須藤靖のレビュー一覧

  • 三日月とクロワッサン

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    「科学を語るとはどういうことか」でその粘り強い姿勢に強い印象を受けた宇宙物理学者須藤靖さんによるエッセイ.東大出版会の広報誌UPに不定期連載したものがもとになっている.この本はその二冊目で一冊目は「人生一般ニ相対論」.

    どのエッセイも十分な分量で,真面目に面白くさまざまな論考をしているが,就中「相対論的人生積分公式」が傑作.なかなか含蓄が深い.しかしそれを見て,「人生の非可換性を考慮に入れていない」といって批判する同僚がいるというのもまたなかなかすごい.

    文中の傍注が小さい字で組んであって,それが老眼の私にはとても読みにくいのだが,読まずにはいられない.ちなみに傍注は本文中に200ある.

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    2014年11月03日
  • 科学を語るとはどういうことか 科学者、哲学者にモノ申す

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    ここで須藤さんが語る科学の方法論はリサ・ランドールが『宇宙の扉をノックする』で語っているものとほぼ同じものである。
    学生時代に廣松渉の『科学の危機と認識論』を読み、村上陽一郎の講義を聞き影響を受けてクーン、ハンソン、ポパー、ファイアアーベントを愛読してきた自分が、それでもやっぱり須藤さんの言っていることの方が共感できる、というところに少なくとも日本における哲学の問題があるだろうと思う。自分の”アタマ”に信頼を置き過ぎ、というか、道具立てが古すぎる、というか。
    読み終わっても科学哲学の目的と意義を理解も納得もできなかった。またいつか読み直してみようと思う。

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    2014年04月18日
  • 科学を語るとはどういうことか 科学者、哲学者にモノ申す

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    科学者ではないものが語る「科学哲学」について、科学者と哲学者の議論、というか哲学者の説明、というか。議論が循環して申し訳ございませんが、という言葉が本文中にも出てくるように、およそ噛み合わない話が続く。それがこの本の狙いなのだろうけれど、なかなかに疲れる。僕は科学哲学のような考えに割と惹かれた頃があったけれど、今はもっと単純な物理法則に拠り所を求めたい気分がしていた。そういう点で科学者頑張れ、だったのだけど、けっこうそこがとろけていってしまった。目に見える、ってなんだろうね。

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    2013年12月02日
  • 科学を語るとはどういうことか 科学者、哲学者にモノ申す

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    科学者と科学哲学者の対談形式の本.
    私はソーカルの本を読んだ程度の関心と知識しか持っていない人間です.

    科学や科学哲学,どちらかの考え方についてある程度親しみがある人向けの本な気がします.
    科学や科学哲学の”考え方”について二人が話していますが,やや須藤さんが意固地になっている気がします.
    このくらい意志が強く,しつこくないと科学者にはなれないのっかも知れませんが,科学者の”興味”の持ち方に比重を置きすぎな感も.
    まあ,そうでなければこの対談はなかったでしょうから,それはそれで.

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    2013年08月04日