Posted by ブクログ
2022年01月01日
恥ずかしながら初読である。小学生の時だったか、岩波書店版の『ライオンと魔女』は読んだ記憶があるが、その先のシリーズまでは手が出なかった。理由はよくわからない。きっと飽きっぽい性格が災いして、一つの話がずっと続くものは避けたのだろう。そういえば、ナルニアと並ぶファンタジー巨編の『指輪物語』も『ゲド戦記...続きを読む』も、実際に読んだのは大人になってからだった。
そんなわけで、この正月休みを利用して、積年の心残りであったナルニア国物語にチャレンジをすることにした。
さて、岩波書店版と書いたが、本書『魔術師のおい』は岩波書店版ではシリーズ6作目にあたる。それが、この光文社文庫版ではシリーズ1作目となっているのは、岩波版が原著の刊行順としたのに対し、光文社版が作中の時系列順としたからである。
主人公はディゴリーとポリー。病気の母親と一緒に伯父と伯母が住むテラスハウスにやってきたディゴリーは、お隣の女の子ポリーと仲良くなり、屋根裏の探検を始める。屋根裏!子どもなら敏感に反応するに違いない。ルイス先生、わかってらっしゃる。そして、迷い込んだ伯父の部屋から、魔法の指輪で異世界へ行き、強大な魔女ジェイディスを復活させてしまうのだが…。
これはナルニアという世界の創造のお話だ。かの有名なライオンのアスランは威風堂々と登場したが、おぼろげに覚えていた衣装だんすが通路という設定ではなかった。それは次巻以降のお話か。
よく書かれた児童文学は大人が読んでもおもしろい、を地でいくような小説。本当におもしろく読めた。だがやはり、子どもの頃に読んでいるのが一番幸せな読み方だろう。子どもなら、途中で会社のメールやニュースが気になったり、キリスト教的な世界観が気になって作者のルーツを調べ出したりすることなく、一気に読み通したに違いない。少しの後悔とともに、2作目に進みたい。