山口恵以子のレビュー一覧
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ネタバレ老舗料亭の一人娘だったさち子。だが、看板板前だった父が急逝し、店を急に任される事になった婿の伸也は老舗の重圧に耐えかね、離婚届を置いて失踪してしまう。さち子は妊娠五ヶ月でシングルマザーの道を進む事になり…
中々ハードな人生を送ってきたさち子。家政婦をしていたとあるお宅で、出張料理人をやらないかと提案されて始めたのが大当たり。出てくる料理がどれも依頼人の心に寄り添っていて、美味しそうだしほっこりしました。
ラスト、元旦那が店を開く事になって家族で食べに行ったのが、あまりにあっさりでビックリしました。割り切れるさち子が凄い。ドンパチを期待した訳ではないけど、ちょっと拍子抜けな所でした。 -
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母娘関係を扱ったもの、最近多いな。これは昭和の受験戦争を行きぬいた母が、わが娘にもお受験を無理強いし、最強の毒母になる物語。
最近、毒母ってとても悪者扱いされて、新書とかでは「母を棄てるべし」みたいなのも目にするし、有名人が実は私の母は毒母でしたと告発(?)する例もある。この小説でも、主人公の毒母ぶりは最悪に違いない。しかし毒母ぶりを描いているだけの小説なのになぜか、主人公”りつ子”が”母”でなく、一人の女性であったならば、決して悪い人間ではなく、美貌をそなえ、賢く、自律しており、人に流されず、一生懸命に努力して生きてきた強い女性なので、「なんてヒドイ母親なんだ!」とは思えなくなる。そこが小説 -
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飯山さちこは明治から続く老舗料亭「花菱(はなびし)」の一人娘だった。
家政婦を経て、今は「出張料理いい山」として、依頼人の自宅に出張して料理を作っている。
日常の作り置き、パーティー料理、病人のための特別料理など、内容はさまざま。
依頼人のプライベートにはかかわらないを旨としているが、訪問した先で、料理にまつわる相談事は避けては通れない。
人は様々な悩みを持ち、ときとしてゾッとすることも、ムッとすることも、ホッとすることも?
ほとんどが、3~4分で読める掌編なので、「ひと駅で読める美味しいお話」と言ってもいい。
さち子自身のドラマも挟み、すっきり明るい気持ちになれる最終章によって、短編集だと -
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「食堂のおばちゃん」シリーズ第7弾。
ピリピリするような事件も起きず、謎解き要素も少ない。
しかし、気がかりが一つ二つ回収されて、それは日常の小さな幸せである。
どのように“老い”と向き合うか、というお話がメインだった気がする。
迷惑な老人になったらいいことは一つもない。
親の老いとどう向き合うか。
自分の老いをどう受け入れるか。
心残りをそのままにしないこと…など。
親を見送った作者の体験から来るものや、日々の中で考えることが作品になっているのだろう。
第一話 うちのカレー
第二話 ぶっかけ素麵で行こう!
第三話 漬け丼の誓い
第四話 豚汁を止めるな!
第五話 危険なモンブラン
カレール -
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ネタバレ恵以子さんの「食堂のおばちゃん」シリーズは愛読している。
出演された“くりいむクイズ”も観ました。
しかし、その陰で高齢のお母さまを在宅介護されていたとは!
自分も高齢の母親を持っているので、他の人はどうなのか、ましてや好きな作家さんの一人なので、気になって手に取りました。
「おばちゃん街道」を読んでいたので、自伝的部分は重なっていましたが、介護のお話は初めて読みました。
しかし、これは介護の愚痴を書いた本ではありません。
恵以子さんは、お母さんが大好き。
それは、お母さん側の、愛される性格にもあるようですが、何といっても一番は「相性がいい」ことが重要らしいです。
親子でも相性が悪ければ -
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一万円選書の中の一冊。
読み始める前は「上海の話かあ。なんか地名とか読めない漢字ばっかとかで、読みにくそう」と思ってましたが、そんな心配ご無用、でした。読めなくたってどうでもよい。話がおもしろい。
菊池寛が出てきたので、え、八島多江子って実在した人物?と調べたりしてしまいました。
お金持ちはたとえ戦時中でも優雅なのねえ。東京編が面白かったです。瑠偉よお……。
ただ、夏のところに潜入するのがあまりにあっさりすぎて、しかもそのエピソードがそんなにこの本の中では重要じゃない感じで、やや拍子抜けでした。
選書でどうしてこの本を選んでくれたのかなあ?と考えました。私が戦時中の話が好きなことと、