枝廣淳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
分厚い本ではあるけど、この思考を理解し、実践できてる組織は強いと思わされる。
個人的に、この本の最も重要なポイントを3つ挙げるとするならば、
・リーダーは、自らが学習者、実践者であり、システムの設計者になること
・状態はシステムによってもたらされ、すべて、その一部としてつながっている
・共有ビジョンを持ち、現実をデータで正しく認識し、システムそのものが自ら回り続けるように取り組むこと
このあたりが主なメッセージだと解釈した。
以下は気になったところを抜粋↓
・特に変化の激しい環境下においては、ジャズプレイヤーがその場やその演奏者の状況を見ながら適応する即興が協働の質を左右するだろう
・学習する組織では職位に関係なくすべての人がその時、その場でリーダーとなり得るのである
・学習する組織は、「いかに私たちの行動が私たちの現実を生み出すか、そして私たちはいかにそれを変えられるか」と言うことを人々が継続的に発見し続ける場である
・民間セクターには、公共セクターや教育セクターにはない、そして往々にして非営利組織にもかけている「実験する自由」がある。また、ビジネス部門には明確な最終損益があるので、実験を客観的な基準によって評価することができる。
・職業は何かと聞かれると、大抵の人は、自分が毎日どういう職務を行っているかを話すばかりで、自分の属する事業全体の目的については語らない。属しているシステムに自分が影響を及ぼす事はほとんどない、あるいは全くないと思っている人が大半だ。
・組織内の人たちが自分の職務だけに焦点を当てていると、すべての職場が相互に作用した時に生み出される結果に対して、責任感をほとんど持たない。
・各プレイヤーは、充分やる気があり、何が起こり得るかについての理にかなった推測に基づき、明確に正当化できる判断を行った。悪人は1人もいなかった。にもかかわらず、危機は存在していた。このシステムの構造に組み込まれていた危機があったのだ。
・個々の行動を形作り、ある種の出来事が起こりやすい状況を作り出している、根底にある構造に目を向けなければならない
・面白いことに、ビールゲームや、他の多くのシステムでは、あなたが成功するためには他の人も成功しなければならないのだ。
・効果が現れるのを待つ。パニックに陥らない。
・なぜ構造の説明が非常に重要かと言うと、それを持ってしか、挙動パターンそのものを変えられるレベルで、挙動の根底にある原因に対処することができないからだ。
・30番街で麻薬密売人を逮捕すると、やがて単に犯罪の中心を40番街に移しただけだということに気づく
・相殺フィードバック⇨良かれと思って行った介入が、その介入の利点を相殺するような反応をシステムから引き出す
・長期的な依存につながる短期的な改善は非常によく見られる現象で、システム思考家の間では「介入者への問題のすり替わり」と呼ばれている
・どの分野であれ長期的な解決策は「システムがそれ自身の問題を引き受ける能力を強める」ものでなければならない
・原因と結果が時間的にも空間的にも近くにあると言う考えを手放すこと
・誰も悪くない。あなたも、他の誰かも1つのシステムの1部なのである。
・環境の危機は非常に厄介なのである。自己強化型のパターンをたどるものは特にそうだ。問題に注意が向けられたときには手遅れの可能性があるのだ。
・システムにはシステム自身が目指すところがある。暗黙の目標。バランス型のシステムには、何らかの目標または目的を維持しようとする自己補正能力がある。
・問題のすり代わりの構造が見られるのは、農家が作物を栽培しなくてもよいように救済する食糧援助政策や、一時的には害虫を駆除するものの、同時に自然の点滴による害虫駆除機能も排除してしまい、将来再び害虫が大発生しやすくする農薬などがある。
・良かれと思ってなされた解決策が実は長期的には状況悪化させると言う挙動は、問題のすり替わりの構造によって説明することができる
・はじめのうちは意識的な注意や努力が数多く必要だ。その仕事に必要なスキルを学んでいくにつれて、活動全体がだんだん意識的な注意から潜在意識のコントロールに移行していく。
