司馬遼太郎のレビュー一覧
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高円寺の文禄堂が潰れる最終日に、最後だし読もうと思っていたけど読んでこなかった本を買おうと思い購入。10年以上前に同著者による「人斬り以蔵」を読んだことはあったが、八冊に及ぶ本作を読めるかと不安であったので(一)を購入して読み進めると好古と真之の生き方にすぐに引き込まれて二日で読んでしまった。明治維新後の四国松山出身の二人の兄弟が日本を代表する軍人になる物語である。
江戸の頃には世襲を前提とした階級社会であったが、維新後はとにかく人材が足りないこともあり薩長土肥以外の下級の生まれであっても己の才覚で成り上がることができる様はある種、現代のなろう系的な物語に通ずるところがあると感じた。
さて、 -
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『義経』で心を掴まれ、全8巻、読み切れるかなあ、とは思いながらも他にも司馬遼太郎さんの作品を読んでみたいと手に取りました。
義経の時と同じように坂本龍馬が本当にこんな人格であって欲しい、と思えてしまうような非常に興味深い人物像で描かれています。
私が歴史に無知なだけなのかもしれませんが、坂本龍馬といえば、で浮かんでくる事柄が全く出てこないまま1巻目を終えました。ここからどう進んであの聞いたことのある出来事と結びつくのか、2巻目を読みたくて読みたくてそわそわそわそわ、仕方ありません。
8巻読み切れるか不安で1巻しか購入していなかったので明日必ず2巻目、3巻目も買いに行きます。 -
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大坂夏の陣を中心に描かれた、豊臣家の最期。騙し騙されの権力闘争。家康の緻密過ぎる戦略と人使いのうまさ。勝ち目がないことを知りつつも、戦いに挑んでいく豊臣方の武将たち。
歴史を変えたのは誰かということを考えると、名が残された人物だけではないことが分かります。
最後まで、戦国時代に身を置いた気持ちになりました。どちらかというと豊臣側の気分で、とても辛かった。でも、壮大なドラマに感情移入できて最高でした。
ここからは、余談です・・・・(司馬遼太郎さん、まねしてスミマセン)
今まで歴史小説を敬遠していました。難しそうで、興味がわかない。そんな歴史オンチの私が、昨年から「坂の上の雲」「竜馬がゆく -
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大坂冬の陣、和議、そして外濠、内濠まで埋め立てられて要塞としての価値がなくなった大坂城。何とも物悲しい。
微に入り細に入り抜かりない、家康の策略描写に圧倒され、最後の最後まで熱中できました。家康、本当に恐るべし。淀君、秀頼、幸村の人物像も記憶にしっかり残り、この時代に興味のなかった自分自身の変化にびっくりしています。豊臣方と徳川方の内部事情をあれこれ考えていた、小幡勘兵衛の存在も忘れられません。
司馬遼太郎さんお得意の余談も楽しめました。
・秀頼は書道に明るいが、家康は文字が下手。
・家康、セルバンテス、シェイクスピアは同時代人。3人とも1616年4月に死去。 -
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ネタバレ全4巻読み切りました。
最後は、備中高松城から如水の最後まで。
黒田官兵衛としての物語は山崎合戦で終えて、そこからは如水の話となり、亡くなるまでの話になるけど、ダイジェスト的になって(最近、司馬さんの本読みまくっていて最後はこんな終わり方っておもったけど)播磨灘の物語としては、舞台も変わって確かに終わっていく感じでした。
断片的に知っていた、関ヶ原以降の如水の思惑もあって、家康に怪しまれないようにうまく立ち回る感じなんかは、戦国の怪大名っぽくてミステリアス。隠居後は子供と遊んだり、街を散歩したりと、かつての姿とは懸け離れているその生活描写は、年を取るとみんな同じか、と思える節も感じる。
これ -
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まず、歴史の知識が皆無の人間が書いていることをご承知おきください。
義経、頼朝、弁慶、壇ノ浦の戦い、単語は知っているけど単語しか知らないという状態で読みました。
ところどころで関連書物を引用していると思われる部分があり、事実と司馬遼太郎さんの空想が入り混じって描かれた世界なのだと思います。
