畑村洋太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
数学の世界には建前(定義付け)がたくさんあります。「このように表したものを行列と呼ぶ(ことにする)」とか、「二乗して-1になる数をiと定める(ことにする)」などなど、特に数学が嫌いという人にとっては、「どうしてそうするの?」「それにどんな意味があるの?どんな役に立つの?」と思うようなことがいっぱいです。
この本は、小難しい理屈はひとまず置いておいて、まさにタイトルの通り「直観的に」数学を解説してくれる本になっています。
三角関数、行列、複素数、微分・積分、確率等、色々な分野が取り上げられていて、文章も柔らか目(加えて、数学教育に対する不満がいっぱい?)なので、数学が嫌い!という人にこそぜひ読んでみてほしいと思います。数学が好きになるきっかけになるかもしれません。 -
Posted by ブクログ
(1)あり得ることは起こる。あり得ないことと思うことも起こる
(2)見たくないものは見えない。見たいものが見える。
(3)可能な限りの想定と十分な準備をする
(4)形を作っただけでは機能しない。仕組みは作れるが、目的は共有されない。
(5)全ては変わるのであり、変化に柔軟に対応する。
(6)危険の存在を認め、危険に正対して議論できる文化を作る。
(7)自分の目で見て自分の頭で考え、判断・行動することが重要であることを認識し、そのような能力を涵養することが重要である。
大きな事故というのは小さな失敗の積み重ねで起こるものだと感じた。
小さな失敗を防ぐには十分な対策や思考・見直しが必要なんだけれども、後から考えるとどれも小さなことに思えてしまうのが怖いところ。電源喪失に備えてバッテリーを常備しとけば冷却が継続できたとか、なぜ事前に思いつき準備できなかったのかというのは、思いつくには何か思考の「ジャンプ」みたいのが必要なのかなぁと。
ここまで事故が大きくなった原因のひとつに重大事故に対して日本の組織が(事故前も事故後も)対応できていないのではと。 -
Posted by ブクログ
「わかる」とはテンプレートの一致である.
要素が集まって構造をなす.→新たなテンプレートの構築.
自分でテンプレート、モデルを作れば、想定外の変化にも臨機応変に対応できる.
教育で身につけるべきは、「課題決定の力」である.
事実/知識から抽象化、上位概念を創りだすのだが、これらは抽象的であるがゆえに素人にはわかりにくい.
思考プロセス:馬鹿丁寧に逐一虱潰しに選択肢を当たるのではなく、思考のショートカット=飛躍思考を利用する.
「経験主義」の誤り=偽ベテラン:経験のみで論理性がない.
その反対に、要素や構造をきちんと理解していると、第三者にもわかりやすく説明できる.
「形式論理」(内容を深く検討しない):決まった道を歩くリスク.=応用が効かない.
経験や知識から自分で新しい知見を作れるようになること.
マニュアル=公式=対症療法であり、真の理解ではない.
「話が面白い人」:話が立体的かどうか=種同士のリンクが意識されているか、上位概念が意識されているか.利き手に応じて話し方を変える=利き手のテンプレートを豊かなものにできる.
「成功例を真似る」だけでは、発展がない、「想定外」に対処できない.
「三現」を大切にする.(現地、現物、現人)
「部分最適・全体最悪」にならないようにする.(直接見えている部分のみならず、関連のリンクを見る視点が大切)
「逆演算の思考」:起こりうる自己や失敗を想定して底から逆上って考える.「順演算の思考」と組み合わせて使用する.
失敗は(1)ヒューマンエラー(2)組織の失敗に集約される.
畑村洋太郎の「わかる」とはどういうことか、「わかる」ためにはどのようなことを意識すればいいのかについての書籍.
