山口恵以子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の子供に何かを与えてあげたくて結果的に毒親としてしか振る舞えない女性を描いた物語。主人公は超絶美貌かつ東大卒という設定で天与の物も努力で勝ち取る事もしてきたのに、それでも自分が手にできなかった何かを必死で与えようとするあたりがうまく考えられてる。親という生き物の業を見せつけてくる。自分が誰かの親かどうかで読み方がだいぶ変わってくるように思う。俺は主人公のエキセントリック過ぎる振る舞いを半ば呆れつつ読みながら、ふとした時に愛する子に対して抱いてしまいすぐ打ち消した失望や残酷な気持ちを思い出して冷や汗をかいた。物語としては好き勝手振る舞った主人公が因果応報的に孤独になって終わるんだけど、ラスト
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Posted by ブクログ
東京都中央区佃。
江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。『食堂のおばちゃん』シリーズ12作目。
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昼前のはじめ食堂。今日もランチの準備に一子たちは余念がない。
二三が炊けたばかりのごはんをお釜から電気ジャーに移していく。ガス釜で炊いたごはんは香ばしいおこげができて相変わらず美味しそうだ。
二三がジャーにごはんを移し終えると、今度は一子の出番だ。ホカホカのごはんを杓文字で適量すくい、すばやくおにぎりにしていく。
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Posted by ブクログ
月刊誌のランティエで連載されていて、確認したらシリーズ13の途中から16まで読んでいたが、最初の方を読んでいなかったので探して読んで見た。
「はじめ食堂」の歴史や一子、ニ三の義理の親子の関係性も良く分かった。早くに亡くなった二人の夫が家庭料理店を始めるキッカケに納得。
超一流だった一子の夫が帝都ホテルでも上位にいた「幻のビーフシチュー」の人情話しが良かった。また、アルバイトでいたという万里が働き出した経緯も出ていた。ニ三の息子と思っていた「要」が娘だったことに驚く。名前と登場場面が少ないための誤解だった。
文庫本には本に出てきた料理のレシピが著者の解説で18も載っていた。作品中では美味しく思え