須藤靖のレビュー一覧
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思わず「これは、すごい・・・」と唸らせる本です。宇宙は一つの「ユニバース」ではなく、複数の「マルチバース」であり、しかもそれは4つの段階があることを論じています。やや物理の専門的なことが出てくるので、ここは飛ばし読みするとしても、①ビッグバンは小さな点が爆発したのではなく宇宙全体で起こったこと、②いま我々が生きている世界と同じ世界がまた別に存在しうること、③ほかの宇宙では別の物理法則も成り立ちうること、などを解説しています。
また、人間がこの世にあるのも、極めて絶妙なバランスと偶然(絶妙なタイミングで隕石が地球に衝突して恐竜が絶滅したなど)のもとに成り立っており、「人間の存在と宇宙の性質の間に成り立つ相関を選択効果で解釈しようとする『人間原理』」にまで言及。宇宙論を追求すると、まさに「通常の科学の範囲を逸脱した哲学的問題に向き合わざるを得ない」のだと痛感させられます。
かつての物理しか覚えていない自分としては、「ここまで来たのか」と圧倒されました。「サイエンスZERO」でお馴染みだった竹内薫氏ご推薦だったので手にしたのですが、新書版ながら深く考えさせられる一品です。 -
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物理的知識の素地のまるでない人間が、面白そうなタイトル!というだけでレーベル考えず飛びついたのが失敗のもとでした。さっぱり分からん。(哲学的思考以外)。ただ文系にみられる、経験値に基づく結論に比べ、法則に則った結論に導いてくれる分、分からないなりに腑に落ちました。物理法則と世界の関係を考察する先に拓ける、マルチバースという概念を楽しむ道案内の一冊。自然な法則に支配されると人間は存在できず、かといえば複数の異なる力があり、かつそれらの強さが不自然なほど違っている場合のみ、生命が誕生できる予想。進化し続ける宇宙への理解を、最新物理学で徹底解説してくれてます。…うう…感想も難しい。献本に感謝!
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Posted by ブクログ
刺激的なタイトルです。放送大学の宇宙関係の講義でも講師をされていた須藤さんの著書。生真面目そうで温和な話し方が好きです。副題は「宇宙はひとつだけなのか?」で、Bluebacksで似たようなの読んだことあるなと思っていたら、村山さん著の「宇宙は本当にひとつなのか?」であることを思い出しました。
Newtonでもおなじみのマックス・テグマークのマルチバースの解説から、宇宙に果てはあるのか?地球人以外で知的生命体はいるのか?なぜ人類はこんなにも不自然な条件(=奇跡)の星に存在しているのか?そんな素朴な疑問に答えてくれます。判断は読者に委ねるということですが、まあそうなんだろうなと思ってしまう回答です。 -
Posted by ブクログ
宇宙論エッセイ、といっても何のことやらというかんじだが、土屋賢二の書く哲学エッセイを宇宙論に置き換えたような感じと言おうか。素粒子論から宇宙の始原について、果ては人間原理や平行宇宙論まで、スケールの大きい話が楽しく読める。
宇宙論の話ではあるが、やはりタイトルにもなっている「ダーク」な話がユニーク。筆者曰く、「地球上のすべての物質」は素粒子の標準模型で説明できる。しかし、実は宇宙の大半の成分では説明不可能である。「重力は及ぼすものの自らは光ることのないダークマター」や「宇宙を一様にみたし互いに反発しau斥力を及ぼすダークエネルギー」というものを想定しなければ、宇宙が膨張し、さらに加速中であることを説明できないのだという。
筆者の語り口はこなれたもので、全体の1/3は冗談でできている-そしてただの冗談ではなく、ちゃんとそののちの本論につながっていく。肩の凝らない科学読み物として、とても上機嫌で読める。 -
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とにかく本当にヘンな本である。ヘンな本の匂いを良くぞ嗅ぎ分けたと、自分の鑑識眼を自慢したくなる。
著者は東大で宇宙物理学を専攻する教授で東大出版会の雑誌UP(「ユーピー」と読むらしい)に不定期で書いている肩の凝らない内容のエッセイを書籍化したのが本書なのだが、やたらと脚注が目に付く。それも尋常じゃない量だ。
読み出したときには余り気にしてなかったが、一端、気になり出すとその多さに驚愕だ。なんたって本を開くと右ページには当たり前だが本文、左ページは本文が無くて全部脚注!になっているなんてのは常識。おまけに脚注はフォントが小さいので文書の量とすると圧倒的に脚注のほうが多く、言うならば脚注の中に本文も申し訳程度に読める本だ。
おまけに、脚注をつけることが最大の楽しみであるかのように処構わず付けまくっている。当然、脚注の内容も、言い訳、釈明、後日談、楽屋落ち、お国自慢など多岐に亘り、楽しんでいるのがありありと伺えるのだから羨ましい限りである。
勿論、エッセイの内容は馬鹿馬鹿しくも軽い話題が多く、中途半端に世の中の役に立とうとかを狙わないのが潔い。そうそう一つだけ有益な言葉があった。著者が若い頃に某大教授と話をしていて云われた言葉を紹介しているのだが、「善悪という価値観はないと思うべきだ。世の中には強者と弱者しかないんだよ」だって。流石に東大教授は奥が深い(著者ではない)。これだけでも買った価値があるというものだ。
出来れば前作も読みたいのだが前作は東大出版会から出ているので定価が本書の約二倍なのが気にかかる。 -
Posted by ブクログ
ブルーバックスを読むのは久しぶりな気がする。先月は図説の古生物の本を読んだけれど、純粋なサイエンスものは3年ぶり。図がありつつも、わりと淡々とした解説の雰囲気は好み(文章自体も読みやすい)。宇宙の話で必ず話題にのぼる「ビッグバンの前はどうだったのか」「宇宙の果てはどうなっているのか(無限に広がっているのか、それともループしているのか)」などなど、定番の疑問が分かりやすく解説されている。もしかしたら生きているうちには正解が分からないかもしれない、そんな謎を追い求めるのはやはりロマンだね。ただ、後半のマルチバースのあたりはちょっと難しくて付いていけなかった。