柏井壽のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
京都に生まれ、京都に育ち、そして京都をこよなく愛する筆者による、京都案内。
京都市内(いや、むしろ京の都といった方が良いかもしれない)は、御所を中心に置き、東西南北に規則正しく貫かれた大通り(路)を基本に発展してきた。
しかし、それは寺社や貴族などの暮らしであって、庶民の暮らしは、より細い道である筋、そして路地に面して営まれてきた。
京都を旅する時に、有名な観光地だけを点と点を繋ぐように旅行するのであれば、決して目に入らない路地。
乗り物に乗って通り過ぎるだけでは、決してめぐり会えない、路地との出会い方の入門書。
京都は、千年の歴史を持つ我が国の都。そして、その歴史的な町は、時代の発展と共に刷新されてしまったのではなく、人々の暮らしとともに、元の形を保ったまま変化してきた。
だから、路地には京都の歴史が、そのまま生き残っている場所が多くある。
伝承に出てくる、鬼が身を投げた井戸などが、今もそのまま残っているのが、京都の町。
そして、その路地は、いつも出かける観光地や、バスを降りたその場所から、歩く方向を少し変えて見るだけで、目の前に現れてくる。
そんな路地には、地元の人しか知らないような名店や、知る人ぞ知る名物などが隠れている。
本書には、それらを紐解く秘密の地図まで掲載されている。
本書で、紹介されることにより、その中の幾つかは、メジャーの知るところとなり、気軽に出かけられる路地の店では無くなってしまうかもしれない。
でも、本書で紹介されているのは、そんな路地の歩き方。だから、自分で知らない路地を探しに行けば良いのだ。 -
Posted by ブクログ
外国人にとって京都は日本を「象徴」する都市かもしれない。
そこには日本の伝統が息づいていて、人間の営みの普遍性
が感じられる。
個人を重視する西洋思想にはない、その普遍性が彼らには
新鮮に映るのだろう。
でも伝統は単に古いことを尊ぶという単純な話ではない。
私たちに与えられた時間には限りがある。
その短い時間の間に受け継いだしきたりや感じ取った情緒と
かいったものを、自己消化して次の世代へと橋渡しをしていく
といったような、気の遠くなるような作業を連綿と続けてきて
やっと築きあげた、伝統というものの重みを感じ取っているの
ではないだろうか。
一人では成しえない何かを。
そんな京都をひとり歩いてみる。
鴨川、路地裏、京料理と、京都の愉しさを知り尽くした京都生ま
れの著者が京都の魅力を余すことなく紹介していけば、
また、「京都の違った顔」が見えてくる。 -
Posted by ブクログ
ふとした時に読みたくなる“食堂モノ”。
本書は、京都の東本願寺近くにひっそり佇む〈鴨川食堂〉を舞台にした、連作六話が収録されております。
〈鴨川食堂〉といっても、鴨川べりにあるわけでなく、場所的には“お東さん”こと東本願寺の付近にある食堂で、鴨川流(ながれ)と娘の こいしという“鴨川父娘”が経営しているので〈鴨川食堂〉という・・若干トラップ的(?)な店名でございますw
で、そんな鴨川父娘のもとを訪れるのは、食通向けの専門誌『料理春秋』の隅にひっそりと掲載されている〈鴨川食堂・鴨川探偵事務所――“食”探します〉という謎の一行広告を頼りに縁あって辿り着いた依頼人たち。
彼らはもう二度と食べられない「思い出の味」の捜索を鴨川父娘に依頼します。
亡き妻の鍋焼きうどんや、幼い頃祖父と食べたナポリタン――等々。
元刑事の流は、わずかな記憶の手がかりからその味を完全に再現し、料理に隠された当時の人々の「想い」までを導き出していく・・という展開です。
各ストーリーのパターンは固定化されているので、安心して読めるお話です。
あと、食べ物系小説には欠かせない、料理描写も魅力ですね。
個人的には再現される“思い出の味”より、依頼者たちに最初に出される、京のおばんざい(懐石レベルかも)の数々がめっちゃ美味しそうでした。
まぁ、内容的に薄い印象が否めなかたっり、時折会話文に脈略がなくて引っ掛かりを感じたり等・・色々突っ込どころもありますが、気楽に読める一冊かと思います。
シリーズ化されているようですので、気が向いたら続編も読んでみようかな~。 -
Posted by ブクログ
東京でホテルウーマンとしてバリバリ働くはるか。
父を亡くし、住む人のいなくなった京都の実家をどうするか、
いまだ踏ん切りがつかずにいる。
鴨川に近い絶好のロケーション。リビングからは遠く山並みを望む眺めが絶景で。
思い入れもある自慢の生家ゆえに手放すのは忍びない。
そんななか久しぶりに亡き父の法事のために訪れた京都。
近しい親族との二次会の酒席で、酔った勢いで実家を利用した民泊を始めると宣言して…
一流のホテルウーマンの知識とプライドをかけて、京都一の宿泊施設を目指す、
そんな物語のほんの序盤といった一冊でした。
個人的になにより惹かれたのは京料理の美味しそうなこと。
素敵な料亭やお店、仕出し。
心地よい空間で頂くお料理の数々。筍の木の芽和えや棒寿司、鱧のフライといったまさに京都らしいお料理の数々が贅沢なほど登場します。
昔ながらの食堂では油揚げを卵でとじた丼。ホッとする味わいもまた美味しそう。
鱧の季節に京都に行こうと決めました。