沢村鐵のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ふだん警察小説など読まない私がこのシリーズを手に取ったのは友人が面白いと薦めてくれたからだが、見事にはまった。
文章にリズムがあり、キャラクターの書き分けが的確にできていることから、相当に力のある書き手だという印象を受ける。岩沢、上郷、区界の描出が特に際立っている。
これほど登場人物が多く複数のストーリーが同時並行するのに、混乱することはなかった。ちょうど完結のタイミングで、ラストまで一気読みできたのも良かったのだろうが。
ありがちな娯楽小説になっていないことが何より好感が持てる。ただの売れ線狙いではこんな構成や終わり方を選ばないだろう。警察の闇にとどまらず、もっと大きな闇を捕らえようとしており、深いテーマ性を感じる。
実に興味深い作家に出会えた。近刊は全く別のジャンルらしいし、今後は警察小説以外のものを読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
テロリスト集団が国会を占拠し、与党の疑惑議員を証言台に立たせ国民裁判を始めるという前代未聞の事件が勃発。
謎のリーダー「コッカイくん」が暴く疑惑は、現実の事件をなぞるものばかりー国有地払い下げ、改竄されられた公務員の自殺、”学術会議”に推薦されたメンバーの非承認、カルト教団との癒着問題、信者二世による癒着の要にいた元首相狙撃と国葬問題、さらには裏金問題等々、文庫書き下ろしならではの同時代性が。
最新のポリグラフを駆使し、疑惑が暴かれる議員にネット投票で判決が下され、別室で処刑が執行される。
科される刑は、焚刑、舌を抜く、議員辞職、無罪放免、戦々恐々とする議員たち。
この非常事態に、公安と自衛隊が動き出し、主導権を巡って双方のつばぜり合いが繰り広げられる。
暗澹たる処刑のクロ状況が一転シロ状態に、さらにクロ状況と、めまぐるしく反転する。
一筋縄ではいかない展開に、エンタメの醍醐味を味わう。
現代日本の政治状況に一石を投じるこのような小説が、今後も著されることを期待したい。 -
Posted by ブクログ
ミステリだけど、青春物語…という、裏表紙のあらすじ文やや巻末解説者の言葉に納得。
終始雨に包まれたような、薄暗い世界観の中で紡がれる物語。あいだあいだに挟まれる、仲間たちとの交流に心を洗われつつ、きっと重く哀しく切ないものになるのだろうとしか思えないラストシーンへ向かっていく…。そんな読書時間を過ごした。
ミステリらしくちょっと驚くような謎の開示となる展開も見せつつ、やはり上記にも記したように、少年たちの成長の物語でも、確かにある。
★4つ、8ポイント。
2018.12.13.新。
※自分の読解力の無さが悔やまれるのみなのだが…終盤での路子の台詞、埠頭での対決シーンの終わり、藤原が驚愕の目で路子を見つめていた意味・・・・が、どうしても分からない。
↑だれか・・・・解説してください。
※娘の仲間だからと、いち中学生に捜査情報を教えたり、証拠品捜索の場に立ち合わせたりってのは・・・・ね・・・・。まあ、作者のデビュー作であるらしいので(文庫化にあたり書き直した、という記述もなかったし)、仕方ないのかな。
※ヒロイン路子よりも、由香のほうがよっぽど魅力的だったけどな・・・・・・。 -
Posted by ブクログ
全容がほぼわかってきました。夢みたいな話だけど、現実にはありうるかも。だから一部の既得権者の間でひた隠しにするのも理解できるし、実際にそういう世の中です。自分や自分の大切な人の命を手玉にとられたら、どんなに使命感に溢れた人でも一度は屈してしまうだろうな。あの渋谷のスクランブル交差点の儀式、気持ち悪過ぎ。世界で「神」なんて呼ばれてる人なんて悪魔とどう違うのかさっぱりわかりません。上郷さん、あっぱれ!最初からわかってたとはいえ、相手の正体がわかるにつれクランが余りに少人数過ぎて、どうやっても討ち死にしか結論がない気がして。あ~、どんな形であれ最後までみんなが生き残ってほしいけど無理なのかな。晴山さん、何で神に好かれてるのかな?まっすぐだから?