司馬遼太郎のレビュー一覧
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下巻ほとんどのページが対秀吉の小牧長久手戦の描写。この戦い、いつ終わるんだ?関ヶ原の戦いと大坂の陣はいつ始まるんだ?という読者の心配をすっ飛ばして、物語は幕府を開き、徳川家を磐石にし終えた後の晩年の家康へ。そこはすでに発表している「関ヶ原」、「城塞」を読んでね、ということらしい
司馬遼太郎が描く家康像は、頼るべきは自分ひとりという孤高の存在。まさに覇王と呼べる主義・主張・振る舞い。秀吉や他大名はもちろん酒井、石川、本多など徳川の有力家臣団すら、信用はしないが、能力は利用する。ということに徹底している。かかりつけの医師すらも信じず、自分で自分を診断し、薬を調合するほど。
織田信長に命じられ、自らの妻と長男を殺害したことが、彼の人生観を大きく変えた。誰も信じることのできない世界に突入した家康。そんな彼が唯一、頼りにしたのは名誉も恩賞も求めず、命令があれば、命を差し出すことも辞さない三河武士団の精神。人や家ではなく、その土地の風土を信じ切ることで、家康は300年続くことになった徳川家を創り上げることができた。 -
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ネタバレ1.2巻が陽の気なのに対して、3.4巻は陰が漂っててる。
実のところ信長が常に天下万民のためを思って行動していたことに驚きはした。自分がやっていることが本当に正しいことだと信じてやまなかったんだろうな(信じるも何もなさそうではあるが)。だから光秀が謀反を起こした時もすぐに受け入れたんだろうなと。
光秀は光秀で、前半は義昭と信長の間に挟まれて大変窮屈そうだった。そもそも優しすぎて仲介役に向いてないんだろう。秀吉の方が上手くやれそうだと感じた。
後半は信長に酷使されて心を失っていく姿が見ていて辛かった。こうも大将と性格が合わない中よくここまで登り詰めたものだ...道三も極楽で行く末を見守っていただろうなぁ。
信心深い光秀が何度も御神籤を引くなんて、鉄炮遣いの光秀が雨の日に開戦するなんて。知謀も薄れるほど信長に仕えるのが限界だったんだろうな。
4巻総じて、とっても面白かった。斎藤道三が世に及ぼした影響、信長と光秀の対比、朝廷と幕府をいかに利用して天下を成し遂げるかなどなど知らない事をたくさん学ぶ機会になった。
こうなると秀吉も家康の今後も気になるし、長篠の戦いの詳細や武田信玄vs上杉謙信ももっと知りたいし、逆に毛利家がどうやって栄えてきたのかもみたい。歴史沼は深い...。 -
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司馬遼太郎が描く徳川家康。
信長、秀吉の次に登場し、覇者となった家康は忍耐と長寿の人だ。
家康最大のピンチは同盟者、織田信長に武田家への内通を疑われた家康の妻と長男の処分を指示されたとき。しかも、その発端は徳川家の最重要家臣、酒井忠次の裏切りとも言える行動。酒井忠次を排除し、信長へ反旗を翻してもおかしくない場面。が、家康は耐えた。自らの手で妻と長男を処刑し、信長との同盟関係と忠次の従僕関係を維持した。
家康は自らを感情を持つ人ではなく、組織の一機関として客観視することができたのだろう。
その耐えた後に、本能寺の変があり、信長のいない世界へたどり着けたのは家康の長寿のおかげだ。
時代は信長政権から秀吉政権へ。そんな新政権に惹き込まれる家康の家臣、石川和正が心情の変化を見せつつ、下巻へ続く。 -
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身長150㎝、猿顔で薄毛、卑賤から生まれた秀吉。内部にある恐ろしいゼロの思想、陽気さ(失うものなどない)に励まされた。
以下に、文中の抜粋を記載します。
・官兵衛、世の中のことは全て陽気にやるのよ。
・人間一生のうち、飛躍を遂げようと思えば生涯に一度だけ、渾身の知恵を絞って悪事をせねばならぬ。悪事を思い切って陽気にやらねばならぬ。