・創造的緊張の原則では、潜在意識が最も効果的に働くのは、ビジョンと今の現実に焦点がぴったり合っている時だと認識されている。
・潜在意識は、特に心の1番奥深くにある志や価値観に沿った目標を受け入れるようだ。
・振り返りの基本スキルは、口で言っている事と実際の行動との乖離をとらえることだ。(人は信頼できる⇨友人にお金を貸さない)
・信奉理論と現在の行動との乖離が認識されない限り、どんな学習も起こらない。
・最も生産的な学習は、通常、主張と探求のスキルが融合された場合に起こる。全員が自分の考えを明らかにし、公の検証にさらすのだ。
・主張と探求のバランスが取れている場合は、データを却下することにも、データを確認することにも抵抗感がない。なぜなら、真に関心があるのは、自分の考え方の欠点を探し出すことだからだ。
・相手が自分の考えの探求を受け入れるようには思えない場合、どんなデータや論理があれば考えが変わり得るのかを聞いてみる。
・組織全体が、真実に忠実であること
・共有ビジョンは、「あの人の会社」ではなく「自分たちの会社」となる
・現代の組織のほとんどでは、参画している人は相対的にごく少数である。コミットしている人はさらに少ない。大多数の人は追従の状態にある。
・優れた結果を出せる人とは、ビジョンを保持しながら、今の現実をはっきり見ることに全力を投じることができる人だ。この原則は、組織にもそっくり当てはまる。
・優れた組織の証は「悪いニュースがどれだけ早く上に届くか」
・健全な、生きているシステムでは、管理は分散されることを私たちは知っている。
・振り返りは仕事の遂行の1部として位置づけなくてはならない。何が起きたか、何を予想していたか、この乖離から学べる事は何か。
・リーダーの役割は、船長と考えがちだが、船の設計者である。設計者ほど、船全体に影響を及ぼすものはいない。
・邪悪な指導者は、人々に罵られる。善い指導者は、人々に尊敬される。偉大な指導者は、人々に「これを成し遂げたのは我々だ」と言わしめる。
・偉大なる教師の周りには学習する人がいる。偉大なる教師は学習する場を作り出し、人々をその場に招き入れる。
・真の教師になるためには、まず、学習者にならなくてはならない。実際に、教師自身の学習に対する情熱は、その専門家としての知識と同じ位、生徒たちに刺激を与える。
・単なる提唱者や伝道者ではなく、実践者でなくてはならないのである
・最終的に最も有能なリーダーになった人たちは、階層や職務が何であれ、必ずや真の学習者でした。
・進化は「保全から生まれる変化」のプロセスである
・大事な事は、再度働きかけをしなくても良いように、改善を試みること -
Posted by ブクログ
特に目的がなくても、人々が集まったり、ただたむろしたりできる場所を作ること。そして、いろいろな人たちが「自分にも出番がある」と感じられるような場づくりをすること。これらはこれからのまちづくりにとって大きなポイントになると思っています。
(引用)好循環のまちづくり!(岩波新書)、著者:枝廣淳子、発行所:株式会社 岩波書店、2021年、95
枝廣さんによる最新刊は、「好循環のまちづくり!(岩波新書)」だ。枝廣さんは、島根県海士(あま)町をはじめ、北海道下川町、熊本県南小国(みなみおぐに)町、徳島県上勝(かみかつ)町などのまちづくりに関わり、地域を活性化させてきた。その一つ、海士町は島根県の北に浮かぶ隠岐諸島の一つである中ノ島にある。例に漏れず、海士町も人口が激減し、財政破綻寸前まで陥った。そこから「島まるごとブランド化」「高校魅力化」などの取り組みを展開し、いまでは”地方創生のモデル”として全国に名を轟かす。広く知られる「海士町」というブランド化、地域の魅力づくりはもとより、なぜ海士町民が幸せに暮らし、島外からも人を呼び込むことができるのか。まさに本書のタイトルである”好循環”を生み出す秘訣を探るべく、枝廣さんの本を読み進めた。
