【感想・ネタバレ】技術大国幻想の終わり これが日本の生きる道のレビュー

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Posted by ブクログ 2015年07月06日

 「時代の変化を見ない日本」と言う指摘を著者が指摘しているが、読んでいると耳の痛いことがビシビシ述べられている。

 テレビ番組欄を見ると「日本はすごい」と言う番組が目につくようになってきている。ここ数年の傾向だと思う。確かに技術力や労働意欲ですばらしい面があるがその一方で問題も浮き彫りになっている...続きを読む
 
 著者は、産業が停滞する理由としていくつか理由を挙げている。

1.日本人がつくるものが優れているという幻想
2.職人の技幻想
3.品質という言葉に対する間違った理解

 一番、気になったのは3番の指摘だ。著者曰く「三過剰」と呼んでいる「過剰な機能」「過剰な品質」「過剰に生産」によって日本の製造業がガタガタしてきたそうだ。売り出そうとする現地のニーズをつかまずに、高性能な日本製品から売れるだろうと思ったらスッテンコロリ。そんなはずではなかったということになる。

 頭の体操をして頭の中を柔らかくする必要が出ている。ただ単にTOEFLなどの試験を導入して英語力をアップさせるだけでは難しい。

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Posted by ブクログ 2016年01月17日

半導体分野で日本がじり貧になった事実は受け止める必要があるが,成功体験からの離脱は難しいと思う.物事の規範が変わるのに30年かかるとの説明だが,約20年間芽が出なかった訳だから,あと10年経つと新しい考えを持った人材が日本を再興させてくれると期待したい.「価値」を考えることが重要だとの指摘,もっとも...続きを読むな話だ.

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Posted by ブクログ 2015年07月02日

日本原発売り込みの敗因を冷静に分析する
 原子炉の中の状況を示す自前の解析プログラムがなかった

奇跡の50年、何をしていいのかわからない20年
 前者 答えにむかった努力し続けた
 後者 灯台がなくなり、自分で答えを探さなくてはならなくなった

日本ペニシリン物語

答えは存在するという事実がある...続きを読むだけで、人はその方向に向かって努力し続けることができる

日本がこれから生きていくためにまずやらなければいけないのは、もう少し謙虚になって、いままでの脳天気さを改めることだと思います。

産業が停滞するのはなぜか
3つの品質幻想 日本人がつくるものが優れているという幻想 職人の技幻想 品質という言葉に対する間違った理解(品質とは、あくまでも消費者の要求に答えているかどうか)
品質の良い物をつくれば売れるという誤解

日本の消費者の責任 日本の消費者はすべての製品に絶対安全を求めて、製品の不具合は経年劣化によるものも全て含めてすべての責任は製造者にあると考えるようになった

ノウハウにばかりにこだわっていると、社員や作業者は自ら考えることを放棄するようになります。これではせっかくの技術が弱体化していくだけです。技術をより強くするのはノウハウを守ることではなく、know/why、つまりその技術の理由や動機を知ることが重要になります。さらにはknow/whatという目的意識をしっかり持って技術を扱うことが大事なのに、日本の技術運営はそこが抜け落ちているのです

足りないもの 変化への対応力 消費者の要求の変化に素早く対応し、少しでも安く、タイムリーに消費を供給することを可能にする技術が明らかに不足している

基礎技術では日本の企業の方が優れているものを持っているかもしれませんが、それを商売にする技術は明らかに劣っています

危機管理ができていない

過去の成功体験から離れて、もう一度、新しい方向へ舵をとらなければならない そのためには、技術大国であるという幻想を捨て去る、価値について目覚める

サムソン 地域専門家制度

価値を考えることんの重要性
価値はお金で表現できる 売値は見えないお客さんが決める

タレントの時代 講談社現代新書

「ムラ」ができると、外部からの値付けを気にしないで済む

1880年代 ガソリン車を作ったのは、ドイツのカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハ

変わっていくのを前提とした戦略
時間がたつと技術は必ず陳腐化する

地産地消 機能を充実させるよりも、その国の文化を知り、その国の文化にあった製品を作ることで、その国の消費者の圧倒的な指示を集めること

デンソーインドネシアの研修システム

中国 日産が健闘 中国人が自動車に求めるのは移動手段としての機能とステータス
高級そうな外装 2000ccクラスの車体に1500ccのエンジン

ベトナムホンダ やすい中国製がはいってきた いまあで買える人に売るという感覚で、もと下の層に巨大がマーケットがあるのを認識していなかった

まずは純正部品のバラ売りを始めた。中国製はコピーなのでその部品がすぐこわれるので、部品が売れる。

次に中国製の1.5倍の価格の製品をリリース ベトナムの市場要求に応える

インド 停電でも大丈夫な冷蔵庫

デンソーのクーラー 冷風を送るのみだが安い

新幹線は電気が安定供給できるとこのい
新興国には気動車(ディーゼルエンジン付き車体)

