司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 街道をゆく 1
    GWに「長州」へ旅行に行ったのですがその予習用に読んだのがこちら。だいぶ時代が経っているので学説的にはすでに更新されているものもありますが、それでもやはり司馬遼太郎の唯一無二の語り口は良いですね。このシリーズも少しずつ読み進めていこうと思います。
  • 坂の上の雲(八)
    久々の小説にも関わらずこの大作を選んだのは、目下のロシア情勢もあって近現代史の勉強になればと思って手に取った。
    調査〜執筆に10年かけられたこの大作は、司馬史観という言葉もあれど一つの史実と受け止めている。ロシアという国家の歴史をふまえ、なるほど今の侵略戦争も歴史の繰り返しなのだと納得する。
    加えて...続きを読む
  • 功名が辻(四)
    全4巻の物語の完結巻。山内一豊のことはよく知らなかったが、彼が千代のサポートのもと、見事土佐の大名に任ぜられるところまでは、痛快な話だった。しかし、土佐土着の武士、一領具足たちの反乱が治らなかったため、その指導者たちを騙し討ちのようにして虐殺する場面は悲しかった。
    最後に、長い「おわりに」がある。一...続きを読む
  • 世に棲む日日(四)
    革命的思想家としての松陰吉田寅次郎と革命家としての高杉晋作をある意味対比させているような、気がしないでもない。
    というのは読みながらなんとなく感じていたけど、最後の松本健一さんの解説がわかりやすくて、なるほどなと腑に落ちた。
    あの時代で見れば「狂」であるのは両者変わりないだろうが、活動する時期でまっ...続きを読む
  • 花神(下)
    非常に濃い中身だった。明治維新はいよいよクライマックス。
    天才的な直感と合理的な計算、相反するようで両立する2つの才能。この捉えようのない偏屈オヤジはなぜか異様に魅力的で、対比させられる狭小な器の平凡な人たちが少しかわいそう。
    彰義隊のあたりを読んで改めて、上野周辺を散策してみたくなった。
    この時代...続きを読む
  • 最後の将軍 徳川慶喜
    これを読むまでは慶喜はヘタレのボンクラ将軍やと思ってたんやけど、小説の脚色は多少あるにせよ、意外に英雄然とした人となりが分かって慶喜を少し見直した。

    チンピラだが無邪気な長州じゃなく、佐幕派と見せかけて寝首を掻く策略家の薩摩に一番恐れていた朝敵の烙印を押されたことで薩摩を心から憎んでるというのもよ...続きを読む
  • 関ヶ原(上)
    関ケ原3部作上巻、大戦の前。とっくにその勝敗は決していたんだという感想。三成は嘘のように青臭いし、家康とその謀臣は嘘のように狡猾に感じる。のちに260年続く江戸幕府の創始者だと思えば当然の能力なのかもしれないが。
  • 坂の上の雲(一)
    軍人の秋山兄弟と、その幼なじみの俳人・正岡子規を中心に明治時代を描いた司馬遼太郎の代表作。
    序盤で描写される明治維新後の楽観的で明朗な時代感が好きで、落ち込んだ時には何度となく救われてきた。
    中盤以降は日露戦争での陸海戦が描かれる。
    最終話のタイトル「雨の坂」で、日露戦争での勝利をピークに、そこから...続きを読む
  • 街道をゆく 3
    「街道をゆく3 陸奥のみち・肥薩のみちほか」司馬遼太郎。初出は1972年。朝日文庫。



     こちらの年齢のこともあるでしょうが、小学生から舐めるように読んできた司馬遼太郎さんの中で、ずっと読んでこなかった「街道をゆく」。その魅力を発見したのが40代の読書最大の快楽と言ってもいいくらいですが、これ...続きを読む
  • 坂の上の雲(八)
    日清日露を駆け抜けてきて、それがとうとう終わり、切ない気持ちになった。好古や真之、子規の生き様を感じることができた
    日露戦争って日本人からすると自国防衛だけど、今後の各国の動きを左右するような戦争で、世界中から注目されてたんだな
  • 項羽と劉邦(下)
    筆に勢いのある司馬遼太郎。項羽と劉邦の人格の違いが魅力の本作ですが、その違いは中国の風土・文化への丁寧な分析と構成のなせる技。特に食うに困った「流民」の概念が全体のベースになっているのは、なるほどと。各所で良い味を出している諸子百家の士や客たちも戦国期の農業生産性の向上による自立農の増加から生まれた...続きを読む
  • 国盗り物語(一)
    道三編の前半。奈良屋乗っ取りから美濃への進出まで、フィクションを交えながら面白く描かれていて、一気に読んでしまいました。
  • 街道をゆく 35
    あまり読まない司馬遼太郎だが、台湾に続く2冊目の海外編を読む。
    紀行部分と美術史部分に折り重なっているが、私は紀行部分が面白かった。
    台湾の方が印象鮮やかだが、こちらもおすすめの「街道をゆく」だ。

  • 新選組血風録 新装版
    新選組血風録は新選組としてよく名前を聞く土方さん、近藤さん、沖田さん以外の一隊士をメインとするお話もあり面白かった。

    長編ではなく短編であったこともありお気に入りの話が出来るのではないかと思う。

    ある話の中で土方さんに餅をもらう山崎さんが可愛かった。

    池田屋異聞と胡沙笛を吹く武士、虎徹、沖田総...続きを読む
  • 街道をゆく 42
    累計発行部数1200万部超、読み継がれる、司馬遼太郎のライフワーク。この作品の目的地は、ごく小さな場所ながら日本史を旋回させる舞台となった三浦半島。
  • 夏草の賦(上)
    若い頃に読んだ司馬遼太郎氏の作品を読み返しております。

    司馬遼太郎氏は現存の資料を徹底的に調べ、それを土台に書き上げるとともに、あくまで歴史小説であるので私観や想像を織り交ぜてもおられるので、どこからどこまでが史実か分からないほどの作品が多いと聞いております。
    シンプル、時には出来事をあっさりと流...続きを読む
  • 街道をゆく 40
    司馬遼太郎は苦手で作品を読まない。
    台湾を知りたいの一環でこの本を手に取ったが、結果は大変良かった。

    この作品の通奏低音は、台湾は中国ではない、中国は単なる侵略者だ、、と私は理解した。(ついでに日本も侵略者 だが後の国民党があまりにひどかったので親日派が多いのだろう)


    あちらこちらを巡って風俗...続きを読む
  • 坂の上の雲(五)
    バルチック艦隊だが、アフリカ最南端経由での大遠征により、日本領海に到着しても戦闘するどころの話ではないくらいに疲弊してしまったと思われる。
    次巻以降の展開に注目したい。
    あと、この巻で語られた乃木による203高地の攻防戦だが、結果的には児玉の介入で薄氷の勝利を得たが、ここに至るまでに膨大な戦死者、損...続きを読む
  • 新史 太閤記(下)
    下巻は天下人を目指す秀吉。一代記ではなく、下巻は大阪城での家康の謁見までです。
    天下統一後の、朝鮮出兵や秀次切腹まで書くと、この本で描かれた秀吉像と整合が取れなくなる?
    圧倒的な筆力です。昨今の作家の歴史小説など、人物像が薄っぺらく、ばからしくて読めなくなりますのでご注意ください。
  • 新史 太閤記(上)
    出版当時は「新史」太閤記、今や「真史」太閤記。秀吉像を作り上げた一冊。
    まるで見ていたかのような人物描写、圧倒的な筆力。最後まで一気に読ませます。
    上巻は荒木村重の反乱まで。