枝廣さんによれば、まちづくりは、3ステップ(ホップ、ステップ、ジャンプ)であると言われる。この3ステップは、まちづくりのビジョンを定め、現状の構造を理解し、好循環を強めるプロジェクトを立案・実行する。具体的には、まず町全体で危機感を共有し、財政破綻を回避するべく、まちのあるべき姿(ビジョン)を策定する。次に、好循環を強めるプロジェクトを展開し、それが牽いては、そこに住む人の幸福度が増加する。結果的には、定住や関係人口の増加をもたらし、まち全体がブランド化し、活性されていく。何よりも枝廣さんの見事なまちづくりのステップに共感するとともに、行政の独りよがりなまちづくりにならないことに、成功の秘訣が隠されているのだと感じた。
枝廣さんによる一連のまちづくりのプロセスの中で、大きな役割を果たすのが、ステップに登場するループ図の作成ではなかろうか。例えば、人口が増加し、消費力が増える。そして地域経済の規模が拡大し、雇用が生まれる。そして、さらなる人口増加に繋がる。この相関関係を矢印で示し、ループ状に図式化する。ループ図を作成することは、正のスパイラルはもちろん、そのまま放置しておけば負のスパイラルに陥るところも見える化できるところにメリットがある。このループ図を住民とともに仕上げ、まちの課題を共有する。そして、正のスパイラルを生み出すべく、官民一体となって、ビジョンを現実のものにすべく政策を講じる。一般的に行政規模が大きくなればなるほど、地元の意見を踏まえたビジョンが政策に反映されづらいという課題があるといわれている。枝廣さんによるまちづくりの手法は、理想と現実とのギャップを埋めるべく、そこに住む人達と行政が一丸となって取り組み、きちんと政策に反映されていることに強さを感じた。
本書では、まちづくりに役立つ5つの基本形も掲載されている。その2つ目の基本形に「居場所と出番」がある。これは、冒頭に紹介したものである。私も地元のまつりや小中学校のPTAなどに積極的に参加している。これは、私も地元に愛着を持っているからであろう。地元に愛着を持つと、それが外に伝わる。そして交流が生まれ、その地域が活性化する。そのことを枝廣さんは、様々なまちづくりをお手伝いされ、目の当たりにしてきたのではないだろうか。私の住む街は、八幡宮を中心にまつりが盛んである。また、小売店や金融・医療機関などが存在し、とても住みやすいところである。そこに人と人との縁が生まれれば、他の人も自分のまちに住みたいと思うようになってくれる。事実、私も数人の友達から、そのような相談を受けたことがある。枝廣さんの本を拝読し、「そのとおりだ」と納得すると同時に、自分たちのまちについて、さらなる正のスパイラルを考えていきたいと思うに至った。
急速に進む少子高齢化は、どの地域にとっても喫緊の大きな課題である。その課題に真っ向から枝廣さんとともに挑んできたまちは、見事に持続可能な社会モデルを作り上げてきた。ただ、「人口を増やそう」というだけでは、政策とは言い難い。枝廣さんによる「好循環のまちづくり」は、いま多くの地域が求めている一つの解であると感じた。 -
Posted by ブクログ
時間をかけて唸りながら読みました。良書。
いかに学習する組織の少ないことか。。。
そして自分の組織は学習する組織でありたいと思う。
以下、フレーズの抜粋。
・問題はどんなビジョンかではない。ビジョンで何をするかだ
・人は変化に抵抗するのではない。変化させられることに抵抗するのだ
・組織を設計することは理性の力を超える
・私たちはより賢く働く代わりに、単にがむしゃらに働いていた
・私たちは昔から上司への報告を書くのはお手の物だが
自分の経験から学ぶことは必ずしも得意ではない
・上司を相手にするときは「約束は控えめに結果は期待以上に」
・過去の戦略や経営上の変更、リーダーシップのアプローチにおいて
何が成功し、何が失敗したかを調査することに
自分たちの組織がほとんど資源を投資していないことは
まさに職務怠慢と言ってよい -
Posted by ブクログ
なんとなく耳にはしているけど、よくはわかっていない「アニマルウェルフェア」。直訳では動物福祉となる。畜産が動物福祉に沿ったやり方で行われているか、屠殺も含めての法律が世界で整備されている中、日本では実に具体性のない文言の法的強制力のないガイドラインしかないということがわかった。
