須藤靖のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今までありそうで(あったかもしれないが)見つけられていなかったテーマ。いろんな分野の先頭を走る研究者が各々愛する論文を語るという、極めて興味深く面白かった本。各々の研究テーマが違うのはもちろん、各々の研究者の感性や語り口がそれぞれ全く違っていたのも面白かった。一般向けに少し噛み砕いてくれている人もいれば、専門用語もりもりで愛が溢れている人もいた。どちらも素晴らしいと思う。いわゆるオタク文化にも通ずるところがあると感じた。専門家から見た「私見を含んだ」サイエンス的エッセイは非常に面白かった。
大学時代を振り返ると、論文を読むのは嫌いではなかったし、面白かったがやはりどこかタスクの一つになっていて -
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深い話です
宇宙の果てのその先をユニバース~マルチバースで示してくれた。人間原理など我々の生きている環境の不自然さを知った。
本当に私の身体の中の大腸菌まで全コピーした宇宙があるのかしら、深く考えさせてくれる本です。 -
Posted by ブクログ
副題に「科学者、哲学者にモノ申す」とあるように、実際は宇宙物理学者が「科学哲学は科学の役に立っていない」と疑問を呈し、科学哲学者がそれに答える本。
非常に面白い一冊で発見が多かった。
須藤靖、伊勢田哲治両氏ともにそれぞれの分野ではそれなりの実力のある方だと見受けられますが、罵り合いにならないことをまずは寿ぐべきというレベルで噛み合わない。
言葉の定義が異なると話し合うことすらできない。「原因」とは何か。「因果」とは何か。それを巡って定義を合わせようとするところ、つまり議論の最初ですでに同意できない。
普段から論文や発表や講義という形で議論をこなしている学者同士であってもベースラインが違うと建設 -
Posted by ブクログ
科学哲学の価値に大きな疑いをいだく宇宙物理学者の須藤靖さんと,気鋭の科学哲学者の伊勢田哲治さんの科学哲学をめぐるかなり本気な対談.ずっと緊迫した会話が続き,読んでいてとても疲れた.だがとても勉強になった.
頭脳明晰な二人が,あいまいな妥協なく,とことんまで話し,お互いを理解しようと懸命に努力をする.しかし,互いの問題意識をうまく共有することができない.話し合いでわかりあうことの難しさ!お互い熱くなって論争しているが,緻密に議論をすすめているのがすごい.
私は戸田山和久「科学哲学の冒険」のレビューで「ここに出てくる(科学的実在論の)議論のほとんどは哲学者には大問題でも科学者にとってはほとんど -
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科学哲学という業界に「アホがアホを再生産しているのではあるまいか」と疑念を持つ物理学者と,それを迎え撃つ気鋭の科学哲学者との対談。物理学者の須藤氏の半ば先入観に基づく(しかし科学者が科学哲学に対して抱く印象としては極めてまっとうな)疑問に対し,科学哲学の伊勢田氏が丁寧に答えていくというスタイル。対談本にしては,予定調和のないガチンコ対決という風情で非常に刺激的。だらだらしゃべって文字起こしという安易な作りではなく,事前の論点整理,事後のやりとりの反映や正確を期するための補足も入念になされていて,文章が散漫にならないのも良い。「科学を扱いながら科学界への具体的提案のない,独りよがりで内向きの学問
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★★★★★★★くらいすごい。
これは本当に面白い!し科学的に啓発!
東大出版会発行のUPを愛読してきた者として、著者の小論はUP連載時から注目してきた。ぜひ一読あれ。
・寺田虎彦は、目は閉じることができるのに耳はそうできない、と書くまでもないことを書いた後、「なぜだろう」と問うている。そこが凡人と違う。
★全くそのとおり。
「「眉毛は何の役にたつの?いったん剃った上で、あえて手でかきいれている大人が続出しているのはなぜ?」と子供が聞いてきたらどうするか?
★ユーモラス。
・電子があるのかないのか、という問いは科学的には無意味。哲学者はこういう問いかけが大好きだからよくない。
★著者は哲学者がお -
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Posted by ブクログ
SFの世界でしかあり得ないと思っていた「マルチバース」という概念が、私たちの住むこの宇宙が持つ「できすぎた」とも言える不自然さを説明するかもしれない。その発想自体が、非常に面白いと感じた。
鍵となるのが「人間原理」という考え方である。私たちの宇宙は、人間の存在を可能にするために必要な、精密で確率的には起こりそうもない条件、いわゆる「都合の良い性質」をいくつも持っている。もし宇宙がたった一つしかなかったとしたら、これほど都合の良い条件が偶然揃ったことは、まさに奇跡としか思えない。
しかし、もし宇宙が無数に存在するとしたら、その中のたった一つが、たまたま人間が存在できるような条件を備えていたとして -
Posted by ブクログ
もし機会があるならば、何の役に立つのかは分からないけど、深淵なる「数学」を学び直したいと思っている。
難しいことは理解できないが、たまに数学パズル的なものをやったり、中学受験の図形の問題を解きたくなったりして、取り組んだりしている。
(それでも当然、解けない問題が多いのだが)
論理立てて考えるという思考そのものが面白いし、その過程の中で発想力を駆使しないと解けない問題もあったりして、そこが非常に奥深いと感じている。
私自身は高校1年の「数I」で挫折した人間だし、結局大学も文系に進んだので、決して数学が得意とは言えない。
しかしながら「数」というものに対して、すごく不思議な気持ちが沸き上がるのは