大倉崇裕のレビュー一覧
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ネタバレ大倉崇裕さんの『福家警部補』シリーズ第4作。最初に第5作『福家警部補の考察』を読んだが、第4作は倒叙ミステリとして文句なしに面白い。
第4作は中編2編という構成だが、真犯人の人物像といい、動機といい、緊迫感といい、いずれも十分に長編化可能だろう。敢えて中編に留めているために、内面を見せない福家警部補のキャラクターが生きているし、切れ味も鋭い。
「未完の頂上」。息子の未踏峰挑戦を控えた著名登山家が、支援を止めるという有力スポンサーを撲殺する。登山のロマンは認めるが、山を愛する男が山で偽装工作をするとは。登山家としても経営者としても、早々に読者に見限られるだろう。
偽装工作はことごと -
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初めて怪獣が現れたのは1954年のこと。日本領海だった。以来、世界は度重なる怪獣襲来に悩まされる事態となった。特に四方を海に囲まれた日本の被害は深刻だ。
そこで日本は怪獣対策のため1970年に「怪獣庁」を設立し、さらに2000年に「怪獣省」に昇格させ、防衛力を強化した。
こうして日本は、他国の追随を許さない対怪獣防御システムを誇るまでになっていた。
これは怪獣襲来に際し、その進路および迎撃方法を分析し決定する怪獣予報官と、怪獣絡みの犯罪を捜査する怪獣捜査官の活躍を描いた物語である。
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太平洋沖の日本領海に突如現れた怪獣。怪獣省第1予報官の岩戸正美は特 -
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無罪判決が出た事件を再捜査して真相を突き止める、儀藤堅忍警部補の活躍を描く連作短編ミステリー。
シリーズ2作目も、各話ごとに儀藤の相棒となる刑事の視点で描かれていく。
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警視庁鑑識課の川代翔子警部は今日も若手鑑識課員をきつく叱り飛ばしていた。
翔子の怒りは凄まじく、20分を経過しても叱責は止む気配もない。悪いのは軽率な行動で検視前の現場を荒らしてしまった課員の方だ。そう思って部下をさらに糾弾しようとしたとき、内線電話が鳴った。鑑識課長からの呼び出しだった。
出向いた翔子を待っていたのは思いもよらぬ異動の内示で、異動先は大学の法医学研究室、ポストは講師である -
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福家警部補シリーズ第三弾。
どうしても下の名前を明かすつもりはないらしい。
今回は3本立てで、一編が長め。
犯行の動機・理由がそれぞれ方向性が違って、別の味わい。
「倒叙ミステリ」なので、犯行そのものは最初に見せられるけれど、それにまつわるストーリーは、徐々に明かされていく形になる。
二編目の、組が解散したヤクザの話が良かった。
想像もつかない世界だが、ヤクザから堅気になるというのは大変なことらしい。
特に若者は、多分家庭に事情などあり、居場所が無くなって行き着く先の一つが暴力団だったのだろう。
若いから、ヤクザ気質は根元まで染み込み、なかなか消えない。
カタギになっても、周りは前科者を見る