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なぜ宇宙は、人間たちが作った理論(数式)にこれほど従っているのか? ブラックホールから重力波まで「さすがに実在しないだろう」と思われたものが、技術の発展によって続々と明らかにされている。神が仕組んだとしか思えない驚きの宇宙の姿とは。
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Posted by ブクログ
わかりやすい上に刺激もあるし,話題が新しい。 ほんのときどき出てくる数式が雰囲気があるけど,ときどき過ぎてタイトル倒れと言えば言えなくもない。 しかし,伝えたいことはきちんと分かりました。
もし機会があるならば、何の役に立つのかは分からないけど、深淵なる「数学」を学び直したいと思っている。 難しいことは理解できないが、たまに数学パズル的なものをやったり、中学受験の図形の問題を解きたくなったりして、取り組んだりしている。 (それでも当然、解けない問題が多いのだが) 論理立てて考えるという...続きを読む思考そのものが面白いし、その過程の中で発想力を駆使しないと解けない問題もあったりして、そこが非常に奥深いと感じている。 私自身は高校1年の「数I」で挫折した人間だし、結局大学も文系に進んだので、決して数学が得意とは言えない。 しかしながら「数」というものに対して、すごく不思議な気持ちが沸き上がるのはどういうことかと思ってしまう。 正直「よく分からないけど、熱くなる」という感情が存在している。 そしてそれが自分でも心地よい。 本書では数式をほとんど出さずに数学の楽しさ美しさを説いている訳であるが、これは本当にありがたい。 数学というのは、存在そのものが本当に不思議だと思う。 数学の新しい定理や数々の理論は、あくまでも「発見」であって、「発明」では無いという。 こういう考え方も実は気に入っている。 数学とは「地球に(宇宙に?)最初からすでにあるもの」だから、人間が発明するものではなく、存在を発見されるものなのだという。 これだけでも文系であろうがなかろうが、十分に熱くなる。 そして、数学と宇宙とは密接につながっているという。 宇宙の秘密を解こうとすれば、それは数学という技術を使用しなければ決して解けないだろう。 それでも、宇宙の95%がいまだ解明されていないのだという。 数学と物理を厳密に分ける必要があるのかどうかは、私には理解できない所であるが、とにかく奥深くて神秘的だ。 数々の物理法則が、なぜシンプルな数式の記述だけで表現できてしまうのか。 (本書ではできるだけ数式での説明を省略するとしているが) 私に理解できる頭脳があるならば、本当に知りたいと思う。 ニュートンはリンゴが木から落ちるのを見て、それが「天体が地球を回っている(落ちている)」と同じことだと気が付いた。 ケプラーは、惑星が太陽の周囲を回るのは、正円ではなく、楕円だと気が付いた。 アインシュタインは、時間と空間が重力によって相対的に変化することに気が付いた。 数々の天才たちがとんでもない発想力で、宇宙の理を解いていく訳であるが、数学を理解していない私でもワクワクしてしまう。 物理学は量子力学に発展して、超ミクロの世界と超マクロの世界が同じ法則で成り立っていることの証明を試みているのだという。 宇宙がほんの1点(超弦)から始まったとすれば、確かに始まりは同じなのだから、現在のミクロとマクロも元は同じとなる。 そもそも極小の世界と極大の世界が同じだなんて、普通に日常生活を送っている凡人には考えつかないだろう。 ニュースで見たり、勉強したりしたから「宇宙は極小の点からビックバンで始まった」と知識として知っているが、当然その内容を理解している訳ではない。 普段我々は、目の前の仕事をこなすだけで精一杯だ。 そんな中で、宇宙の始まりについて思いを馳せてみると、自分の悩みも小さなものに感じてしまう。 しかもそれが、なぜなのかは理解できないが、すべて数学(数式)という技術を使って説明が出来てしまう。 (当然、まだまだ説明できない未解明なことも多い) これを神秘的と言わずして、何に神秘を感じるのかと思ってしまう。 数字が永遠に続くという「無限」という概念もよく分からないし、「素数」だって考え出したら不思議でしょうがない。 なぜ正円の直径と円周の比は割り切れないのだろうか。 その他にも様々な不思議な数学の世界が、我々が気が付いていないだけで、この宇宙に広がっている。 それらが時代も宇宙も超えて、ある一つの正しさを証明しようとしている点にとてもロマンを感じてしまう。 もし宇宙の片隅に文明を持った宇宙人が存在していたとしたら、人間(地球人)と同じようにこの宇宙の問いに対して、同じように数学を使って説明するのだろうか。 そんなどうでもいいことまで想像してしまう。 