須藤靖のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近よく聴くポッドキャストで紹介されていた本。こんどお会いすることになっている学者センセイの頭の中の深いところを探るのに役立つかと思って読んだ。
やはり興味深く読んだのは、このところどっぷり浸かっている鳥類関係のはなし。川上先生は軽妙な語り口で、キャッチーな論文を紹介してくれた。恐竜学者の小林先生の項では、鳥類の祖先が恐竜だったことが学会の主流になったのは
1998年の論文発表からだった、と知った。1985年生まれの私は、子どもの頃から始祖鳥の存在は知っていたが、それが鳥と恐竜とを繋ぐ存在だという認識は薄く、あくまで鳥の祖先だ、という理解だったのだが、それが当時はふつうの解釈だったようだと再認識。
恐竜、土、岩石、老化…。知っていたことよりも知らなかったことが多かったし、自分が生きている間に分かったことも多いな、いうのが率直な感想。世界はまだまだわからないことで溢れていて、それを知ろうとする面白い人がたくさんいる、ということが伝わる本。 -
Posted by ブクログ
AIに聞いたところ、オタクとは、アニメ、漫画、ゲーム、アイドルなど特定の趣味分野に強烈なこだわりを持ち、時間や金銭を極端に費やして深い知識や情熱を持つ人を指すらしい。趣味、ではないが特定の分野に強烈なこだわりを持つ面では研究者もオタク気質なのだろう。オタク達が自分の推しを語る際の勢いは凄まじい。5W1Hを駆使して推しの尊さを押し出してくる。多分、相手に伝えたいのではない、語りながら自分の中で推しの尊さを整理している。この本に登場する研究者達もそんなオタク達だ。自分の愛する分野での推し論文をピックし、尊さを語っている。研究分野も、文章から覗く著者の性格も、どれも多様だけど、愛する論文のために筆を走らせる事が苦ではない様子は共通している、というかみんな紙面が足りなさそうだった。
自分の愛する分野を見つけ、その分野への愛を深める事によって生活できるとは、なんとも幸せな仕事なんだろうなぁと感じました。 -
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2023-05-13
いやあ、面白いほど話が噛み合っていない。最終的には価値判断に帰することであり、そこはまあ趣味の問題と言ってもいいのだけど、そこに至るまでまだ考えることがあるのではとも思う。
全員が合意することを目指す営みと、価値判断との境目がどこか、という話か。
また、一方が「取り組む問題を明らかにせよ」というのに対し、「何が取り組む問題なのかが問題だ」と答えて平行線に陥っている気もする。
存在するゴールに到達することが大切と考えるか、あってもなくてもそこに向かうことが大切と考えるか。ここまで来ると結局価値判断ということになるのか。 -
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お経の中には宇宙を思わせるところがある。
三千大千世界
この本には、わたしたちがいる宇宙は一つなのかということに関していろいろな角度から説明がされている。
「我々のすむ宇宙は必然かあるいは偶然か」という問いから、私たちの宇宙がたまたまあるのではなくて、他にもこういう環境があるのではと考えていく。すると、我々が他の宇宙を確認することが出来たら、それはすでに我々の宇宙になってします。そのところは知る術がないのだ。
というところを読んで、真如の世界のことを思うのであった。
宇宙はすべて法則に支配されているということも、相依性のこと思い出させる。果てがあるのかどうかもわからない宇宙について考えるときに、自分の側にあるものを手がかりにすることだって出来る。すべてはつながっている。
宇宙のひとつひとつが仏国土なのかな。それが集まってのマルチバースかな・・・と最初考えていたけれど、そのうちに人と人が集まっていることがマルチバースでもあるという風にも感じた。無明の殻の中に入っている私たちはそれぞれの世界=宇宙から抜け出ることが出来ず、他人の宇宙も本当に知ることが出来ない・・・。
本当に正真正銘の科学の本だけれど、自分を突き抜けた世界を思うときに、こういう本を読むのもありかと思う。文系仏教徒の立場から。 -
Posted by ブクログ
この宇宙は特別と考えている人や特に意識していない人向けに、人間原理(この呼称は気持ち悪くて仕方ない)やマルチバースの考えを伝えようとした本。
個人的には類書を読んでいたこともあり新たな知見は無かったけど、この宇宙や世界はより大きな何かに内包されていると考えるのはやはり自然かと思う。物理法則から違うというのは面白いけど。
感覚的にも現実と夢の区別はつけるのは難しいし、微生物には人間サイズのものは認識できないし、観測者の理科の範囲で世界の全てを知ろうとするのは土台無理な話だし。
内容全般においては素粒子関連や宇宙論の基礎知識がない人にはちょっと説明不足な感じがしたけどどうなのだろう。 -
Posted by ブクログ
「科学を語るとはどういうことか」でその粘り強い姿勢に強い印象を受けた宇宙物理学者須藤靖さんによるエッセイ.東大出版会の広報誌UPに不定期連載したものがもとになっている.この本はその二冊目で一冊目は「人生一般ニ相対論」.
どのエッセイも十分な分量で,真面目に面白くさまざまな論考をしているが,就中「相対論的人生積分公式」が傑作.なかなか含蓄が深い.しかしそれを見て,「人生の非可換性を考慮に入れていない」といって批判する同僚がいるというのもまたなかなかすごい.
文中の傍注が小さい字で組んであって,それが老眼の私にはとても読みにくいのだが,読まずにはいられない.ちなみに傍注は本文中に200ある. -
Posted by ブクログ
ここで須藤さんが語る科学の方法論はリサ・ランドールが『宇宙の扉をノックする』で語っているものとほぼ同じものである。
学生時代に廣松渉の『科学の危機と認識論』を読み、村上陽一郎の講義を聞き影響を受けてクーン、ハンソン、ポパー、ファイアアーベントを愛読してきた自分が、それでもやっぱり須藤さんの言っていることの方が共感できる、というところに少なくとも日本における哲学の問題があるだろうと思う。自分の”アタマ”に信頼を置き過ぎ、というか、道具立てが古すぎる、というか。
読み終わっても科学哲学の目的と意義を理解も納得もできなかった。またいつか読み直してみようと思う。