奈良千春のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ美大生の小菅純太は、大学を二年留年し、プロを目指しているわけでもないけれどベーシストとしてライブをし、ギャンブルにはまり借金をし、卒業も就職も見込みのないまま日々をただだらだらしながら生きていた。
そんな時、大学の先輩の紹介で向かった新しいアルバイト先で、少し変わった男と出会う。
彼は、誰とも口をきかず目も合わせないが、とてもきれいな男だった。
小菅は一瞬にして、この波古一貴(通称:ハコイチ)の瞳に魅せられてしまう。
当初、小菅の言うことにも誰の言うことにも答えてくれなかったハコイチだったけれど、小菅が彼の隣で悩みや辛さを話すのにそっと耳を傾けてくれていた。
そしてある日、たまたまコンビニにいた小菅がハコイチを見つけたことから、二人の関係が変わり始める。
初めて職場の外で会ったハコイチに小菅が必死になって話しかけると、初めてハコイチがその言葉に声を返してくれたのだった。
聞けば今年ほど、 2人の勤めるデザイン会社の社長の命令で、社長以外の人とは口をきいたことがなかったらしい。
その5年ぶりの相手が自分だったことに、喜びを覚えた小菅だったけれど、ハコイチの言葉はいつでも飾り気がなくまっすぐで、時々小菅の心を酷くえぐるものだった。
そんなハコイチをいじめたい気持ちになったり、独り占めしたい気持ちになったりと小菅の心は乱れまくる。
ハコイチのお陰で、せっかくもう一度デザイナーになりたいと思えたはずなのに、自業自得の借金により、その道が再び閉ざされようとしていた。
という話でした。
ハコイチは「バカがばれるから黙ってろ」と言われた約束を律儀にも守り続ける基本的には自分の気持ちに嘘もつけない正直者で、約束もちゃんと守る。
だからこそ、恵まれない子供時代を送っていたために、漢字も読めない、いろいろな経験が少ないことで間違った道に進んでしまったこともあったりもする。
一方の主人公の小菅は受験にすべてのエネルギーを使い果たし、そこでエネルギーの切れてしまったダメ学生。
自分以外の同級生の凄さや才能に、打ちのめされて何もかものやる気を失ってしまい、落ちるところまで落ちてしまっている。
そんな彼に、ハコイチのかける言葉は、お世辞や嘘を含まない分だけまっすぐに刺さってくる。
小菅はそんなハコイチのまっすぐなところに惹かれ、ハコイチはそんな小菅の頼りない部分を守ってあげたいと感じるようになる……
という話でした。
いろんな感情が溢れて、ジーンとなってしまいました。
私の場合は、それが高校だったのかもしれなかったけれど、入ったら思いもよらずに特進クラスにいて、でも自分の力が及ばなくて、ずるずる下がってくる感覚。
そういうのを味わされるのはいやですよね……
多分、小菅くんが味わってきたのはこんな感情。
でも、この物語中で何度も言われていたように、他の人の気持ちを想像することができても実際に感じることはできないので、それを安易に口にするのは確かによくないかもしれないなぁと思います。
ただ、聞いているよとう空気やオーラを出しておき続けるのはやっぱり必要なことなんだと思います。
驚きの1冊目の単行本でこのクオリティーで、こんなに少し切ない話が書けるなんてすばらしいと思います。
この話の続きではなくて構いませんが、次の本を読むのを楽しみにしています。 -
購入済み
世知辛いス。
本作はBLカテに囚われず「仕事に生きる男の世界」がテーマですかね。「エス」から本作まで篠塚って感情の起伏が少なく鉄面皮でクール、という印象でしたが、、実際そうでした(笑)若さ故にまだ尖ってる江波が反発しつつもその人と成りに触れるにつれ篠塚に惹かれていきますが、いわゆる甘いシーンがなく防諜活動メインでお話が進むのでBL小説読んでることをうっかり忘れてしまうくらい巧みに展開します。このシリーズ、仕事ありきの色恋沙汰というスタンスかと思うのですが本作は「色」もなくガッツリお仕事でした(色を当たり前のように期待してたのでちょっぴりガッカリですが)。本作で篠塚の器用そうで不器用な融通の利かない頑なさの中にある自分を押し殺してるよーな寂しさを知ってしまい、、めちゃくちゃ切なくなりました。。読後すぐは「ここで終わる?マジか?!」とやや憤然としましたが(笑)この終わりだからやっぱり良かったのかも。篠塚は起きたこと全ての事実を事実として受け止め冷静に見ている、大きな力に流される社会や欲や権力が渦巻く組織との対比が良かったような。英田さんの作家さんとしての力量をまた思い知らされちゃいましたよ、本シリーズ秀抜すぎ。