JR 車両のみでなく、保守と運行やサービスを含めた輸出

日本の過去の成功体験を売る
上下水道運用管理システム
高齢化社会

小松 リマン re-manufacturing インドネシア
中古重機の不良部品をとりかえてまた売る
そこで収集されているデータが部品の需要予測や、新製品の開発にも生かされている

KOMTRAX

いつか来る日のためにしつこく開発をくり返す
 素材は 試行錯誤した時間の積み重ねがものをいう

サムソンの成功の背景には危機意識があった


社会が求めている方向と技術の融合

SOFC solid oxide fuel cell 個体酸化型の燃料電池

石炭ガス化の複合発電の発電効率 40%
それをSOFCを組み合わせると55%

人の考えや行動には階層がある
 低い階層 考えなくていい 決まっているからやる、やっていればよい、やっているからよい
 高い階層 自分で考えて、自分の責任で行動する


考え方を変える、からくりを変える、教育を変える

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Posted by ブクログ 2016年05月21日

価値を考えること、脳天気ではなく、自ら考える人であること、また自ら考える力を持つ人材を教育すること。御意である。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年05月05日

新聞の書評欄にあり、「日本の技術は世界トップレベル」に疑問を呈しているところに興味があったので。

以下、気になった内容抜粋
・残念ながら日本の制度は、まだまだ遅れている部分があります。・・・完璧な状態が与えられることを与条件と考えて文句をいうことにエネルギーを注ぐよりも、遅れている部分や悪い部分の...続きを読む解決に力を注ぐほうがより建設的です。
・…目の前で起こっている事実を科学的に説明できる言葉を持っていることです…しかしすべての職人がこうした真のベテランではありません。実際の職人の仕事には、日本人でなくても三年くらいまじめに修業すればできるようになるという仕事が少なくありません。だから「日本の職人がスゴイ」と板ズレに持ちあげるのは、ギャウにものづくりに対する誤解を増長させるだけのような気がします。
・そもそも「品質が良い」というのはどういうことでしょうか。一番大切なのは、品質とは、あくまで消費者の要求に応えているかどうかで決まってくるということです。
・…品質の良さなどは、今でも日本の技術のアドバンテージです…過剰なまでの品質チェックを含め、形を整えることばかりを考えているという特徴に現れています。もちろん品質チェック自体はするべきものですが、その過剰さが高価格につながって競争力を落としているとするとやはり問題でしょう。
・先行組と後発組にはやはり歴然とした差があるのです。この差は非常に小さなものの用に見えますが、ほんとうの意味で後発組が先行組のレベルにまで追いつくには多くの努力と時間が必要です。それはつまり、先行組が自らの優位性を認識して、その部分でえいえいと泥y串続けていれば、技術レベルの差が埋まるような自体はなかなか訪れないことを意味します。
・GDPが一万ドルをコスト、二輪車から今度は四輪車、すなわち自動車が求められるようになるようです。ちなみに二万ドルを越してくると、物質的に必要な物がある程度行き渡った社会になり、人々の考え方が変化してきます。
・人の考えや行動には階層性があります。この階層の上位にあるのは、考えるのは大変だけれど本当にやらなければならないことです。一方、階層の下位にあるのは、あまり深く考えずにやることができる決まりきったことです。
・どのような方向に進むにせよ、結果を出し続けるためには、常に進化し続けることが求められています。
・技術にせよ、社会の仕組みにせよ、最初は何も整備されていないうちは試行錯誤しながら自分たちで作っていきます。しかしそれがうまく行ってマニュアルが整備されるようになり成熟化が進むと、自分たちの頭では考えないけれど、うまくいく方法をなぞることで、効率的な運用ができるようになります。それがさらに進むと、誰かが決めたんだからその通りにやろうということになります。そうなるとなんのためにやるのか、という肝心な部分が抜け落ち、その結果、だれも考える人がいなくなる・・・・。やっている当人たちは大真面目ですが、実際は主体性も責任感もない思考停止状態でことは進んでいきます。

