畑村洋太郎のレビュー一覧
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著者は失敗学を提唱している著名な元東大教授です。
失敗学とは、事件や事故の発生原因を工学的に分析して、
その原因で発生した「失敗」をどう組織や個人が受け止めるのか、
そして、どう対応して、教訓として活かすのか考える学問です。
非常に有益かつ、また現代の社会状況のニーズに非常にマッチした実践学問です。
その著者が記したこの『回復力』は、主に個人の失敗に対して、失敗を個人が受けてとめるのか、
そしていかに、その失敗から立ち直るのかが、本書で述べられています。
背景にあるのは、個人の失敗→うつ状態→最悪自殺に至るという、
ケースが日本で非常に多いからです。
それは、一にも二にも、私たちが「失敗」ということに対して、体系的な知識も、対処法も、教わってもいないこと、
また、自らも学ぼうとしていないからです。
失敗=怖い、失敗=起こってから対処する、
これは、何も武器を持たない人間が、戦車に立ち向かっていくぐらい無謀なことです。
失敗は誰しもが経験する「当たり前なこと」です。
その失敗に対して、どう準備をするのか、
そして、失敗をしたら、どう対応するのかを、私たちは、学ばないといけません。
なぜなら、失敗してからでは、遅い場合が多々あるからです。
世の中は理不尽なもので、他人の失敗や組織の失敗、また国の失敗でさえ、
本人に影響を及ぼします。本人の失敗として、カウントされることもあります。
生きていて、失敗から逃れることはできません。
それは、私たちが、学び、働き、養う上で、失敗というものは、
必然的に起こるからです。
こういった状況を考慮すれば、本書を読む価値は十分にあると思います。 -
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技術を正しく伝えるポイント
1.まず体験させろ
2.はじめに全体を見せろ
3.やらせたことの結果を必ず確認しろ
4.一度に全部を伝える必要はない
5.個はそれぞれ違うことを認めろ
特に2は、例えば全体の工程のどの位置付けの作業なのかとか、その作業の目的は何かとか、その辺を意識させた上で取り組んでもらうと良さそう。
それから5も、相手に合わせた教え方が必要という意味では重要だと思います。
それから後ろの方で出てくる、マニュアルに守らないとどうなるかを書く、というのも面白いなと。守らなくてもひどいことが起こらない手順は、不要な可能性があるということだと思うので、見直しの良い基準になりそうです。 -
Posted by ブクログ
東北地方太平洋沖地震による福島原発事故に係る政府事故調査委員会の報告書の核心部分を解説した著書である。
福島原発事故から得られた教訓は、原発事故の防止のみならず、あらゆる事故の防止、組織の危機管理に活かすことのできるものである。特に、「委員長所感」として記された以下の7項目は様々な分野に応用できる内容であると思われる。
①あり得ることは起こる。あり得ないと思うことも起こる。
②見たくないものは見えない。見たいものが見える。
③可能な限りの想定と十分な準備をする。
④形を作っただけでは機能しない。仕組みは作れるが、目的は共有されない。
⑤全ては変わるのであり、変化に柔軟に対応する。
⑥危険の存在を認め、危険に正対して議論できる文化を作る。
⑦自分の目で見て自分の頭で考え、判断・行動することが重要であることを認識し、そのような能力を涵養することが重要である。 -
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日本原発売り込みの敗因を冷静に分析する
原子炉の中の状況を示す自前の解析プログラムがなかった
奇跡の50年、何をしていいのかわからない20年
前者 答えにむかった努力し続けた
後者 灯台がなくなり、自分で答えを探さなくてはならなくなった
日本ペニシリン物語
答えは存在するという事実があるだけで、人はその方向に向かって努力し続けることができる
日本がこれから生きていくためにまずやらなければいけないのは、もう少し謙虚になって、いままでの脳天気さを改めることだと思います。
産業が停滞するのはなぜか
3つの品質幻想 日本人がつくるものが優れているという幻想 職人の技幻想 品質という言葉に対する間違った理解(品質とは、あくまでも消費者の要求に答えているかどうか)
品質の良い物をつくれば売れるという誤解
日本の消費者の責任 日本の消費者はすべての製品に絶対安全を求めて、製品の不具合は経年劣化によるものも全て含めてすべての責任は製造者にあると考えるようになった
ノウハウにばかりにこだわっていると、社員や作業者は自ら考えることを放棄するようになります。これではせっかくの技術が弱体化していくだけです。技術をより強くするのはノウハウを守ることではなく、know/why、つまりその技術の理由や動機を知ることが重要になります。さらにはknow/whatという目的意識をしっかり持って技術を扱うことが大事なのに、日本の技術運営はそこが抜け落ちているのです
足りないもの 変化への対応力 消費者の要求の変化に素早く対応し、少しでも安く、タイムリーに消費を供給することを可能にする技術が明らかに不足している