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購入済み
ちょっとやるせない気分
宗近とさらに近い関係になった椎葉、でもあくまでも刑事とエスとして。同僚のヘルプに入り大きな事件に巻き込まれるうちに自分の宗近へ向かう気持ちに葛藤し強く不安を抱いちゃう椎葉。扱ってる案件諸々に翻弄されることも含め及び腰になり宗近とちょっと距離あけよーとしたら宗近の逆鱗に触れ散々辱められボコられちゃう(!)、この件は私からすれば「え〜っ宗近、やりすぎじゃねぇ?」でしたが、、結果的に腹を括った椎葉と再度受け入れた(覚悟を決めさせた)宗近の関係は強くなったってことでしょうか。立場も関係なく人として惹かれる気持ちがあるはずなのに営利目的と割り切る決意を椎葉はしたようですが。。本作なかなか痛そーな描写があったり椎葉が関わった同僚・永倉の陰鬱な感じがどーにも馴染めず★一つ落ちです。
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Posted by ブクログ
世界でも超のつく優良企業ウェルネス社。
高柳はそこで大手スーパーの香港出店を任されている。
立ち上げ当初はマフィアに邪魔され困難をきたしていたが、高柳の大学の同期であり香港最大のマフィアのトップ、ティエンに助けられた。
その時に交わした「代償は肉体関係」の条件のせいでティエンとは恋人同士だが、香港を治める「龍」であるティエンの力を利用しようといくつもの影が動き始めている事も、自分がティエンの弱点である事も高柳は気づいていなかった。
ティエンの忠告もむなしく、巧みに近づいてきた相手に高柳は翻弄され…。
香港VS上海、その中にただひとり置かれた日本人高柳の運命の龍が動き出す―。 -
購入済み
今度はお兄ちゃん。
「天使の啼く夜」のスピンオフ。田宮と伊佐もチラホラ出てきます。田宮兄・ザ三白眼桐嶋(笑)とヤクザ嫡子の瀬ノ尾、高校の同級生で瀬ノ尾は叶わぬ想いを募らせつつも延々続くと平行線な友人関係。瀬ノ尾には桐嶋も知る恋人がいるし桐嶋はあくまでしれっと友人として側にいることを優先してるし「あれ?この2人ってくっつくのか?!」と不安を感じるくらいでした(笑)生まれた家がたまたま極道だっただけで瀬ノ尾にはあらゆる事に選択肢はなく逃げ出すことも出来ず半ば諦めの境地で生きていて遣る瀬無いやら切ないやら。友人相手の諦められない片恋に引きづられ葛藤して、全く散々な苦悶の人生です(笑)桐嶋がそういう人生諦めちゃった閉じ貝タイプに絆される世話焼きサンだってのは弟・田宮への構いっぷりでも納得ですが、なかなか瀬ノ尾と「色」付きで結びつきそうでつかず焦らされました。後悔上等、友人としても桐嶋を失うの覚悟で瀬ノ尾が迫って抱かれた後に瀬ノ尾が「ひとりになった」と痛感した件と刺された後に「桐嶋に連れて逃げて欲しかった」の科白にはウルウルきちゃいました。その後、全て放棄した桐嶋の予想外な潔さにはビックリはしましたが、良かったね〜瀬ノ尾さん!私も嬉しいよ。大人テイストなお話だったので濡れ場も大人テイストで濃かったらもっと良かったなぁ〜。
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Posted by ブクログ
記憶喪失の一人の男が過去を探っていくと同時に、二組の全く関係の無いと思われたカップルが複雑に絡み合っていき真実が明らかになっていく。懐かしい面々も出て来てそれだけで胸が熱くなるのに、ラストにはあの人が!(≧∇≦)前作エスシリーズから繋がる重要な鍵を握る人物なようです。
いつもながら、奈良さんの美麗なイラストもあいまってそれぞれの登場人物が魅力的。どちらのカップルも目が離せませんが、個人的にトラウマを抱えているが自由奔放な那岐とそんな彼に振り回される一見クールな加賀谷の二人がツボです。複雑に絡み合った糸がどのように解されていくのか次巻に期待します。