大塚英志のレビュー一覧
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「柳田国男の「山人論」とは、日本の山中には先住民族の末裔が今も生存しており、その先住民族の姿を山人や山姥・天狗などと見誤って成立したものだという仮説である。」(大塚英志のあとがき)
編者の大塚英志は「明治国家は抗争史の勝者としての天皇家の人々を軸に記紀に倣って歴史を描こうとしたが(略)柳田の山人論は「敗者」あるいはマイノリティーの側の視点を持った」ものだったという。「山人論は多文化民俗学という側面を持っていた」という評価もできるらしい。その評価に、私も同意する。
とは言え、大塚さんの柳田傾倒・柳田礼賛には、少し引いてしまう面もある。例えば、せっかく一章を設けて、柳田国男・南方熊楠往復書簡を -
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2014年に東大で行われたメディアミックスについて行われたセミナー/インタビュー集。ロードス島戦記を通じて角川のメディアミックスを分析している。ロードスだけでなく、メディアミックスの方法論の評伝としても資料的価値は高い。
なお、私はロードス島の小説、コンパニオン直撃世代であり、その視点からの評となることを了承いただきたい。
本書の特筆すべき点としては、安田均、水野良やその編集者らの、ロードス島コンテンツ立ち上げメンバーの生の声が入っている点にある。そもそもTRPGから発したコンテンツであるが、ゲームとしての側面だけでなく、閲覧されるコンテンツとして関係者がどのように、楽しんでもらうもの -
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旧字体は基本改められているが、全体を通して難しかった。明治生まれの人の文書はやはり気合がいる、かも。
しかしその中で柳田國男の発見したこと、考察したことを理解することが民俗学の中の気づきにもなる。
・多くの神秘談は老衰してもう山で稼げなくなった者が、経験を子弟に伝えようとするついでに言い残すのが普通であること。そうでなく面白げに話すのは受け売りの誇張の多い話しと見てよいということ。 遠野物語にも出てくる、不思議で時に恐ろしい話は、老衰してもう長くないと悟ったものがやっと口を開く、経験談なのだということが印象深かった。
・小児に「けさ」という名を与える例が全国的にあること。災難よけの意味があ -
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試し読み
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ネタバレ
因果応報を死体から知る
因果応報という言葉がふさわしい、そんな作品です。描写は少しグロテスクな部分もあるので、苦手な人にはオススメしませんが、話はよく出来ていると思います。死体なんて普通は見るだけで嫌ですが、これは続きが気になって読んでしまいます。
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ネタバレ序章、終章を先に読む選択肢も
P8 『信貴山縁起絵巻』、『鳥獣人物戯画』=まんが表現の起源が俗説。
P72 "肩あげ"? このあたりに注釈無しというハードルの高さ。近代の文なんてすらすら読めません。
P212 「第二軍」?と思ったら、軍隊の編成でした。有名なのは、乃木将軍の第三軍かと。
P224 浅草パノラマ館 調べたら、結構本格的なものでした。確かに、死ぬことはないので、所詮は見世物ですけど。なので、いい例えでした。
P268 今までの一条推しは?
P305 絵における言文一致?と思ったら、P311で否定。
P342 『少女まんが史』の引用が、男が少女まんがを読めない理 -
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まんが原作者・評論家による日本まんがの歴史を、まんが家がまんが化したもの。
いわば、まんがを学ぶための「学習まんが」である。
現著者がネコのキャラクターと一緒に講義する形式で、取っ付きやすく敷居は下げてあるが、骨格となるのはかなり骨太な評論であり、核となる視点がいくつかある。
まんが化されているために、百聞は一見に如かず的にわかりやすいのが美点である。
最初に「キャラクター」について論じた後、江戸期・明治期をざっとおさらいし、大正アヴァンギャルドを経て、昭和へと進む。
まずは、ミッキーをはじめとするディズニーのキャラクターが「パーツ」で構成されていることに着目する。戦中・戦後の漫画家はこうし -
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3巻と4巻の刊行ペースが今までと違い過ぎてびっくり。また、しばらく空くのかな?雑誌連載では読んでいないので、どんなペースなのかは把握できないので、本屋さん行ってびっくりなわけです。
八甲田山でコロボックル捜索と、甲賀三郎と松岡の前日譚。
急激に富国強兵を目指し近代化を推し進める明治の日本。その流れの中、宗教・信仰の分野での近代化を進める松岡の若かりし頃の話。
近代化=神殺しとなる理由がよくわからないですが、理論で説明できないものを解明し系統立てる、という意味が神殺しというのであれば、理解可能かなと。
それを30年でやるというのは無理がある話ですが。