基礎技術では日本の企業の方が優れているものを持っているかもしれませんが、それを商売にする技術は明らかに劣っています
危機管理ができていない
過去の成功体験から離れて、もう一度、新しい方向へ舵をとらなければならない そのためには、技術大国であるという幻想を捨て去る、価値について目覚める
サムソン 地域専門家制度
価値を考えることんの重要性
価値はお金で表現できる 売値は見えないお客さんが決める
タレントの時代 講談社現代新書
「ムラ」ができると、外部からの値付けを気にしないで済む
1880年代 ガソリン車を作ったのは、ドイツのカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハ
変わっていくのを前提とした戦略
時間がたつと技術は必ず陳腐化する
地産地消 機能を充実させるよりも、その国の文化を知り、その国の文化にあった製品を作ることで、その国の消費者の圧倒的な指示を集めること
デンソーインドネシアの研修システム
中国 日産が健闘 中国人が自動車に求めるのは移動手段としての機能とステータス
高級そうな外装 2000ccクラスの車体に1500ccのエンジン
ベトナムホンダ やすい中国製がはいってきた いまあで買える人に売るという感覚で、もと下の層に巨大がマーケットがあるのを認識していなかった
まずは純正部品のバラ売りを始めた。中国製はコピーなのでその部品がすぐこわれるので、部品が売れる。
次に中国製の1.5倍の価格の製品をリリース ベトナムの市場要求に応える
インド 停電でも大丈夫な冷蔵庫
デンソーのクーラー 冷風を送るのみだが安い
新幹線は電気が安定供給できるとこのい
新興国には気動車(ディーゼルエンジン付き車体)
JR 車両のみでなく、保守と運行やサービスを含めた輸出
日本の過去の成功体験を売る
上下水道運用管理システム
高齢化社会
小松 リマン re-manufacturing インドネシア
中古重機の不良部品をとりかえてまた売る
そこで収集されているデータが部品の需要予測や、新製品の開発にも生かされている
KOMTRAX
いつか来る日のためにしつこく開発をくり返す
素材は 試行錯誤した時間の積み重ねがものをいう
サムソンの成功の背景には危機意識があった
社会が求めている方向と技術の融合
SOFC solid oxide fuel cell 個体酸化型の燃料電池
石炭ガス化の複合発電の発電効率 40%
それをSOFCを組み合わせると55%
人の考えや行動には階層がある
低い階層 考えなくていい 決まっているからやる、やっていればよい、やっているからよい
高い階層 自分で考えて、自分の責任で行動する
考え方を変える、からくりを変える、教育を変える -
Posted by ブクログ
し失敗学でお馴染みの畑村先生とサムソン成長の功労者でもある吉村先生の共同著書。
技術的に優れたよい物をつくれば売れる時代は、終わった。基礎技術を組み合わせ、顧客のニーズにあったものをつくることが大事と本著は、語っている。
Appleやサムソンのように既存の基礎技術の組み合わせで画期的な商品が作られる。
今の日本企業にそうしたものを生み出す土壌はあるが、問題がある。
日本企業は、組織の問題(意思決定に時間がかかる、決断しない経営者)、制度の問題(税制)、考え方の問題(技術のおごり)がある。
いかにこの問題をクリアして、顧客のニーズに迅速に答える商品、サービスを提供できるかが今後の日本企業の鍵。
今の私は一企業のマーケティング担当であるが、だからころできる変えていけることがあることを認識することができた一冊でした。 -
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津波は「高い波」というより「速い流れ」であり、速度は秒速30m、時速100km(「津波災害」河田惠昭)。人間の力は0.1馬力、馬は1馬力、建設機械は100馬力だが、自然に力で対抗するのはほとんど不可能。自然と闘うのではなく、自然と折り合うことが重要。
3年で個人が忘れる。30年で組織が忘れる。60年で社会が忘れる。
原発反対派の存在が原子力村の結びつきを強固にした面がある。その結果、内部で懸念を指摘する声は黙殺され、危ないことを想定して準備することができなくなる。共同体が独自の論理、文化で動いていることが根本の原因だった。
八ッ場ダムは1947年のカスリーン台風の被害の経験から、首都圏を水害から守るために計画されたもの。首都圏や近畿圏の6河川で整備するスーパー堤防は、外側の法面の勾配を緩やかにするものだが、全体の6%しか進んでいない。民主党の事業仕訳で「廃止」となったが、長期的な展望に欠ける。
利根川は江戸時代に東に流れるように付け替えたが、地形は水が南に流れるようになっている。2003年にアメリカを襲ったハリケーン「カトリーナ」と同規模の台風が関東を襲った場合、隅田川上流の北千住あたりで越流し、千代田線の入口から流れ込み、東京中の地下鉄をすべて水没させるおそれがある。
首都圏で大地震が発生した場合に心配されることとして、液状化現象によって地下鉄が地中に取り残されること、首都高速の一本足の橋脚が倒れること、地下自動車道の火災をあげている。