山口恵以子のレビュー一覧
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霊能者が写真を見て「家系に早死にの相が見える。この人の母親の悪い流れが孫に…」と言うエピソードが。このことでニ三おばちゃんは不安で仕事中もそのことが頭から離れなくなってしまう。親にとって「子どもに何かあったら?」はかなり大きな不安。
この作者さんは他に元占い師が主人公の作品も書いてるので、占い師や霊能者を否定はしないのだろうし、この作中でも肯定している。
実際どうなんだろう?本当に見えるのかな?
という、作品とは関係のないところで考え込んでしまった。
食堂のメニューは相変わらず美味しそう。韓国料理まで幅が広がり、どの年齢層にも対応しているこのお店、近所に欲しい。
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元・人気占い師の玉坂恵が1人で切り盛りするおでん屋「めぐみ食堂」を舞台にした連作短編ヒューマンファンタジー。シリーズ10作目。
◇
11月に入った。秋も深まり温かいものが恋しくなる季節になる。恵は今日から主力メニューのおでんに餅巾着を使った新作を加えて出す予定だ。常連さんの驚く顔が目に浮かぶようで、つい顔がほころぶ恵だった。
この日の口開け客は沢口秀と二本松楓。どちらも30代前半の独身クールビューティで、気持ちよいぐらいよく食べよく飲む。まずは生ビールで乾杯したあと、これからの季節の1杯めに軽めのホットドリンクがあればいいのにと言い出した。
そこから話題はホットビールやホットワインへと移り、ドリンクメニューに加えようかと恵が思っていると、また引き戸が開いた。
続く2人連れも常連客の織部杏奈と麻生瑠央。杏奈はめぐみ食堂で知り合った男性と結ばれたが瑠央はまだ独身で、現在婚活中である。
自然と話題は婚活や結婚に移り、秀と楓も加わって賑やかなひとときになった。
やがて10時を過ぎ最後の客が席を立った。恵が片付けをしていると引き戸が開き、真行寺が入ってきた。
来るのはいつもは看板時なのでこの時間は珍しい。おまけに若い女性を連れている。手土産だと言って子持ち昆布を恵に渡した真行寺は、連れの女性を紹介した。
彼女は桂木日向という名で、自分と同じく児童養護施設愛正園の出身だと言う。実は真行寺が日向を同伴したのには理由があった。
( 第1話「一皿目 早すぎる子持ち昆布」)
※全5話。
* * * * *
本巻での中心は桂木日向の「進路」です。 ( 婚活でないところが珍しい )
桂木日向は愛正園の出身で、謂わば真行寺の後輩に当たります。
日向の仕事は実演販売士。明るくコミュ力に長けていて、実演にも工夫をこらすなど頭もよい日向には、その売り上げのよさから依頼が殺到。収入もかなりあったそうです。
ところがコロナ禍で仕事が激減したことでフリーで働くことの不安を知った日向は、自分の店を持つことにしたのでした。
日向は、対面で人にプレゼンすることが楽しく料理好きなことから、自分で商売するなら気の利いたアテを出す小料理屋を開きたいと考えて、真行寺に相談しました。
真行寺が日向の研修と女将見習いの場所に選んだのがめぐみ食堂だったというのが、今回の同伴の理由です。
飲み込みが早く気働きのできる日向は、めぐみ食堂でもたちまち親しまれ、店に華を添える存在に。料理のコツ、お酒の合わせ方、そして客あしらいの呼吸と、恵の教えをどんどん吸収していく日向。このまま順調に小料理屋開店まで行くのかと思っていたら……。
不穏な空気が漂い始める終盤。裏社会にも多少顔の利く真行寺がついているとはいえ、かなりハラハラさせてくれます。
その他、本巻の見どころを2つばかり紹介しておきます。
1つめは、麻生瑠央の婚活です。
藤原海斗のAI結婚相談所に入会したものの、マッチング相手は瑠央のスペックの高さを意識してしまい、虚勢を張るか尻ごみするかでうまくいきません。めぐみ食堂を訪れては愚痴っていた瑠央は、たまたま藤原海斗が連れてきた男性がなぜか気になる存在に。婚活食堂の本領発揮なるか!?
