思い出しました。また、殺人事件、隠された財宝、洞窟探検など、大人でもワクワクするような出来事もあります。
物語の終盤で、大金を手に入れ、社会に引っぱり込まれたハックが、“俺は『みんな』じゃない、あんなの我慢できねえんだよ。(p380)”と言ったのが印 -
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ネタバレ不思議な少年サタンくんに例によって「知った風な口を!」と思いながら読んだのだが、これはキリスト教圏ならではの発言なのかもしれないと感じた。
ゾウがアリを気にするだろうか?みたいなセリフは、米粒の一粒一粒にも神が宿るという日本的考え方では共感しづらい。『気にすることもありえる』と考えてしまう。
また何でも見透かし何でもすぐ分かる少年が、少なくとも主人公の悩みが分からないことが理解できない。悪意という概念はないとのことだが、むしろどうなるか分かっててやってるので結果論でいえばそれは悪意と言えませんかね。
「何でもカテゴライズしようとする。人間の悪い癖だね」とでも言いそうだが、まさにその言い方 -
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トム・ソーヤの冒険等でお馴染みの作者が、人間の自由意志を否定し人間とは外的要因によってのみ動く機械的なものだと説いたもの。老人(=マークトゥエイン)と青年の対話形式で話は進む。岩波文庫の赤かぁ・・・と敬遠することなかれ。そこまで分厚くないし、和訳ものにありがちな難しい言葉もないのですらすら読めると思われる。
人間と動物も複雑さは違いこそすれ、もとのメカニズムとしては同じだと老人が説いた時の青年の怒りの反応には「?」と思った。しかしキリスト教では人間は他の動物より高等なものとして位置付けていると思えば、青年の反応はもっともかもしれない。キリスト教のその辺りがわからないと青年の怒りだとか老人の嘆き -
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ネタバレ理論社の世界ショートセレクションの4でマーク・トウェイン~晩鐘のミレーが売れたわけは、貧乏画家の仲間が死んだことにした為だった。黒人の年配メイドが年中ニコニコしている訳。嘘を吐くと地獄へ行くと信じている老いた双子の姉妹が、腸チフスに罹った姪とその娘を励ます為に嘘を突き通す。急死した友人を棺に入れて汽車で故郷に運んでいる積もりの男は、棺と銃の入った箱を間違え、チーズの匂いを死体の腐乱した匂いと勘違いして、匂いで具合が悪くなり死んでしまう。鉱山株を扱う事務員だった男はヨットで漂流し、イギリスの船に救助されたが、ロンドンで一文無し。金持ちの兄弟が100万ポンドの紙幣を手にして成功するか否かの掛けに使
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ネタバレむかーし、アニメでやってたなあくらいの印象で読み始めましたが、なかなか読破には時間がかかりました。前半の古き良きアメリカな展開が退屈で退屈で…
序盤の感想は「アメリカ版カツオ」の一言に尽きるかと。ペンキ塗りのくだりはもはや古典ですね。
後半にいくにつれ、ようやく冒険らしい冒険が始まります。無人島に殺人者にお宝に洞窟に。暗闇で蝋燭が尽きるあたりはさすがにゾッとするものがありました。
個人的に、訳者あとがきがすごく面白かったです。トムよりもハックの生き方に憧れるので、ハックルベリーフィンの冒険、ぜひよんでみたい。
ところで、昭和生まれの自分はアニメの記憶が本書を手に取るきっかけになりましたが、平成 -
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【人間は自分をまず第一に考えてる】
人間の他人に対する善意な行為も含め、すべては自分を満たすために行われている。つまり、人間は誰もが自分中心で生きているのだと、かなりペシミスティックに「人間」というものを捉えているのがマーク・トウェインという人物である。
しかし、この考え方には私は大いに賛成であり、そうだと思う。
「まず君の理想をより高く、さらにより高くするように務めることだな。そしてその行き着くところは、みずからを満足させると同時に、隣人たちや、ひろく社会にも善をなすといった行為、そうした行為の中に君自身まず最大の喜びを見出すという境地を志すことさ。」
という彼の言葉は、「自分中心でい -
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アーサー王の時代にタイムスリップした”ヤンキー”がまず作ったのが特許制度という設定に興味を持ったので読んでみたが、特許制度についてはほとんど出てこなかった。トムソーヤやハックルベリ・フィンといった、夢あふれる少年小説かと思いきや時代風刺色が強く、真剣に読むと難しい。マーク・トウェインが生まれたのは1835年。篤姫、小松帯刀、坂本龍馬、福澤諭吉、松平容保、土方歳三らと同級生らしい。アーサー王宮廷のヤンキーが出版されたのは1889年。南北戦争が終わって24年、日本では大日本帝国憲法が発布された。日本の特許法が公布されたのは1885年。その時代の小説と考えると、確かに興味深い。
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小学生の時に児童小説版で何度も読んだ思い出がある。
カードの交換、真夜中の墓場、洞窟探検といった要素に、
子供心にある種の面白さを感じていた。
ハックルベリを読むにあたり、
トム・ソーヤも一度読みなおそうと思い再読。
子供の時とはまた違う視点で見ることになるわけだが、
やっぱり当時ほどの思い入れが出てこなかった。
懐かしさだけはとてもあるのだけれども。
あと、訳のせいなのか、どうも読みにくいと感じた。
分量もやけに多い。
最初にこの分量だと
小学生の時の私には全部読みきれてなかったんじゃないか。
こうなると、当時読んでいた児童向けの方は
うまく編集・構成がしてあったんだなと今更ながら思 -
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中野好夫訳ということで手に取ったわけだがww
アメリカのドラマでは、ミカエル、ガブリエルといった聖書に出てくるような大物の天使たちがよく登場するが、彼らがなぜかだいたい残酷で
人間を理解しようともせず、バカにして、嘲笑っているのはなぜだろうと
正直不思議だったのだが
この作品を読んで、アメリカ人の「残酷な天使観」がマーク・トゥエインの時代からあったのかと、ちょっと新しいことを知った気がした。
しかし、この作品において天使の名前が「サタン」というのはいくらなんでもww
物語の終りはどうなるのだろうと気になっていたが
結局こうした虚無でしかないのかと、なんだかこけた。
トゥエインの抱える現実への厳