未来を考えると、人類は地球を飛び出して、活動の範囲を宇宙に広げていくのだろうか。 活動領域を広げるため、冒険の旅に出ることが遺伝的にプログラムされているならば、人類が地球を飛び出すことは必然なのだろう。 現実的に考えると人類が月まで行くこともやっとである。 イーロン・マスクは本気で火星まで行こうとしているが、実現するかどうかは分からない。 その先を超えていくのは更に大変ということであるが、人間の際限のない好奇心はきっと、壁を超えていくのだろう。 こういうことを考えるだけで面白い。 普段はどっぷりと仕事に毒されているが、こうして数学や宇宙に思いを馳せることは無駄ではない。 心を豊かにするためにも、必要なことなのだと思う。 (2024/4/29月)
昔から人は自然現象を解明しようと、多大な時間をかけてきた。有名な所だとガリレイ、ケプラー、ニュートン、アインシュタインらだが、彼らがいくつもの法則を発見(発明ではない)した。それらの法則はとても高い精度で自然現象を表している。しかも美しく。 この本では、数式によって高い精度で表される自然現象の例が...続きを読む幾つも挙げられている。しかし、副題でもある「なぜ世界は物理法則に支配されているのか」についてがわからないままだ。物理法則はいつ生まれたのだろうか?宇宙が誕生したのと同時だろうか?しかし宇宙の誕生も物理法則に従っているだろうし…。謎は深まるばかりだが、自分に謎を探求する力がないのがもどかしいが、誰かが解明してくれる日が来るのだろうか?
ズバリ核心を突いたタイトルで、読者を誘い込む。 数式と見ただけで敬遠する人もいるかもしれないが、本書は数式の厳密性や細部の説明には踏み込まず、数式で表されるという驚きを提供する。 過去の偉人たちが見出した偉業は、発明ととらえず、発見とくくる。宇宙は数学的関係で満たされており、その関係性を法則という形...続きを読むで見出している。 そもそも、なぜ法則に従うのか、光速度が一定なのはなぜか、様々な物理定数がその値をとるのはなぜなのか。根源的な問いは明かされることなく、その関係性があるから、それを考えれる知的生命体が育まれ、宇宙の存在証明になる。最近、こうした宇宙は無数に誕生しているという、パラレルワールドという考えがあるが、真理はそれに近いものと感じさせられる。現在の宇宙は拡大していってるが、過去に遡って収斂していくと、プランク時間という宇宙創生から10のマイナス44乗秒後という時刻で、現在の物理法則は壁にぶつかり、その先を説明できない。万能と思われる法則に適用限界がある。この謎をブレークスルーした先には、どんな世界観が待っているのか、人智を超えて神秘に包まれる宇宙、この先、どこまで謎のベールを剥いでいけるのか、興味は尽きない。
難しかった.ただ、アインシュタイン方程式が出現する前の段階で、多くの科学者がニュートン力学だけで様々な天体現象の予測をしてことに驚いた.コンピュータのない時代に手計算でやったのだろうが、凄いことだと感じた、著者が何度も述懐してる「観測されている天体さらには宇宙の振る舞いそのものを記述する数式が存在し...続きを読むている」という事実は疑いようのないものだと感じた.
宇宙は美しい数学で記述される法則に則っている、という事を何となく信じてきた。 しかし、それは誰も証明した事実ではない、そんな当たり前のことを突きつけられて戸惑いを感じてしまう。 予断なく思考することの難しさを改めて感じさせられた。
副題の疑問は解消されないのだが(そりゃそうだ)、やはり数学って、そしてそれを発見してきた数学者ってすごい。
いろいろなモヤモヤがスッキリした。 138億年まえから宇宙は無限で、かつ高温高密度だったともいえる。 ブラックホールは固くない。
コンパクトな中に、中学生でもわかるように宇宙論の先端までの雰囲気を伝える、物理の先生の誠実さが伝わる。題名からは、数学と自然(宇宙)の関係性についての論考のように見えるのだが、実際の中身は、現代の宇宙論での万人向け的な話題(ダークマター、ブラックホールなどなど)を、これから宇宙物理の科学者を目指すで...続きを読むあろう若い人に届けたい、という意味合いが大きそうだ。
著者は東大の物理学専攻教授。軽い文体で読みやすかった。最初にラマヌジャンが発見した円周率の公式が出てくるのがおもしろい。自然現象が数式で記述されることはなんとなく当然のような気がしていたが確かに不思議なことだという気がしてきた。また一般相対論の発見を巡るアインシュタインとヒルベルトの争いは初めて聞い...続きを読むた話で興味深かった。
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須藤靖
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