土屋京子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
よい魔法とはみんなが使える魔法なのだ
誰も彼も、大人も子どもも、老人も、キツネもカラスもこまどりも、子羊だってリスだってポニーだって使えるのだ
そうだ自分も今日からよい魔法を唱えよう
土屋京子さんの『秘密の花園』である
え?原作はバーネット?フランシス・イライザ・ホジソン・バーネット?
わーっとるわ!
分かってて言うとるんだわ!
それほど土屋京子さんの新訳がすんばらしかったんだわ!『秘密の花園』史上最高の日本語訳だわ!
他の訳一切読んだことないけど言い切れます
とっても分かりやすいのはもちろんだけど、ご自身があとがきで仰ってるんですが、まず土屋京子さん、この『秘密の花園』を児童文学ではなく大人向けのものとして向き合ったみたいなんですね
それがまず大成功だったんじゃないかと思うんです
そしてこの物語の重要な要素であるヨークシャー訛りの和訳もすごかった
ヨークシャーってのはイングランドの北部地方なんだけどけっこう訛りのきつい方言らしいのね
これがまぁ英語なんてちーとも分からんのにヨークシャー訛りにしか思えんのよね
ヨークシャー訛りを和訳したらこうなるだろうなとしか思えないほど自然
そして3人の子どもたちがまあ生き生きとしてるのよ
花園の描写も素晴らしい
まさに魔法使いですよ、土屋京子さん
もしこれから『秘密の花園』を読もうとしてる方は絶対土屋京子さん訳で!というのはもちろんですが、過去に『秘密の花園』を読んだことある人も土屋京子さん訳で読み直してほしい!
そのくらい素晴らしかった
もちろん内容も(今さら) -
Posted by ブクログ
ネタバレつい最近光文社文庫で新訳ができたということで、昔からタイトルだけは知っていたものの読めてよかった。世界史の資料集で『奴隷制度を告発した』とか紹介されていたような気がしたのでもっと堅苦しいものかと思っていたが、当時の実情を知るのみでなく読み物としてもとても面白かった(最後のハリス一家の大団円はできすぎ感も否めないが)。登場人物それぞれのキャラがたっており、奴隷制度への受け取り方もさまざまに描かれているのも興味深い。また、黒人奴隷の側も必ずしも善人ではないのもよかった。
現実にはジョージ坊ちゃまのいないアンクル・トム、逃亡に失敗するハリス家が多かったのだろうと胸が痛む。
これを受けて昨今に残る差別問題・アファーマティブアクション等をどう考えるかも重要なんだろうなと思う。また、あとがきにもあったがリベリアのその後の国際的立ち位置も気になる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ南部のシェルビー家いたトムは、ある日借金返済を含め、売られることになる。いつか買い戻すと言うことを信じて、ニューオーリンズの奴隷市場へ向かうことに。トムは南部ニューオーリンズに向かう船の中で主人サンクレア氏と一人娘エヴァに引き取られる。サンクレア氏の下で、とても幸せに過ごすがある日一人娘のエヴァは心臓の病で亡くなり、続けてトムを解放しようとしていた主人のサンクレア氏もカフェにいたところ喧嘩に巻き込まれて突然亡くなる。
残された奴隷たちは、主人のサンクレア氏の妻マリーと過ごすが奴隷市場に売られることに。トムとアドルフと他6人はスケッグズ氏によってリグリー家に引き取られていくことに。トムは具合の悪いムラートの女を庇うところを主人のリグリーに見られて
いた。リグリーはトムに女に鞭を打つように命令されるが、頑なに拒む。主人の命令に従わないトムに対して鞭打ちを続ける。さらに奴隷の逃亡の手助けをしたとしてリグリーはトムを鞭で死ぬまで鞭を打つ。奴隷を買い戻しにきたジョージ•シェルビーが来た時に最後息を引き取る。
