司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 坂の上の雲(一)
    我が国の近代化のあけぼのをこれほどユーモアたっぷりに描いた作品は他にないと思う。「まことに小さな国が、開花期を迎えようとしている。」というその出だしからして、この先の物語展開が楽しみで仕方ないという気分にさせてくれる。
    日本の近代化はすなわち軍国化・帝国化であるが、この第一巻はそのような風雲をまるで...続きを読む
  • 菜の花の沖(四)
    ▼主人公・高田屋嘉兵衛は蝦夷地に惹かれる。この巻では、さながら、「1800年前後の、江戸幕府の蝦夷地政策物語、そこで集った人物列伝」。

    ▼航路を開く、という意味が良く分かりました。昔の船だと知らない航路は危なかったんですね。

    ▼嘉兵衛が徐々に「志士」になっていきます。同時にもう貧乏物語ではない。...続きを読む
  • 新選組血風録 〈改版〉
    新撰組関係の書籍を読み漁っているけど、流石の司馬遼太郎先生という、文章から想像される迫力や艶かしさが凄い。
    最初が篠原泰之進で始まるのも、伊藤甲子太郎推しの私にはとても良かった。どのエピソードも魅力的、兄に勧められた大島渚監督の御法度もみてみよう。
    ただ、新撰組を知れば知るほど近藤が好きじゃなくなる...続きを読む
  • 街道をゆく 38
    正に縄文を旅している私にピッタリな「街道を行く」でした。サロマ湖畔の常呂遺跡が出てきたときには、もう嬉しくって・・・
  • 翔ぶが如く(一)
    司馬遼太郎作品において正直前評判があまり良くなかったので、期待はしていなかったが、個人的にはとても面白かった。

    西郷隆盛という、歴史的偉人について、司馬遼太郎作品らしく、多くの史実や独自の視点から紐解いており、改めて尊敬すべき偉人だと感じる。
    ここからどのような展開になっていくか楽しみである。
  • 新装版 箱根の坂(下)
    日本の戦国時代、そのスタートを切った北条早雲の戦国大名になるまでがついに描かれます。京都から始まったこの物語は、序盤が長過ぎるように感じますが、時代の先駆者である早雲を鮮やかに描き出すために必要であったことがわかります。早雲とともに旅をしてきた長い物語は、ついに箱根の坂を超えます。当時、駿河、伊豆ま...続きを読む
  • 新選組血風録 新装版
    登場人物が章ごとに変わるので、緩く長く読める作品です。ワタシは作品を途中まで読んで、その人物についてwikiで調べ背景を補完して読んでいきました。
    それにしても司馬遼太郎さんの描写は読みやすいですね。
  • 菜の花の沖(三)
    ▼高田屋嘉兵衛とその時代を描く第3巻。オモシロイ。江戸時代の真ん中というか後半というか。つまり1800年よりちょいと前なので、実は時代としては「剣客商売」の時代なんですね。その時代の物流と経済、日本の地理などが嘉兵衛の人生を通してじわじわと入ってくるような不思議な小説。

    ▼嘉兵衛は巨大な船を作り、...続きを読む
  • 関ヶ原(下)
    みんなからの嫌われ者、石田三成を自分も序盤からずっと好きになれなかったのだけど、最後の最後でその感情も全く逆になった。感動した。
    本当に義を貫いた人だったんだ。

    裏切って家康についた将たちは、その後どんな運命を辿ったのか気になった。
    次読むテーマにしたい。
  • 竜馬がゆく(一)
    ソフトバンクの孫正義さんが闘病中に読み、志をもって世の中を変えていく竜馬の姿に感激して、奮起したと言うから、本著に興味を持った。

    会話が多くて、竜馬の人情味を感じられ易く、とても面白い。歴史知識が乏しくても解説が多いので楽しく読み進められます。
  • 項羽と劉邦(下)
    武のカリスマ項羽と究極の凡人劉邦の苛烈な戦争譚だった。これで何で劉邦が天下を取るのかも不思議にも感じるくらい。
    項羽と虞姫の話や無欲な張良、劉邦の部下であろうとする韓信など、人柄が分かるエピソードもこの物語を肉付けしていて、結末を胸に迫るものにしている。
    これはもう再読必須ですわ。
  • 峠(上)
    ストーリーとしておもしろいし、対局を見たうえでの組織における動き方や駆け引き、自分の意志の貫き通すための心構えなど様々な部分で勉強になる本だど思います。
    また何気ない事象に対する洞察は、頭の良い人のクセのようなものだと思いますが、それが随所に描かれているのもおもしろさの1つだと思います。
  • 項羽と劉邦(下)
    年末年始休暇を使い読破。

    項羽と劉邦という全く異なる2人のリーダーを軸に始皇帝亡き後の楚漢戦争を描いた司馬遼太郎の大作。

    中国のスケールの大きさに圧倒されます。
    歴史の勉強にもなります。
    項羽の壮絶な最期は、司馬遼太郎の筆が冴え渡り。情景が浮かんできました。
  • 坂の上の雲(七)
    日露戦争において日本がいかに綱渡りの戦闘をしていたかがありありと描かれており、手に汗握る展開で面白い。

    またバルチック艦隊との戦いの前夜までが、目に浮かぶように描かれ、まるで乗船しているかのような気持ちになる。
    改めて司馬遼太郎氏の本の面白いさを感じる一冊。
  • 菜の花の沖(二)
    ▼2巻。嘉兵衛は乞食のような放浪民から兵庫で「船員さん」になる。まだまだ貧しい。ところが優秀である。フリーの特殊技能者としてごりごり出世する。このあたり、農村の秩序のなかで陰湿にいじめられていた前史に比べて、実に爽快に実力主義です。このあたりは、現代でも同じでしょう。なんであれ商売や生産や、工事や料...続きを読む
  • 城塞(上)
    40年振りの再読。
    大阪冬の陣•夏の陣で陥落してゆく大阪城と豊臣家を描く。
    淀殿の戦さに対するトラウマと中途半端なプライド、大阪方に策謀をめぐらす家康と崇伝の大悪党ぶり、豊臣家家老の片桐且元の逐電などめちゃくちゃ面白い人間ドラマ。全3巻。
  • 新史 太閤記(上)
    司馬遼太郎の本は初めて読んだ。
    秀吉の行ったさまざまなエピソードの裏で、恐ろしいほどに自分を蔑み、気を遣ってきたことなどが描かれていて、人物像がより深く見えた気がします。
    下巻も楽しみ。
  • 項羽と劉邦(上)
    紀元前221年に春秋戦国時代の中国を統一し、秦王朝を打ち立てた始皇帝の末期から始まる本書。それまでの封建性に取って代わり、官僚制による各地を統治するという斬新な方法で全国を支配した。万里の長城を始めとする数々の大型土木工事を行ったが、これを実行する為に各地から労働力を徴用しつづけたことで民心は離反し...続きを読む
  • 菜の花の沖(一)
    さすがに名作
     「飛びあがった」など、機微は根底が俗に通じてゐるが、比喩の巧みさと語感の選択のうまさが内容を高らしめて、俗を俗たらしめてゐない。総じて名文といへるところが多い。

     展開もうまい。まさか歴史小説で嘉兵衛とおふさの恋愛に惹きつけられるとは思はなかった。

     初心者向けに用語を説明しよう...続きを読む
  • 国盗り物語(二)
    庄九郎(斎藤道三)の人間的な魅力がありありと書かれており、その魅力が作品を面白くしている。非凡な活力にまだまだ若いものだと思っていたら、実はかなり歳をとっていて驚いた。