大倉崇裕のレビュー一覧
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ネタバレ大倉崇裕さんの『福家警部補』シリーズ第2作。全4編中3編は、100pに満たない手頃な長さであり、その分切れ味が鋭い印象を受ける。
「マックス号事件」。強請られたから殺すという単純な動機と、航行中のクルーズ船内という現場。なぜか福家警部補が乗船していたのが、運の尽き。このシリーズには珍しい動かぬ証拠を突き付けられ、観念するしかない真犯人であった。
本作中唯一100p超えの「失われた灯」。売れっ子脚本家の一世一代の大勝負とは。これまた強請られたから殺すという単純な動機だが、偽装工作が凝りすぎていて脚本家らしいというか、最初から無理があるような。被害者の職業設定が、意外な形で真犯人の足元を -
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大倉崇裕の連作ミステリ作品『生還 山岳捜査官・釜谷亮二』を読みました。
『小鳥を愛した容疑者』に続き、大倉崇裕の作品です。
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山で不審な遺体が見つかったとき、あの男が呼び出される。
山岳遭難救助隊特別捜査係・釜谷亮二。
山岳捜査官とは、いわば「山の鑑識係」である。
遭難救助隊が不審な点のある遺体を山で発見したときに登場し、残された微細な証拠や聞き込みから、彼らはその死の真実を突き止める。
四月中旬、北アルプス黒門岳で見つかった女性の遺体。
彼女は、右手に握りしめた折りたたみナイフで、黄色のダウンジャケットを雪面に刺し貫いた状態で死んでいた。 -
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ネタバレ大倉崇裕さんの『福家警部補』シリーズ第3作。今回も動機の面で興味深い3編が揃っている。倒叙ミステリは犯人のキャラが立ってこそ面白い。
「禁断の筋書(プロット)」。漫画家として成功したみどりの前に、かつての同人誌仲間である真理子が、出版社の営業部長として立ちはだかる。みどりは、生殺与奪を握る真理子を殺害した。同情する面はあるが、もちろん殺してよいわけではない。
「少女の沈黙」。先代組長の意思に従い組を解散し、元組員の就職先確保に奔走する菅原。情に篤いようで、元ヤクザらしく手段を選ばない冷酷さも持ち合わせる。元ヤクザとはいえ四課が絡んでくるが、淡々と応じる福家警部補。
「女神の微笑」 -
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待っていました文庫化。努力家で敏腕なのに貴重品を忘れがちな可愛さ溢れる警部補さん。鑑識の二岡くんとの関係性も
刑事コロンボを見てワクワクした者としては、作品を読むだけで同じ感覚を抱いていると勝手に推察している著者に親近感を覚える。古畑任三郎でも採用された、犯行を先に見せる手法も未だに飽きず。今回の話の中には、少し変化を加えた流れがあってそれも楽しませて頂いた。
そういえば、書き終える前にひとつ思い出した。寒くなると自販機のホットコーナーに登場する缶のお汁粉を好んで飲みます。誰かと同じたな・・と思ったことがありました。そう、この方でした。 -
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ネタバレ犬のイラストが目立つ、大倉崇裕さんの新刊である。ゴールデン・レトリバーのピーボは、警察犬ではなく、ファシリティドッグ。警察病院に常駐し、小児科病棟で子供たちを癒すのが役目。しかし、ピーボには裏の任務があった。
その任務とは、癒し効果で余命わずかな囚人患者の心を開かせ、事件の秘密について口を割らせること。ピーボ専任担当の笠門巡査部長は、指示された囚人患者の病室にピーボを連れていく。犯罪者相手とはいえ、卑怯な任務には違いない。
最初の第1話から、おやと思う。『一日署長』に登場したいずみが再登場しているではないか。本作中では笠門への資料提供を担い、あくまで脇役だが、奇妙な任務を担う者同士、 -
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警察マニア。
制服はもちろんのこと、警察手帳、手錠、警棒、拳銃などの必携装備品に憧れ、模造品を手に入れて悦に入る。
けれど、そんな人はまだ初心者だ。捜査や射撃、果ては鑑識や盗聴に至る警察スキルまで身につけてしまった人たちがいる。
そんな、マニアが高じてオタク化した人たちで作る警察愛好家サークル「警官倶楽部」の活躍を描くエンタメサスペンス。
◇
2人の制服警官が寂れた商店街を自転車で通っていた。やがて、右手にブルーのタイル貼りの奇妙な3階建ての建物が見えてくる。怪しげな教義を掲げる新興宗教「ギヤマンの鐘」の施設だ。
それを右目で捉えつつ商店街を抜けた2人が自転