字は読めないトムが、聖書の教えと共に、たとえ主人が変わっても信じて生きていた。不安定な奴隷という立場ではあるが、奴隷制下の情況を知る名作だと思います。奴隷解放も叶わず売られてしまった先で、奴隷を買い戻しにやってきたジョージとの再会も含め、結末は悲劇ではあるがエヴァの導いてくれたものがあったのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
面白かったし他の人にも勧めたい。
世界史の資料集にタイトルが出てきたのを何となく覚えていて、ちょっと前にハックルベリー・フィンの冒険を読んだりBLM運動もあったりしたのもあって黒人奴隷・差別の歴史に興味を抱いて読んでみた。
程よい人数の登場人物と場面切替もあり読みやすい。トムが真面目実直な人物だからこそどうか少しでも良い生活を送って欲しいと思う(下巻はまだ読んでないので)。奴隷を「使う」側の白人の側にも良心的な登場人物がいて救われる。また、奴隷制度廃止の北部の心情の中には、(オーガスティンの推測としての)オフィーリア嬢のように近くに置いておきたくないという立ち位置もあるつと
奴隷にされ酷使されるということそれ自体がもちろん許されないことで、今まで自分はその面しか見れていなかった。しかし、愛する家族との別離をいとも簡単に強いられてしまうことや、さらに白人とは脳の作りが違うんだからその別離も大して辛いと思わないだろうと知性も見下されていること、アメリカという国の法律のもとでは奴隷制度が公に肯定され逃亡した奴隷側が悪になってしまうことなども含めた様々な面での苦しみがあると学んだ。
聖書の引用がかなり登場するのも印象的。今は奴隷制度を肯定していても(作中にもあるが宗派にもよっては否定派もあり)綿花の相場が下がればどうなるかわかったものではないという言葉もあり、教会の奴隷制度に対する立ち位置も興味が深まる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ解説までしっかりと面白かった。おもしろいなあと思って読んでいたけれど、そこまで人気だったなんて知らなかった。
知らないことが多いな。そして、それだけの人が読んでいた、ということもものすごく意味のあることだと思う。
奴隷制度が普通だと思う価値観ってどんな雰囲気なんだろう。時代の価値観って人間の道徳心よりも上回るものなんだ。
今の私が正しいと思っていることも、実際は正しくないのかもしれない。と思って読み進めていました。やっぱりおかしいってたくさんの人が思ってたんだって思ってよかった。
昔の人間も今の人間と地続きになっているって感じれてよかった。
トムがリグリーの暴力に耐えているシーンが、黒人が白人に対して無抵抗である事を肯定している!許せない! というような意見があったらしい。めちゃくちゃ驚いた。一番強い戦い方で反撃の方法だなあと感心して読んでいたので本当に驚いた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻から引き続きサンクレア邸でのエピソードかま始まる下巻。奴隷制度はキリスト教の教えを基盤にしていかに間違ったことであるかを滔々と読者に問うだけではなく、とても様々なエピソードを盛り込んだとても読みごたえのある興味深い作品と感じた。奴隷商人のような根っからの悪人は勿論、サンクレア氏の妻マリーのような読み手の感情を逆なでする存在は小説にとっていかに必要を感じる。
それにしても奴隷制度のいかに残酷なことか。読んでいる間、自分ならどう行動するかを常に考えていた気がする。既にこの本が生まれた時期に生存していた人はおらず、世代は何度も代わって入るものの制度が落とした禍根は未だ根を張っているだろう。この作品の持つ力が将来の差別偏見を無くするための力としてまだ存在するべきと感じた。 -
Posted by ブクログ
ものすごく面白かった。まさに現代訳、と言うような雰囲気の作品。すらすら読める。現代訳ってすげー! 他の訳を見たわけではないけれど。
思わず眉を顰めるような表現はあるけれど、それはその当時の価値観に対してで、一番最後にある差別を助長するためではないことは、読んでいてわかります。