2つめは、他作品とのコラボです。
まずは日向が交際中の彼氏と居酒屋探訪で訪れたのが佃の「はじめ食堂」。一子も二三も皐もイキイキ働く姿が描かれていました。
続いてめぐみ食堂に客として訪れた老人2人。この2人こそ誰あろう沓掛音二郎と谷岡資です。しんみり話す内容が、ずっと昔に死んだはずの自分たちの父親と米屋の秋穂女将がなぜか目撃されていることについて。話の内容が妙に気になる恵でしたが……。( ただ、私の勘違いでなければ、死んでいるのは音二郎ではないかと思うのですが。この酒席に谷岡資とともに来ているのは息子の沓掛直太郎ではないのでしょうか? )
ともあれ、どちらもとんだサプライズで楽しく読ませてもらいました。
山口恵以子さんのファンなら絶対うれしい作品に仕上がっています。 -
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自分の子供に何かを与えてあげたくて結果的に毒親としてしか振る舞えない女性を描いた物語。主人公は超絶美貌かつ東大卒という設定で天与の物も努力で勝ち取る事もしてきたのに、それでも自分が手にできなかった何かを必死で与えようとするあたりがうまく考えられてる。親という生き物の業を見せつけてくる。自分が誰かの親かどうかで読み方がだいぶ変わってくるように思う。俺は主人公のエキセントリック過ぎる振る舞いを半ば呆れつつ読みながら、ふとした時に愛する子に対して抱いてしまいすぐ打ち消した失望や残酷な気持ちを思い出して冷や汗をかいた。物語としては好き勝手振る舞った主人公が因果応報的に孤独になって終わるんだけど、ラストは痛快。徹底してるわあんた。
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東京都中央区佃。
江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。『食堂のおばちゃん』シリーズ12作目。
◇
昼前のはじめ食堂。今日もランチの準備に一子たちは余念がない。
二三が炊けたばかりのごはんをお釜から電気ジャーに移していく。ガス釜で炊いたごはんは香ばしいおこげができて相変わらず美味しそうだ。
二三がジャーにごはんを移し終えると、今度は一子の出番だ。ホカホカのごはんを杓文字で適量すくい、すばやくおにぎりにしていく。
ふんわり美味しいおにぎりは4つ。一子と二三が1つずつ。残る2つは皐だ。
皐は割烹に修業に出た万里に代わり、先日からはじめ食堂を手伝ってくれている。モデルタイプのスラリとした身体と美形と言っていいきれいな顔だちをしている皐は、化粧をほとんどしていなくてもやはり目を引く。
実はこの皐、最近まで勤めていたショーパブでNo.1を誇った人気ダンサーなのだ。
将来、味噌汁を中心にした店を出したいという夢を持つ皐のために、まずフロアでの接客の勉強をさせているが、天性の明るい魅力は常連たちにも好評だ。また、はじめ食堂で出す味噌汁も勉強を兼ねて皐が作っていて、これも評判がよい。
万里が1人で切り回していた厨房は一子と二三の2人で担当しなければならないため、皐の即戦力ぶりは一子たちにとって正直なところうれしかった。
こうして新体制で回り始めたはじめ食堂。慌ただしかったランチタイムが終わり、休憩時間を挟んで夜営業の居酒屋タイムがやってきた。
皮切り客は常連さんの辰浪康平だ。食堂に酒類を卸してくれている酒屋の跡取り息子である。
いつものカウンター席に座った康平。今日も瑠美と待ち合わせのようだが、いつもと違ってどこか元気がない。二三が理由を尋ねたところ……。
( 第1話「初夏のサラダ祭り」) ※全5話。
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本巻のメインは辰浪康平と菊川瑠美という常連同士の恋の行方です。
康平と瑠美はどちらもアラフォーの独身。はじめ食堂で顔を合わせるうち親しくなり、いつしかデートをする仲となった2人。本巻ではついに互いの両親に紹介し合い、結婚秒読みかというところまできました。
本作の人間模様はこれまで亡くなったり別れたりが多かったので、やっとメデタイ話が♥と期待したのですが……。
営業から配達まで酒屋の中心となって切り盛りする康平に、人気の料理研究家として多忙な日々を送る瑠美。そんな2人が結婚後の生活について出した答えは、なんと別居婚。難色を示したのは康平の両親でした。その気持ちは十分理解できるだけに、どう決着がつくのか気になります。
ただ表題作の第5話で少し希望が持てる展開になりはしましたが、お楽しみは次巻に持ち越しとなりました。 ( 引っ張りますねー。)
その他に、興味深かったことが2つ。
1つ目は、第3話「たまごのキノコ」に登場した鹿肉。
足柄の民宿に小旅行に出た一子たちが舌鼓を打つのですが、鹿の刺し身が大好物な身としては、読んでいてノドがゴクリと鳴りました。
この足柄の鹿肉は万里の修業先である割烹八雲で扱うことになったので、今後の八雲の料理が楽しみです。
2つ目は、最終話でついに『婚活食堂』の舞台、「めぐみ食堂」が登場したことです。訪れたのが康平と瑠美のカップル。付き出し全部乗せと自慢のおでんがやっぱりそそります。
クリスマス・イブの夜はレディ・ムーンライトの手料理。ターキーやチキンの代わりに鶏ガラ出汁のおでん。なかなか洒落ているではありませんか。
残念ながらこの店の常連さんは出てきませんでしたが、恵女将は元気そうでうれしくなりました。
実は、めぐみ食堂に酒類を卸しているのは康平とこの辰浪酒店ではないかと思っていたので、予想が外れて少し残念です。
それでもちょっぴり得した気分になった最終話でした。 ( 今回も名前だけ登場の「食堂メッシタ」も、そのうちきちんと満希さんともども登場させて欲しいと思います。)
営業妨害が入ったり旅先で要が急病で倒れたりと困りごとはありましたが、最後はきれいに収まって満足して読み終えました。 -
Posted by ブクログ
月刊誌のランティエで連載されていて、確認したらシリーズ13の途中から16まで読んでいたが、最初の方を読んでいなかったので探して読んで見た。
「はじめ食堂」の歴史や一子、ニ三の義理の親子の関係性も良く分かった。早くに亡くなった二人の夫が家庭料理店を始めるキッカケに納得。
超一流だった一子の夫が帝都ホテルでも上位にいた「幻のビーフシチュー」の人情話しが良かった。また、アルバイトでいたという万里が働き出した経緯も出ていた。ニ三の息子と思っていた「要」が娘だったことに驚く。名前と登場場面が少ないための誤解だった。
文庫本には本に出てきた料理のレシピが著者の解説で18も載っていた。作品中では美味しく思えたのだが、やはり普通の家庭料理では作る意欲が・・?