テレビに出ていた著者のイメージって、“すごくにこやかな人”だったんだけど。
あのにこやかさの裏に、こんなシニカルで自由勝手な面を隠してたんだなぁーってw
そこがすごく面白くて好きだ(^^ゞ
最初に就職した会社の社長って、ものすごくアクの強い人で。
今で言うパワハラし放題みたいな人wだったんだけど、でも、そこには筋が一本ビシッと通っているから、社員の誰もが反論したくても、反論出来ないのはもちろん。
ものすごく優秀で、独特の勘のよさみたいなのも持っていたから、その社長が言っていることが一番目的に叶うことになる、というのは社員の誰もがわかっていた(自分は新入社員なので知らないw)。
だから、下手に反論して説教を長引かせるよりは言う通りにした方が結果的に楽、みたいな社内の空気があり、社員の誰もが持て余しつつも、社長を認めていて。
(頭が良すぎるから)ものすごく癪に障るところがある反面、ユーモラスな面も持ち合わせているから、意外とみんなから愛されているみたいな人だった(^^ゞ
そんな会社で働き出して、1ヶ月も経っていない金曜日の午後。
他の社員とミーティングしていた社長に呼ばれて、課題を出された。
課題の内容がどういうものだったかは憶えてないんだけど、要は「アイデアフラッシュをなるべく多く出してこい」みたいな課題だったと思う。
件の社長が直々に課題を出してくれたのだ。
認めてもらいたいし、褒めてもらいたいから、(一応はw)真剣にいろいろ考えた。
土曜の夜、確か2時間くらい、“思いつくまま”に30くらいのアイデアを出したんじゃなかったかな?
そして、月曜日。
もちろん、怒られた(爆)
自分が出したアイデアが書かれた紙を、社長は2分か3分くらい、じーっと見ていた。
でも、やにわにその顔をあげて。
ギロっと睨まれた(^_^;)
「キミはこのアイデアを出すのにどのくらいの時間を使った?」
「えーっと。3時間くらいですかねー」
とっさに、1時間ほどかさ増しした(^^ゞ
「3時間考えてこれか?」
「……」
もはや何も言えないw
その後は、やはり同じ課題を出されてた人が出したアイデアと比較されたんだったかな?
その辺は忘れちゃったけど、社長が最後に言った言葉は録音したみたいに憶えている。
「キミは考えるということがどういうことか、わかってないんじゃないか?」
人にとって、考えるということはかなりの苦痛で。
苦痛だから、大嫌いなんだと思う。
…と言うと、「考えることは好きだけどな」って思う人は多いと思う。
就職した時は自分もそう思っていた。
というか、あの会社にいた人って、みんな理屈っぽくって。
考えなくていいことまで、いちいち考えて、そこに理屈をつけるような人たちだった。
お客さんの会社にあった「思考のための部屋」というプレートがついた部屋(トイレw)こそなかったけど、とにかく、考えることが大好きな人ばかりが集まっている会社だった。
そんな会社だったが、その1年後。
誰もが考えることに疲れ果てて、解散した(・・;
★を4つにしたのは、著者が書いていることに「そうかなぁー」と思ったことがいくつかあったから。
というか、著者って、たぶん根本のところで自分とは違う考え方をしているんだなって思った。
最近、とみに思うようになったのだが、自分は便利とか合理的、快適、正解、お得、共感、あなたは悪くない……みたいなことや、そういうことを言っている企業や人が胡散臭くて、ものすごく嫌だ。
いや、面倒くさいのは嫌だし。
非合理的なことにつき合わされるのはまっぴらだ。
エアコンの効いた快適な部屋にいるのは大好きだし。
ケチだから、お得で正解!なことがいい(^^)/
ただ、日本国内だけ、気づけばデフレが20年以上続いていて。
世界と同じく、ちゃんとモノの値段が上がるようになると、その価格の高さにものすごい苦痛を覚えるように。
今まで不便や不快だったことが便利や快適なナニカによって解消されると、それまでは不便や不快と感じていなかったことが急に不便や不快と感じるようになってしまう、今の生活にウンザリしてきたのだ。
一方、著者は不便や不快が便利や快適なナニカによって次々と解消されていく世界を積極的に楽しんでいる人だ。
そこが相容れないんだよなぁー(^^ゞ
とはいえ、この本は面白い。
著者のあのにこやかな笑顔の裏にあるシニカルで自由勝手な面(←褒めてますw)で語られる、誰もが現在使っている便利や快適、合理的、正解、お得なことって、裏を返せばこういうことだよね?的な話がすごく面白いのだ。
そういえば、何のニュースだったかなぁー。
「問題になりそうでもとりあえず世に出しちゃって、問題になったら謝罪して引っ込めればいいというのがシリコンバレーの常識」みたいなことを言ってた人がいて、大いに納得しちゃったことがあったんだけど。
生成AIは言うに及ばず、ITサービスを何か一つでも利用している人なら、一度読んでみていい本だと思う。
もっとも、ITサービスというのは、この本を読んだり、考えたりしないからこそ、便利で快適でお得なんだけどね(爆)
これは『チャットGPTvs.人類』の感想でも書いたことだけど。
著者は、“一度退化してしまった機能は取り戻せない。だから、思考をやめてはいけない”、みたいなことを書いているけど、AIによる人の機能の退化というのは、これから起きる人の「進化」であるような気がするけどな。
それが進化なんだとしたら、それに反する個体は淘汰されてしまうわけだ。
であれば、思考をやめない人というのは淘汰される個体ということだ(^_^;)
なら、GAFA+M様には逆らわない。アメリカには逆らわない。
GAFA+M様のなすことは便利で快適で絶対正しいんだから、素直に囲い込まれて楽しく暮らす。
21世紀はそういう人だけが生き残るんだと思う(^^)/
おまけw
「1Xテクノロジーズ」という会社は年内(2024年中)にも、ヒューマノイドを量産する予定らしい。
もちろん、それが一家に一台(1人?)となるには、それなりに先のことなんだろうけど。
(ただ、リースみたいな形で一気に普及する可能性はあるだろう)
あれが身近にいる(ある?)ようになったら、人々は考えることを一気に手放すんじゃないかな?
だって、ヒューマノイドには生成AI機能はもちろん、今のスマホの機能(アプリ)までそっくりそのまま備わっているはずだ。
「この商品、すごくいいですって」、「これがこの値段ですよ。絶対お得ですって」、「フォロアー数1000万人のインフルエンサーも絶賛してますよ」、「美しいアナタに絶対お似合いですよ。これがアナタがこの商品を身につけた画像です」、「この商品をSNSにあげたら、5億いいねです」、「お金? それなら◯◯金融で低利で借りられます」と背中をポンポン叩きながら、ヒューマノイドにそれを買うことをおススメされたら思考もなにもない。
人はその商品を買ったことに気づく間もなく、ヒューマノイドに次の商品をおススメされているはずだ(^_^;)
もっとも。
ヒューマノイドには、グーグル検索の機能も備わっているはずだ。
ということは、ヒューマノイドが何かひとこと言う度、いちいち広告が入るということだ(爆)
「今日の天気は晴れのち曇りです」
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「明日の天気は晴れ」
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ヒューマノイドが何か言っても、広告が多くて何を話しているのか全然わからない可能性は大いにある(^^ゞ