表面的な理解や模倣、マニュアル化では終わらせず、物事に含まれる種や構造を見つけ出し、自分の中でテンプレートを作ることが深い理解やその後の応用力につながることを論理的に教えてくれる. -
Posted by ブクログ
失敗学の畑村先生は数(かず)にも強いです。
タテ書きで読める数の本をつくりたかったそうです。
数は、与えられたものは身につきません。
自分で作り出すことによって意味があるものとなります。
そのために常に数字を意識して生活する訓練をすることが必要です。
重さ、高さなど自分で予測するようになると当たるようになるそうです。l
前著の「直感でわかる数字」は、続を合わせて10万冊以上売れたそうですが、10万売れると量だけの問題でなく質的にも変化するそうです。
どういうことかというと社会現象になるということです。読者も普通では読まない層(女性や子供)にも読むようになり、著者の名前も認識されるそうです。 -
Posted by ブクログ
・失敗原因は10に判別される
1.無知
2.不注意
3.手順の不順守(守りすぎると想定に対応出来ない欠点に注意)
4.誤判断
5.調査・検討の不足
6.制約条件の変化(例えば為替対策)
7.企画不良
8.価値観不良(自分ないし自分の組織の価値観がまわりと食い違っているとき)
9.組織運営不良
10.未知
・樹木構造は大失敗を誘発する
・途中変更は諸悪の根源
・ハインリッヒの法則
・岩手県三陸海岸は世界一の津波常襲地帯で石碑に教訓が書いてあるのに家は建てられた。失敗は人に伝わりにくい、失敗は伝達されていく中で減衰していく。これは2000年の話
・失敗情報は隠れたがる
・失敗情報は単純化したがる
・失敗原因は変わりたがる
・失敗は神話化しやすい
・失敗情報はローカル化しやすい
・客観的失敗情報は役に立たない、当事者の主観的情報が重要
・失敗は知識化しなければ伝わらない
・記述順
1.タイトル
2.事象
3.経過
4.原因
5.対処
6.総括
7.知識化
これに背景が加わるとより全体をとらわれる
・今の日本には失敗や体験を集めるような組織づくりにはなっていない
・当事者から聞き出す際に決して批判しない
・司法取引制度は真相解明に有効
・故意なものには制裁的、懲罰的賠償制度がある
・単純な理由で致命的な失敗がおこる原因
1.技術が成熟していること
2.大増産、もしくはコストダウン対策やリストラ策がはかられているところ
・会議の目的は、本来は議論により結論を得ることと、決められたことを連絡する場合の二種類。ただ実際の場での議論で重要な決定はなされない
・思いつくかぎりの失敗の可能性を潰していく仮想演習が大事。失敗は必ず起るものだから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミスを「原因」「結果」ではなく、「原因」「行動」「結果」に分解し、
「原因」と「行動(ヒューマンエラー)」の組み合わせがミスを起こすとの観点から、
回転ドアや鉄道、JAL、原子力といった事故事例分析の共有を図る内容。
ただ、売りである「まんだら」は、あくまで事象を整理するフレームワークであり、
これを使って、どのようなメッセージを抽出するかは、使い手に負う所が多そう。
個人的には、それよりも、各事例の中で紹介される、各業界で蓄積された「安全」や
「ミス防止」の考え方が新鮮で学びが大きかった。
■安全対策と人間の危険感知領域
・安全対策を機械を使用する側の「個人の自覚」に頼る考え方には無理がある。(P41)
・安全に慣らされ過ぎたせいか、人間の危険感知領域が狭くなっている(P42)
■本質安全と制御安全
・回転扉であれば、扉を軽くし、ゆっくり回すのが本質安全(発祥の欧州の考え方)
・風に対抗できるよう扉を重くし、センサーで安全を担保するのが制御安全(日本)
⇒日本に輸入される過程で、本質の一部が欠落し、特徴だけが際立つ歪な商品に変化
■失敗は確立現象である~ハインリッヒの法則
・1件の重大災害の背景には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、
更には、怪我にも至らなくてもヒヤリとさせられる体験が300件ある
■交通機関の運営の優先順位
・安全性>定時性>快適性>経済性
・外野(マスコミ、当局、利用者)の声が大きいと、運転手のこの優先順位の
バランスが崩れ(人間の注意力には限りがある)、
本来最優先であるべき安全性が失われることがある
■思考展開図
・要求機能(課題)>機能>機能要素(課題要素)と
機構要素(解決案)>構造(具体策)>全体構造(全体計画)が対になっているか?
・各項目が対になっているかを確認することで、検討のヌケモレ防止可能。