・小早川隆景『この場合、弾丸を送るよりも恩を送る方がはるかに当家百年のためになる。』
・毛利本軍は無傷のまま本国に帰られよ。因幡の国侍どもに対しても一指も触れぬ。それぞれ郷村へ帰り安堵すべし。
・この男は稀代の人好きであった。悪人は悪人として、臆病者は臆病者としてそれぞれのおかし味を愛し、その愛し方は、茶人が唐渡りの薄汚い茶碗を賞味するかのごとく愛し、時にはよだれをしたたらさんばかりの態度をとる。もっともそれは特に婦人の場合であったが。
・猿の最大の美点はあくまでも陽気だったことだ。
・猿は「昔の飢えに戻るよりもましだ。叩かれてようと今の境遇がどれだけいいかわからない。」 -
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終わりに近づくにつれ、読むのがとても怖かった。それは、本能寺の変が起きる事実を知っているから。
斎藤道三から有望視された、織田信長と明智光秀。信長が主で、光秀が従の関係。互いにリスペクトする部分がありながらも、牽制し合っている、何しろ相性がよろしくない2人。
明智光秀について、私はあまりにも知らなすぎでした。
本書の信長像と光秀像は、強烈に印象に残りました。両者のマイナス面、プラス面ともに描かれ、心情の浮き沈みまで伝わるものだったからです。
光秀が戦国時代の人でなければ、どんなに生きやすかったか。
辛い板挟み(将軍家の家来でもあり、織田家の家来でもある)の中で精神状態を保ち、限界までがんばりぬいた明智光秀に、私は『国盗り物語』MVP賞をあげたい気持ちです。(戦国武将たちが聞いたら、“そんなの甘いよー”って言われそうなんですけど。どうしても、あげたい!)
過酷な時代を生き抜く人間の底なしの強さと、抱えきれないほどの悲哀が感じ取れ、読後に言葉を失うほどのインパクトのある作品でした。第四巻は、“織田信長 後編”となっています。しかし司馬遼太郎さんは、明智光秀に心を大きく傾けているように感じました。明智光秀にスポットライトが当てられたこと、画期的であると思います。読むことができて、良かったです。 -
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斎藤道三と義竜(義理の子)の戦いまでにいたる人間模様、壮絶でした。
勝負師としての道三は、確かにスゴイ。しかし、自分の野望のために踏み台にした人々、特に妾の深芳野が不憫でなりません。
道三VS義竜では、怨念がこもった深芳野の魂も、参戦していたのではないかと思います。血の涙を流し耐えていた女性たち、悲しすぎます。
道三の死後は、主要登場人物が明智光秀と織田信長にバトンタッチ。両人とも道三、お墨付きの人物。智力に長けている光秀、破天荒ではあるけれど、地盤のある信長。二人の人物像を比較できたので、理解が深まりました。続く4巻で、どのように2人が絡んでいくか楽しみです。 -
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おもしろすぎる『国盗り物語2』です。
“まむし”と呼ばれるようになった、庄九郎(斎藤道三)。フットワーク良く動きます。「神技のような行動性」と記されていました。女性を手のうちに入れるのも神技級。美濃のトップに立つ野望達成のために手段を選びません。ついに上司である頼芸を追放することに。庄九郎の頭はキレッキレで恐るべしです。そのような一面は、すごいなぁと感心しきりですが、そのかげで泣いている女性もいる。その女性の悲しみを思うと辛いです。
司馬遼太郎さんお得意の余談、炸裂でした。今回の余談の中に、素の司馬遼太郎さんの気持ちが出ていて興味深かったです。
※「しかし四十を越えると、妙なことがある。他人さまを平気できらいになってしまう。他人だけでなく、自分をふくめて、どれもこれも少しずつ峻烈に気に入らなくなってきた。」「どうも四十を越えれば自制心のたががゆるみ、愛憎ともに深くなりまさるものらしい。」(余談より抜粋)
全体を通して、ストーリーの展開がおもしろく、するっと読み終えました。