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Posted by ブクログ 2015年12月13日

「失敗学」という言葉を知ることになったのは、この本の著者の畑村氏のお蔭です。成功には様々な運がつきまとった結果だが、失敗には必ず原因があり、それを解決しないと、いつでも同じ失敗をすることになる、という考え方を上手に説明してくれていたのが、畑中氏でした。

この本は数か月前に読んだ本でしたが、当時の畑...続きを読む中氏の最新作でした。いまでも日本の技術力は凄いと褒めている本はありますが、この本では、「日本の生きる道」を示しています。

新しいものを普及させることで、多くの人が幸せになると思います。それを日本の技術が実現できるようになってもらいたいものですね。

以下は気になったポイントです。

・1995年以降は、奇跡の50年間、で存在していた条件が大きく変わった。能天気な国民になってしまし、続く二十年間、多くの人は意識を切り替えられなかった(p21)

・強烈な記憶を持っている人が徐々に退場していって、危険性の実感を持たない人が半分をしめるようになる、三十年がポイント(p31)

・トウモロコシ1600万トンの化ける先は、牛肉50万トン、豚肉130万トン、鶏肉140万トン、飼料から肉への変換効率で見ると、5分の1(p32)

・日本列島は、合計4枚のプレート上に載っている、その中でいちばん懸念されているのは、太平洋沖のユーラシアプレート、フィリピン海プレートの境界のひずみによっておこる地震である(p36)

・いまでは、経営や企画ができる人以外は、ほぼ必要なくなっている。現場管理を行っている人は、いまでも600万円得られているが、海外では200万円程度しか得られなくなっている(p48)

・デジタル化がもたらした生産のモジュール化によって、既存の汎用商品の組み合わせで、ある程度の品質のものが、「いつでも、どこでも、誰でも」簡単に作ることができるようになった。さらに、新興国を消費国に変えた(p54)

・現在、職人の技の多くは工作機械に置き換えられつつある、生産技術のデジタル化(p61)

・消費者が求めているのは、良い品質だけではなく、適切な品質・適切な価格・デザイン・必要な機能・楽しさ・サービス、である(p63)」

・自動車の生産量は世界で年間8000万台、日本の自動車会社は3000万台作っているが、日本で使用される自動車は400-500万台。日本の消費者は自動車産業にとっては少数派(p73)

・新幹線のようなハイテクインフラが使えるのは、日本のように電気が安定供給されている場所に限られる(p125)

・中古車両と車両の保守に関する技術の提供することは、現地の社会に貢献するという形に変化している。こうすると現地での人材育成と同じように、地域社会において日本企業がなくてはならない大きな存在感を示すことになる(p126)

・コマツがインドネシアでリマンの事業を行っているのは、リマン製品に使う部品に打刻をして、再利用以降の来歴が分かるようにしているから(p141)

・技術の先端性と、発想の新規性で4つの象限にわけると、日本の生きる道は、発想の新規性と既存技術で行く場合で、それぞれの地域の文化を取り入れたものづくり(第二)、と、常に最新の技術開発を継続し続ける、努力を継続しつつ、技術の先端性と発想の新規性を求める人材を育てるべき(p150)

・現在主流となっている石炭ガス化複合発電の発電効率は40-42%、これにSOFCを組み合わせると、55%にアップする。これに二酸化炭素を閉じ込める技術を組み合わせ、それを電気自動車に搭載可能になれば、自動車の在り方が革命的に変わる可能性もある(p158)

・日本の企業が活きていくのに重要となるのは、経営トップの姿勢、組織が進む方向はトップが決める(p169)

・日本の進む方向性とは、考え方を変える、からくりを変える、教育を変える、である(p174)

・自分なりの考え(仮説)をつくることができれば、信じる方向へ動き出すことはできる、間違っていればその原因を検証して別の仮説を立てることができる(p182)

2015年12月13日作成

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Posted by ブクログ 2015年07月31日

専門的な内容ではないので読みやすい。
「品質幻想が日本をダメにする」なるほど。

とにかく最近流行りの軽薄な「日本礼賛」本
よりはこちらを読むべし。

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Posted by ブクログ 2015年07月28日

他の方の書評にもあるように、エネルギー・食料・自然環境・人口・格差・産業構造等についてに論考はごく一般的な総論で目新しいものはほとんどない。
日本の生きる道も、それぞれの「消費者ニーズに応えよ」的なもので、至極全うだが言い古された提言に見える。
世界の現場を見て回っての個別事例では面白い話もあるが、...続きを読む大上段に構えた割には、肩透かしを食らった感は否めない。

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