逆にそういうところを修正すると、その時代のことが全く分からなくなってしまうので、こうして不快に思われるだろうなと思いながらでも、そのまま訳してほしい。
私のイメージでは犬猫を飼うイメージで、黒人を所有していたのかなとずっと思っていたので、こうした価値観のある人たちがその当時にもいたのかなと思うと嬉しくなるけれど、そういう人たちがいたからこそ、奴隷制度は過去のことになったんだろうなと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレトム・ソーヤーの冒険よりも文学的に評価されているとと聞いていたが、たしかにこちらの方が面白かった。トム・ソーヤーの方は次から次に「なんでそんなことするの…」というようのいたずらばかりで保護者の方に同情してしまっていたが、こちらではスタートからして閉塞感のある未亡人宅や現代風では「毒親」である父からの脱出だというのもあり、社会についての疑問の独白もあり一部は共感できた。トム・ソーヤー以上にすぐ殺し合いだのリンチが起こるしナチュラル人種差別が根底にあるしと倫理観の差に驚かされる。簡単に他人の家に上がり込んでしばらく滞在したりとおおらかさもある。また、近代と思いきや未だにかなりの迷信が登場するのも少し意外。
懸賞金のかかっているジムを通報せずに旅を続けることの是非を自問自答するシーンは特によかった。 -
Posted by ブクログ
『罪と罰』を読もうと思ったら貸出し中でした
生意気な!(どの口が言うか!)
しょうがないのでみんみん繋がりでこっちを
遥か昔に読んたことあるはずなんですが…
あれ?こんなに面白かったっけ?
新訳だからでしょうか?
読んだ当時は男の子だったからでしょうか?
(今女性という意味ではない)
まぁ、いいです
とんでもなく面白かったです
これは今の子たちも絶対読むべきだわ
孤児のジュディからあしながおじさんへ宛てた手紙で構成される本書ですが、この手紙が素晴らしいんですよね
フリとオチがちゃんと分かってるんです!!
(ここは強く言いたいので「!」を2個使いました)
丁寧に丁寧に振ってすとんと落とす、素晴らしい
世が世ならジュディは素晴らしい放送作家になっていたことでしょう
R-1チャンピオンもありうる
そしてジュディの手紙には毎日を明るく前向きに過ごすための言葉がたくさん込められていました
心が沈んだときに読めばどんな特効薬より効きそうです
そしてまあもちろん気付いていないのはジュディだけという最高のハッピーエンド!
言うことなし!!! -
Posted by ブクログ
児童向けと分類されており、小公女、小公子と並ぶバーネットの作品と言われている本書。とても単純な筋でありながらも結構なページ数を備えた本書はその丁寧な登場人物達の心の洞察や出来事の表現力や自然への洞察力によるもの。サスペンスなどとは違い、読み手にはその後の展開が明らかに見通せているが、読み手の愉しみは如何にその展開が素敵に提示されるかであって、その点においては読み手の期待以上のものとなっているのでは思う。特に最終章では
目線が主人公の一人、コリンの父親目線に切り替え、その父親もその後迎える結末について予感めいたことを考えている様子て、この章に至るまで散々説明されている「魔法」の作用について、この奇蹟を読者に納得させることに成功している。
大人に翻弄された子供が卑屈に育ってしまうこと、環境の変化と運命の人との出会いの化学反応により正しい人の有り様に気がつくところにこの話の大筋の醍醐味があるが、子供達の劇的な変化に大人達が驚愕する様も本書の大事な要素。タイトルの「秘密」は秘密の花園とコリンの父親への秘密の掛け合わせであることは言うまでもないが、後半でやたら使われる「魔法」とは超常現象ではなく自己が未来に向けての希望を唱える呪文により実現するものだと感じさせてくれる。
巻末の解説も深い考察で読み応えがあります。
類似の古典作品をもっと読みたくなりました。