一穂ミチのレビュー一覧
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ネタバレ東京に突如出現した公営のカジノ島。その広報として都庁から派遣された逸。そこで新進気鋭のディーラーとして働く従弟の一哉。
家族をものすごく愛しているけれど顧みず、放蕩の限りを尽くすギャンブラーの父親を反面教師として、逸は公務員という正反対な道を選び、それでも愛すべき存在の伯父にならって一哉はカジノの世界に飛び込んだ。対照的なふたり。
従兄弟だから、いっそ兄弟みたいなもんだから、決して素直にはこぼれ落ちない言葉。好きだからこそ、このまま一緒にいたら、きっと逸にひどいことをしてしまう。これ以上一緒にいられないと逸から離れる一哉。一緒にいられないのはもっと苦しいのに。
そんな一哉の想いに気付けずに、一哉は自分ではなく、自由に生きる父といることを選んだのだと、置き去りにされてしまったのだと逸は切なかった。それでも「行かないで。ずっとそばにいて」とは口にできない。例えそう告げたとしても、きっと一哉は行ってしまうのだから、素直に口に出すなんて悔しかった。
結果ずっと離れていることもできなくて、逸のそばに帰ってきたはいいけれど、自分ではない誰かが逸に触れるかもしれないことに耐えかねて、今度こそ逸の元を永遠に去ろうとする一哉。そんな一哉を取り戻すべく、逸は一世一代の大博打を打つ。
ふたりの感情が今に至るまでの過去エピはあまりないので、潜在的に両想いスタート前提で読まないと、えっいつから?、えっなんで?となってしまうのかも。私はそのあたり不思議なほどすんなりと読めてしまったので違和感は感じなかったけれど。
カジノというどこか非現実的な華やかな世界。光る脇キャラ。軽妙な会話。身内同士という背徳感も特になく、さらりと読ませる。私は結構楽しかったな~☆ -
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ネタバレ世が世なら一国の城主になるべく生まれて、今でも『若様』として大切に扱われている湊。一穂さんは大好きなのだけど、ちょっとトンチキもとい奇想天外なその設定になかなか手を出せずにいました。
そんな昔の因習がしっかり残った田舎町に、ふらりと現れた隼人。住所不定無職、天性の要領の良さだけで世の中を渡り歩いてきたような正真正銘のロクデナシです。
一見なんの関わり合いもない物質同士がある時出会って、思いも寄らない結果が生まれる…みたいな、どこかケミストリーっぽい恋愛反応。
隼人は決して悪人ではないけれど、いっそ清々しいほどのろくでなしライフを送っている。人がこっそり胸のうちにしまいこんでいるような感情を、動物的な本能であっさりと嗅ぎ当ててしまう。
だから、常に『若様』を演じることを義務づけられて、生まれた時からそう躾られてきたことに疑問こそなくても、自己アイデンティティとの狭間で葛藤を抱えている湊にとって、何にも縛られず、そうした因習に一切リスペクトもない隼人の自由さに心惹かれるのは、ある意味必然とも言える。
そんな湊の真っ直ぐ胸元に切り込んでくるような無垢さが恐ろしくて、抗えないほどの強い引力で吸い寄せられそうになるのと同じぐらい強い力で自分を引き剥がして、湊の元から去った隼人。
真綿でくるむように湊を大切に大切に扱ってきた周りの人間の悪意のない優しさと期待。
聡いから、息苦しくてもそこから逃げ出せない湊。そんなみんなの宝物を欲望にまかせて踏みにじるほどの悪辣さも持ち合わせていないから、逃げ出すしかなかった隼人。みんなが善良で少しずつ悲しい。
きっとどんなエンドでも納得できない気がして、読んでいた。でも拍子抜けするくらいにキレイに終わってしまった気がする。まぁ…おとぎ話だからしょうがないか。
隼人の『好きだよ』のたった一言に集約された想い。特にエレベーターのシーンがすごくすごく良くて、さすがうまいなぁと思う。 -
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ネタバレ半ひきこもりでアイドルオタの侑史の前に突然現れたクラスメートの航輝。話したことすらないのに勝手に部屋まで上がりこんで来たこのクラスメートは、クラス全員揃ってないとさみしいしみんなでちゃんと卒業したいーなんていう手前勝手な理論を展開して、あれよあれよと言う間に侑史を強引に外の世界へと引っ張り出してしまう。