また、海外からのお客さんのニーズもオリンピックに向けて考えると、アニマルウェルフェアに適った方法での飼育や商品表示が求められることになるだろう。こんなこと言い出したらキリがない、という人もいるかもしれないが、本来持続可能な方法で食べられるだけのものをいただくのが、人間がこれからも生き延びていくための道ではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
世界を理解するためのバイブルと言っていい。
その意味で、J.E.ラブロック のガイア論と
並んで、私のおススメ図書の5本の指に入る。
ガイア論は地球の恒常性を示したもので、
提示的、啓発的だが、
本書は自然に加え、社会やその設計を志向する点で
より工学的、実践的。
世界は、単純な要素が繋がって、
複雑な挙動を示す。
システム思考家は、世界を
フローの操作によってその水準を調整するメカニズムが付いているストックの集合体
と見ている。
そうですね!私もシステム思考家に
なっていきますとも、ええ。
これまで私が無意識、経験的に見つけて会社や家庭で作ってきたいくつかのうまくいく仕組み、
つまり、持続可能でシステムを自律的に改善、維持する仕組みと、その維持方法が、
この本で体系的に整理されている。
著者のドネラ・メドウズの、人類がよりよい未来を築くためのポイント
・ビジョンを描く
・仲間をつくる
・真実を語る
・学習する
・慈しむ
これも自分のモットーに加えよう。 -
Posted by ブクログ
「最強組織の法則」の改訂版。ということで当然ながら、ヘビー級かつ難解である。しかし、それでも本書を読む意味は、大きく、広く、深い。個の能力の総和より、はるかに大きな能力をもつチームを持ちたいと願うマネージャは多いだろう。しかし、こんな組織がその辺に転がっているわけでもなく、自分が今持っている組織を作りかえるしかない。だた、どうすればいいかわからない。やみくもに、ベスト・プラクティスを実行しても、しょせんそれはパッチワーク。チームの成長にはつながらない。本書は、このような状況(おそらく、ほとんどの組織はそうだと思う)から、いかに抜け出して、卓越した組織を作るかを、真正面から答えようとし、十分な成功を勝ち取っていると言える。真正面から、正論で臨むために、おそらくこれを実践する人間は、多くの軋轢になやみ、くじけることがあるかもしれないが、それでも、あなたがプロフェッショナルなら、やめてはならない。最強の組織を作ることが、あなたの使命なのだから。
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Posted by ブクログ
元世銀のエコノミストで、経済学者のハーマン・デイリー氏が主張する「定常経済」について、枝廣淳子氏がインタビューしたのをブックレットにしたもの。
定常経済とは、成長に必要な自然資本の利用が限界に達しつつある現在、人類の持続可能性のためには、成長神話ではなく、現状に見合った仕組みに変更すべきであるといったもの。
経済成長にも損益分岐点のようなものがあり、一定の限界を超えると、成長のためのコスト(自然資本の消費)が成長のメリットを超えてしまい、不経済な成長となってしまう。先進国では、現在その状態にある。
そこで、可能な限り低いレベルのコストで維持できるシステムに変えていかないといけない。
例えば、地球は閉じたシステムなので、そこから得られる物質もエネルギーにも限度がある。それらの資源を再生産が可能な状態で利用するためには、キャップアンドトレードのような仕組みを活用する必要がある。また他にも、ワークシェアリングや、民間銀行の準備預金の準備率を100%にして公共財の投資を増やす、最高所得と最低所得の幅を制限する、など、ちょっと現実味に欠ける向きもあるが、いくつかの政策も提示している。氏によると、限界が露呈している中で、成長神話にしがみついてこの先行くことを考えると、十分あり得る代替案だとのこと。
少子高齢化や失われた20年といわれるように、ここで話題になっている成長の限界については、日本が先頭に立っているのかもしれない。そこで、日本がどのように、これらの問題にうまく対応し、解決できるかは、ある意味日本のチャンスとして存在しているのかもしれない。そのためには、客観的な現状認識と、多くの人の考え方が変わる必要があると感じた。