須藤靖のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「科学を語るとはどういうことか」でその粘り強い姿勢に強い印象を受けた宇宙物理学者須藤靖さんによるエッセイ.東大出版会の広報誌UPに不定期連載したものがもとになっている.この本はその二冊目で一冊目は「人生一般ニ相対論」.
どのエッセイも十分な分量で,真面目に面白くさまざまな論考をしているが,就中「相対論的人生積分公式」が傑作.なかなか含蓄が深い.しかしそれを見て,「人生の非可換性を考慮に入れていない」といって批判する同僚がいるというのもまたなかなかすごい.
文中の傍注が小さい字で組んであって,それが老眼の私にはとても読みにくいのだが,読まずにはいられない.ちなみに傍注は本文中に200ある. -
Posted by ブクログ
ここで須藤さんが語る科学の方法論はリサ・ランドールが『宇宙の扉をノックする』で語っているものとほぼ同じものである。
学生時代に廣松渉の『科学の危機と認識論』を読み、村上陽一郎の講義を聞き影響を受けてクーン、ハンソン、ポパー、ファイアアーベントを愛読してきた自分が、それでもやっぱり須藤さんの言っていることの方が共感できる、というところに少なくとも日本における哲学の問題があるだろうと思う。自分の”アタマ”に信頼を置き過ぎ、というか、道具立てが古すぎる、というか。
読み終わっても科学哲学の目的と意義を理解も納得もできなかった。またいつか読み直してみようと思う。