国民的アイドル『ほたるん』だらけの侑史の部屋を見て『キモ』などと物事はっきり言ってのける航輝の口調には、でも、1ミリの悪意もない。単純に思ったことを言っただけ…風の正直さに侑史も不思議と腹が立たない。
訳もわからないまま毎日学校へ連れ出され、放課後も頻繁に部屋にやってくる航輝に侑史は困惑する。どうやらクラスでも目立った存在らしい航輝がどうして自分みたいなオタクにかまうのか、戸惑いながらも侑史は航輝の半ば強引な訪問を受け入れていく。
でも種明かしはすぐにされ、学業の傍ら駆け出しの俳優でもある航輝は次の役作りのため、ひきこもりである侑史を観察したいのだと言う。
理由がはっきりして安堵する侑史は、航輝のペースに引っ張られ、次第に航輝のいる世界に溶け込んでいく。
航輝の方でも、初めこそ興味本位だったことは否めないけれど、侑史の繊細なやさしさ、真っ直ぐさに安らぎを覚える。侑史はちゃんと自分をわかってくれる。
侑史の言葉には嘘がないから。その言葉はいつも誠実だから。口から紡ぎ出されるモノと心のうちとはいつもきっかり同質だから。
俳優てしての注目度が上がるにつれ、次第に騒がしくなる周囲。気の置けない幼なじみ達のあえての無関心も心地よいけれど、航輝はやっぱり侑史の言葉が聞きたいと思う。
冒頭では、こんなふたりが一体どうやってお互いに恋愛感情を抱くのだろ…と思っていたけれど、案外スルスルっと恋愛にシフトするまで違和感なく読まされてしまった感じ。恋愛スイッチはなんだったんだろうな、とふと思ったりする。ふたりが潜在的ゲイだったって言うならふんふんと納得なんだけど。お互いがお互いを認め合って惹かれ合ってるのはよくわかったんだけど、ノンケ同士が誰よりも大切な友達を踏み越えて、恋愛対象に至るまでのプロセスがうすらモヤモヤ~としたまま、うまいこと読まされちゃったな。
航輝が実は国民的アイドル『ほたるん』の実兄で、兄妹がお互いに抱いているコンプレックスみたいなモノとか、まだ駆け出しの兄の伸びしろが脅威なのだと、そんな兄に勝ち逃げしたいという妹の切実な心理とか、結構良かったな。
航輝の普通にかっこよくて、そのことに気負ってなくて、時に子供っぽく拗ねたりするとこかわいくて悪くなかった。
青々しいキラキラっとした話でした☆ -
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ネタバレ一穂さん作品群の中で特に好きかと言えばそうでもないけれど、嫌いかと言われれば全然そんなことはないという感じ。
大学に入学したばかりの4月、これから出会うすべてのものへの期待、恐れ。それら全部で、つい体が浮き足立ってしまうような季節。塁は突然知らない誰かに『ヒカリ』と呼び止められる。もちろん自分は『ヒカリ』なんぞではなく、きょとんとする塁に人違いだったと謝ってきた男。自分と同じ新入生の槙志だった。見た目通り浮ついたところのない誠実な人柄の槙志と塁は本来の気安さを最大限に発揮してすぐに打ち解ける。
塁は『ヒカリ』に似ているのだという。人違いだと頭ではわかっているのに、つい声をかけずにはいられなかった、あの切羽詰まった感じが塁はいつまでも忘れられない。何事にも慎重で落ち着いた槙志に似合わないと思ったから。
気になって気になって、それが単なる好奇心なのか、いっそ自分が『ヒカリ』の代わりになりたいのか、塁はだんだんわからなくなる。いつまでも槙志の心の一部を占めている『ヒカリ』
知りたくて仕方ないのに、でも本当は何も知りたくないような、ひとりで空回る気持ち。
そして何の前触れも言葉もない、突然のキス。
えっ何いまの…と戸惑いながらも、塁の気持ちはごくごく自然に恋愛感情にシフトしていく。
そしてようやく明かされる『ヒカリ』の秘密。
外見のしっかり者っぽいイメージの下に隠されていたナイーブで怖がりな槙志。
男と付き合った経験こそ皆無だけれど、そんな槙志への気持ちを募らせていく塁。
素直に高まる気持ちをぶつける自分とは対照的にどこか理性的な槙志につい焦れったくなってしまう。
かみ合わないことが、さらなる焦りを生んでお互い誤ってばかり。こんなことになるくらいなら、好きだけど元の友達に戻ろうと告げる槙志。
こういう展開デタ━━(゚∀゚)━━!!!
