大倉崇裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ大反響の第一弾と帯にはあるが、さてどの程度だったのだろう。やっぱり犬のイラストが目立つ、大倉崇裕さんのシリーズ続編である。
最初の第一話だけ、100p超とやや長い。元暴力団員で、人生のほとんどを刑務所で過ごしてきたという相手だが、わざと痛み止めの投与量を減らすというのはさすがに人道を外れている。そこまでして笠門が得られた情報は…例によってこれだけ。
あまりにも手際のよい殺し屋。2時間ドラマの如くスピーディーな展開の末に、明らかになった犯人とは。ピーボの反応を信じ、突き進む笠門。少々ご都合主義な感はあるものの、このコンビの絶対的信頼関係を示すエピソードと言える。
その他3編は概ね50p程度。第二話。男が口にしたのは、海外逃亡した重要指名手配犯の名前。成り行き上、ある万引き犯を張っていた結果、明らかになった事実とは。これを一件落着と見るか、失態と見るか。処理は笠門の仕事ではない。
第三話。大火傷を負った男は、一言残して息絶えた。どうやら連続放火犯らしいが。土地にまつわる呪いだの、何やらオカルトっぽい展開かと思いきや、結局は人間の欲望の結果だったわけで…。手柄は持っていかれる笠門であった。
第四話。警視庁内に、笠門たちを快く思わない者は少なくないが、実績を残しているのは確かである。すると、こういうケースも起こり得るのだろう。某ロングラン警察ドラマにでもありそうな、やや込み入った展開。危うし、相○…。
4編とも十分に長編化できそうなネタばかりだが、前作よりも笠門の活躍が目立つ。ピーボのパートナーは笠門でなければ務まらないだろうが、捜査一課でも十分にやっていけるのでは。笠門自身に、あまり上昇志向はなさそうだが。
このシリーズでは脇役のいずみだが、今回も貢献は大きい。笠門は知らない『一日署長』の任務についても、続編が読みたい。 -
Posted by ブクログ
昔から犬が好きだ。
そりゃ犬はみんな好きだろって言うかもしれないが、私は特別、犬が好きだ。
実家で飼っていた犬を見るとその日嫌なことがあっても忘れられた。
微笑みかけたら嬉しそうに顔を舐めてくれるそのよだれが臭くても愛おしかった。
犬という生き物は特別だ。
存在だけで、人を癒し慈悲を与える。
どんなに悪い人にでも、犬は等しく平等だ。
この作品「犬は知っている」は、
まさに、犬の「癒し効果」と警察を組み合わせた推理小説だ。
総務課でハンドラーをしている笠門とファシリティドッグのピーボは、病院の小児病棟で入院している子供たちを癒しながら、7階の特別病棟にいる犯罪者から事件のことを聞き出す役割を担っている。
人が苦しい時、人生の最後に直面した時。
犬が人を癒し、心の留めている本当のことを話す。
そう、犬は癒しで、人間が何を求めているのか知っている。
ピーボは知っている。
目の前で苦しむ者たちの本当の気持ちや、言えない過去や秘密。
ただ何も言わず、何もしない。
でもピーボは特別な犬だ。
何も言わずとも、人々に訴えかけている。
話してみなさい。あなたの全てを。
そんな神様みたいな犬の話。
(表紙が可愛くて衝動買いしました…) -
Posted by ブクログ
倒叙ミステリ中編集、全2編収録
いい意味での、時代劇のような安定感
倒叙ミステリという仕組みの中でやっているので、ある程度のパターンは出来上がっています
そしてその中でさらに、福家警部補の多才ぶり・怪物ぶりを描写したり、証言者として福家とかかわった人物に人生の転機が訪れたりと、そういったシリーズ4作目ではおなじみの「お約束」が楽しめます
あらすじに『完全犯罪を目論む"善良な"犯人ふたりを追い詰める』とありますが、読んだところ、特別善良な感じもありません
どこにでもいるような一般市民としての犯人、というような意味で使っているんだろうなぁ
そう思わせる、わざわざ「""」の記号でくくった善良なという言葉の意味を考えるのも楽しかったです -
Posted by ブクログ
大好きなシリーズの第二作。シリーズ化圧倒的感謝。
再再読です。
一話目の「三三〇〇フィートの死神」は怪獣殲滅作戦と事件が同時に発生しているので緊迫感がすごい。とっても楽しい。そして最推しの海江田さんがとてつもなくかっこいい。好き。
今作はよくも悪くも世界観が広がっているので、「この世界でそれってあるの?」みたいな疑問はあるし、「ミステリ的にそれはいかんでしょ」という気持ちもある。だけど!楽しいから!それでいいよ!!!