表現力巧みな上一人一人のキャラクター設定が緻密で物語の中に引き込まれます。
また、出来事が一通り書かれた後につまりは〜ということである。というような要約もあり無知な私でも物語のスピードに置いていかれることはありませんでした。
上辺だけを知っている私は様々なところで衝撃を受け、また義経がこれほどに人懐っこく愛 -
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江戸を脱出してから北越戦争に投じて、激戦の中で被弾による戦傷死までを辿る。
継之助は誰よりも時代の流れを見通し、可能な限りの戦備も整えたが、歴史の皮肉はその継之助が幕藩時代の譜代大名家の士分に生まれたことだろう。全て見通しているものの、長岡藩執政という立場に全てを規定されてしまう。武装中立するという立場も元々無理筋ではあったが、裏で会津藩が自分側に引き入れようと策を練り(基本的に失敗続きの会津藩が自分と長岡藩が裏取引しているとの印象を官軍に抱かせる謀略だけは成功)、検察官的性格の官軍軍監岩村精一郎に塩対応をされ戦う決意を決めてしまう。
軍備もあって戦術眼もあったからこそ彼我に多くの戦死者を -
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今まで戦国時代の歴史に関心がなく、その時代に関する大河ドラマを見ることもありませんでした。今回、戦国武将たちのかけひきの有り様を初めて知り、興味深かったです。数日に渡って読んでいこうと思いましたが、関ヶ原の戦いに入ってからは、自然読むスピードがアップして、あっという間でした。
上巻、中巻と司馬遼太郎さんの詳しい実況中継で、リアルな映像が広がりました。下巻の最後では石田三成の悲痛な叫びに、司馬遼太郎さんの気持ちまで乗っかっているように思えました。
全体を見通す力、客観的に現実を見る目といった組織のトップとして必要な能力が、三成には確かに欠けていた。それが分かっているのに三成のことを悪く思えな -
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戦国時代の現場中継を見ているようです。徳川家康VS石田三成それぞれの人間関係、策略が俯瞰できるところが面白い。両者の様子を見比べて、自分だったらどちらにつくかを考えると、まさに究極の選択で、どちらとも言い難し。ただ応援するとしたら、三成の気分になっています。この小説の中での家康はどうもすきになれない。(百姓の立場だったら、新しい世の中になってほしいから、家康かなあ。)家康はワンマンに見えて、重要なところでは必ず会議にかけて全体にはかっている。家康の方がやはり、一枚うわてなんだよなあ。三成、惜しいなあ。
三成にどうか頑張ってもらいたいと思ってしまう、この不思議。関ヶ原の戦いの結果は、歴史事項と -
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豊臣秀吉と石田三成の出会いの場面が、この物語のはじめに記されています。
秀吉の死後、徳川家康VS石田三成の対決は大変面白い。両者の人物描写は、真に迫るものがありました。お互いに考えていることの優劣つけがたしですが、なんといっても家康の策略は恐るべし。司馬遼太郎さんの描く家康像、かなり嫌なヤツです。石田三成のこともまだまだ良く分かっていないのですが、(彼自身の性格的な問題もあるようですが)何だかかわいそうになってしまいます。
家康には本多正信が、三成には島左近がついており、この二人もまたまたすごい。本多正信、島左近について今まで知りませんでした。
後半、前田利家亡き後の奥さんについて記され -
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「竜馬がゆく」「燃えよ剣」「峠」と、幕末小説を読み終わり、いざ明治へ。
時代はこうも変わるものだろうか。
幕末は、薩摩・長州・土佐や幕府など、あくまで「国内」が舞台だった。けれども時代変わり、舞台は一気に「世界」へと変わっていく。
身分も「士農工商」だけでなく、学者や政治家、軍部など、バラエティに富みはじめる。
この第一巻が、大体、明治20年前後までのお話。だからたった20年で、国民も、国も、世界も、こんなにも変わってしまうのである。
その時代の変化の、いかに激しいことか。ずっと幕末小説を読んでいたから、その変化のスピードと量に、驚いてしまった。
これから先、明治時代はどのように動き