慎重で臆病で相手を想うあまり、かえって相手の気持ちを置き去りにしてしまうパターン。
槙志の過去を思えば致し方ないと頭ではちゃんとわかっているはずのに、心が納得できなくてついていけない。
最終的には塁の屈託のなさが、臆病な槙志の心を融かすから、まぁいっか、なのだけどさ。
とにかく塁が嫌みのない、健やかないい子だった。あのご両親あっての塁なのだと強く思う。
槙志も表面的にはしっかり者でそつがないのに、内面に脆さを持っている、そのギャップ感が、塁とは対照的でまた良かった。
一穂さんにはめずらしめの等身大の大学生のモダモダ恋愛してる感じが新鮮で悪くなかったけども、だからこそ尚更『イマジナリーフレンド』なんて特異な設定じゃなくてもよかったんじゃないかな~とも思った。 -
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is in youからの一連のシリーズがおっさん絡みのBLだったので、大学生同士の恋愛がすごくキュンキュンしてるとゆーか、ストレートに見えました。
若さゆえの、迷いなく真っ直ぐ進める感じ←←
だからなのか?割りとスイスイ読み終わっちゃいました。
まぁ内容としては、友達からってゆうベタベタなお話ですが、恋人とは違う、友達だからこそ求められる居心地の良さとか、それを独占したくなる気持ちってあるよね。
自分とその人にしか通じない話し方、空気感みたいな。
いきなり告られて、なのに気にしないでと言われてさらに戸惑って、でも遥を突き放すこともできない暁行は、わりと自然に受け入れて読むことが出来ました。 -
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ざっくり斜め読み。
他の方のレビューで香港蘊蓄が多い、というのを拝見していましたが、確かに多い。再会したての二人の会話がほとんど香港の説明でしかない^_^;
ので、そのへんはさらっと流して読みました。
佐伯さん…先にoff you go読んでいたので、圭輔の若さや勢いに嫉妬する佐伯さんが切なかったです。
一束くんが居るときに、静、と呼んでしまうシーンも。
たぶん佐伯さんも、ハイヒールシャンパンのときから一束くんのこと好きだったと思うよ。
って、これ一束と圭輔の話なのに、なんか佐伯さんに色々持ってかれた感じw
ホントに斜め読みなので、またしっかり読み直したいと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回は障がいを扱ったお話です。
一穂さんはBL業界ではこれでもかってほど、特殊設定をうまく
利用する作家さんではありますが、最近特殊設定でなければ
話が書けないのかな……と思ったり。
題材が題材なだけに、何ともコメントしにくいお話でした。
うるっときたり、じーんと目頭が熱くなることはあったけども、
作者の意図が透けて見える部分が何カ所か合って、そのあたりに
何とも言えないモヤモヤというか、あざとさを感じてしまいました。
基本、障がい設定はデリケートな題材なので、納得させるだけの
展開や書き込みが必要だと思います。
その点、妙にさらっとしていたので、何となく読んで何となく終わった
感じがしました。必要以上に悲壮感出してないので、いやらしさは
感じなかったけども、別にBLじゃなくてもいいと思いました。
そして一番残念なのが安っぽい桃色シーン。
一穂さんって文章綺麗なのに、桃色だけはまるで別の人が書いて
るんじゃないかってほど微妙なんですよね……。
情緒がない、ムードがない、色気がない→萎えるの図式。