枝廣淳子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書の読者は、読後に感想を書くことを躊躇うかもしれない。とりあえずはネガティブケイパビリティとは不確実な状況で、判断を保留し、オープンでいる状態を継続する力と認識し、今後ふとした時にネガティブケイパビリティを思い出してみたいと思う。個人的には「育てる」ではなく「育つ」のを待つ感覚という例が腹落ちした。「全力を傾注した、何もしないこと」と表現された「無為」に関してユングが歩けるようになった孫の後をつかず離れず倒れたらすぐに起こせるよう、全神経を孫の後ろに集めて一緒に歩く中で理解できるようになったというエピソードにも象徴されているように感じた。
-
Posted by ブクログ
素早く問題を処理することが求められ、賞賛される現代において、あえて「不確実な状態に耐え、素早く問題を処理しない」必要性を説く本。
個人的には、とても学びの多い本だった。
冒頭の説明だけだと時代に逆行した内容のように思われるが、著者は素早く解くべき問題とそうでない問題を峻別し、前者に対しては問題解決力(=ポジティブ・ケイパビリティ)、後者に対しては不確実性に耐える能力(=ネガティブ・ケイパビリティ)を発揮すべきと主張する。
不確実な状態に置かれると強い不安に襲われ、逃げてしまう自分にとっては、色々と学びの多い内容だった。
正直、ネガティブ・ケイパビリティをどのように鍛える具体的な方法につい -
Posted by ブクログ
ネタバレシステムを理解する。これは政治家、行政の職員、経営者だけでなくあらゆる人が理解するべきだ。
国や地方自治体では何もしない。もしくは何か新しいことをするが思惑が外れて失敗する。これが延々と続けられている。それは何故か。システムへの無理解である。
システムを理解しようとしないから変化を恐れる。何かを変えると思わぬ副作用が出る。それを避けるために何もしない。逆に良いと思って新しいことを始めたがそれが限定合理性であることに気が付かなかった。システム的に考えないとこれらの不合理が生じる。
我々有権者、大衆も愚かである。サービスや商品、税金の値上げは反対などはその象徴である。日本のGDPはすでにジリ貧であ -
-
-
Posted by ブクログ
例えば、「この世界をより良くしたい」と考えた時に、どんな基本思考を生きる人すべてにインストールすれば良いのか?と思えば、名著「7つの習慣」とかは間違いなく入るのだけど、10冊選んで良ければ、この本はその内の1冊に入って良いと思う。
どうしても、短期的な感情で、人に対して良し悪しを評価したり、争ったり、目先の利益を追求したりとなりがちだけど、それらは、システムの中の小さな挙動の1つでしかない。
モノゴトを、長期的、論理的、システム的な捉え方をして、その結果が生まれるだけの理由がどこにあるのか?を建設的に議論ができるようになるには、多くの人がこの概念を持たなければならないなと。
本文中にもあ -
Posted by ブクログ
インタビューをまとめたもので60ページ程度ととても読みやすいが、内容は濃密。
「現在の人間活動を支えるのに地球はいくつ必要か」を計算するエコロジカル・フットプリントの最新値は1.5、つまり今の私たちの活動を支えるのに地球は1.5個必要ということ。
これを1以下に下げる前提で、「定常経済」とは、一定の人口と一定の人工物のストックを、可能な限り低いレベルでのスループットで維持するというもの。
それでも経済成長神話から抜け出せないのは…
経済成長がなければ、貧困問題の解決策は再分配しかないが、経済成長を先導している人たちにはデメリットなので忌み嫌われる(しかし、成長しても、豊かな人が豊かになる -
-
Posted by ブクログ
むずい。ノーフリーランチの定理が示すように万人・万物にとっての最適なシステムは存在しないのかもしれない。
それでも周りに興味・関心を抱くことがこの世界にとってより良いシステムを構築していくために必要なのかなと思います。
以下、印象的なシーン
1. 工場を取り壊しても、工場を作り出した理屈がそのまま残っているなら、その理屈が別の工場を作り出すだけだ...
→『禅とオートバイ修理技術』より引用。ここでこの本の一節が出てくるとは、、、読んだことあったので感激
2. 再生不可能な資源に頼って資本ストックを構築しているときは、大きく速く成長すればするほど、下落も大きくなる。
→ 資源には限りがあるこ -
Posted by ブクログ
ネタバレ【要約】
複雑な状況や問題に対して「システム思考」というアプローチをすることで、
大局、全体像や構造、根本を捉えて
レバレッジポイント(小さな力でシステムを大きく動かすことができるポイント)を見抜くことができ、
「正しい介入」「正しい解決策」が分かるようになる。
「システム思考」では、ある結果は何の脈絡も文脈もないところから突然変異のように生まれるのではなく、
何らかの働きかけや要素の間の様々な相互作用の結果生じたものとして捉える。
システム思考は、①時系列パターングラフ ②ループ図 ③システム原型 というツールを用いることで導くことができる。 -
Posted by ブクログ
本の題名にあるように企業の組織がより発展し持続した繁栄を維持するためには組織の成員その組織に所属する全ての人々がおのずから学べる体制、学び分析し検証でき、それを改善に繋げられるシステムになっていなければならないとする理論である。そのためにはどのような組織体系を作ることが良いのかと言うことをいろいろな例題を下に記載しているが非常に読み応えがあり何回か読まなければなかなか理解しづらい本でもある。
自ずから努力して学ぶ組織ではなく、組織のシステムとして、進化、変容、改善を遂げていけるシステムとは、どのようなものかと言うことであり、非常に参考になる。