山口恵以子のレビュー一覧
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姑の一子(いちこ)と嫁の二三(ふみ)が営む「はじめ食堂」の物語、第12弾。
長らく一緒に働いていた、赤目万里(あかめ ばんり)が料理屋に本格修行に出ることになって「はじめ食堂」を前作で卒業した。
ちょっと寂しいなと思っていたら、毎日、賄いを食べに来てから出勤ですって!
賑やかさが失われなくて良かった。
代わりに入った青木皐(あおき さつき)も、ほぼ勝手知ったるはじめ食堂で、接客はもちろんバッチリ、新しい料理のアイデアも出し始めて、おばちゃん二人の食堂に、また新しい風が吹く。
美味しい料理がいろいろ出てきて、この作品を読むと、なぜか「食べたい」より「作りたい」が先に立つ。
毎日晩ごはんを作るのは -
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物語の舞台は、19世紀半ばに上海に設定された外国人居留地、即ち租界が舞台となっています。
上海租界では様々な様式のモダンなビル群が並び、最先端の文化を享受することが可能な衛星都市で、ファッションの面でも大胆な最先端モードが発信されていました。
『月下上海』で描かれている上海租界は、当時の雰囲気がとてもリアルに描かれ、まるで私は彼の地の風景を眺めているような感覚を抱いてしまいました。
主人公の八島多江子は財閥の美しい令嬢であり、愛する夫との破局を機に、画家を目指して昭和17年に上海に赴きます。
多江子は持前の美貌と才能に加え、物事に動じない性格が相まって、上海租界で画家としての社会的地位を確立し -
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新小岩にある「米屋」という居酒屋の女将・秋穂のもとへ悩みを抱えた客がやってくる。
気取らないけど美味しい手料理に心を開いて話すお客にじっくりと悩みを聞いて気持ちを楽にさせる女将。
こんな居酒屋が、あれば通いたくなる。
そして、お腹の具合を見ながら頼める料理も気の利いたものばかり。
サッと作れるものなのに美味しいとわかるのは、文章の巧みさなのか…。
全5話あるが、さくさくと読めて料理も手軽に作れるものばかりだから試してみたくなる。
「シャボン玉ホリデー」の話が出てきて、これを知ってる人って少ないだろうなぁ…なんて思ってしまった。
なるほどそういうことで、ゆうれい居酒屋なんだ、とわかる -
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東京都中央区佃。江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。『食堂のおばちゃん』シリーズ 10 作目。
全5話で表題作は4話目に配されている。
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本巻のポイントになる話は、1話目と5話目でしょう。
1話目は「発達障害」にスポットを当てた作品です。
こだわりや思い込みが強い傾向にあるのが発達障害を持つ人たち。それは食べ物の好き嫌いにも顕著に現れます。
それでも味覚の嗜好が狭いだけで、かつて口にできな