次がとっても楽しみ。毎日刊行予告でないかなとそわそわしてる。とりあえず推しの想いを応援しつつご祝儀の準備でもしながら待ちますかね。 -
Posted by ブクログ
高校卒業後、三年間看護学校に通い、そのあと二年間、看護師として働いていた五十嵐いずみ。
思うところがあり、彼女は看護師を辞め、警察官になる道を選ぶ。
普通よりも五年も遠回りした人生だったが、警察学校では主席で卒業するほどの優秀な成績を収めた。
それにもかかわらず、配属先は史料編纂室だった。
同僚はおらず、配属されたのは彼女ひとりきり。
部屋の中にあるのは、天井まで積み上げられた大量の資料と、一台の古いパソコンだけ。
そのパソコンには「ポルタ」というニックネームが付けられていた。
仕事内容は、紙で保管されている過去の事件記録を、ひたすら手作業でデジタルデータに打ち込んでいくという、気の遠くなるような作業だった。
作業を始めてしばらくすると、ポルタがひとりでに「シュイーーーン」と、不気味な起動音を立てる。
まるでポルターガイストのようなその挙動から、このパソコンは「ポルタ」と呼ばれるようになったらしい。
いずみは心の中でつぶやく。
「なんで、こんな誰も来ない場所に配属されたんだろう……」
未解決事件の資料に目を通し、その内容をポルタに入力していく。
すると突然、ポルタが再び「シュイーーーン」と音を立て、画面が白く眩しく光り始めた。
次の瞬間、いずみの意識だけが過去へと飛ばされる。
飛ばされた先は、彼女が直前まで読んでいた未解決事件が発生したその日時。
しかも、その事件を管轄していた当時の署長の身体の中だった。
タイムリミットは、二十四時間。
署長の権限を使って部下を動かし、未来で未解決に終わってしまう運命を変えるため、いずみは奔走する。
物語は短編集形式で構成されており、それぞれの事件に直接的な繋がりはない。
事件が解決へ向かうことが確定すると、署長の身体に入っていたいずみの意識は、再び現代の自分の身体へと戻る。
過去を改変したことで、未解決事件として記録されていた資料は消え去り、パソコンで調べ直すと、その事件はそもそも発生していなかった世界線へと変化している。
中年の署長の身体に入るため、権力や威厳は署長のもののままだが、知識や思考はあくまでいずみ自身のもの。
署長に憑依する以前の署長の記憶は引き継がれない。
限られた時間と、直前に読んだ未解決事件の概要というわずかな情報だけを頼りに、懸命に思考を巡らせ、奮闘するいずみの姿に、読者は自然と引き込まれていく。
総じて、設定は奇抜でありながら非常に読みやすく、SF要素を巧みに取り入れた、新しい形の推理小説だと感じた。
続編が刊行されるなら、ぜひ読みたい! -
Posted by ブクログ
倒叙ミステリ短編集の第3弾
短編集、とは書いたものの、収録作品は短編2つに中編1つの計3作です
みどころは犯人たちの描く人間模様、たまりません
もちろん倒叙ミステリとして、探偵役の福家警部補が犯人を追い詰めていく……といった本筋があってこそではあります
でも、決定的な証拠を突き付けて事件解決!といったシーンがメインの面白さではないなぁと
そこに至るまでの犯人たちの描写、これこそがこの巻の面白ポイントでした
お気に入りは冒頭で書いたところの中編にあたる『少女の沈黙』
犯人である元ヤクザ菅原がとても魅力的
あまり任侠物の作品に触れずに生きてきましたが、これは素直にかっこいい人だなと思えました