岡嶋裕史のレビュー一覧
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わかりやすくてよい。この「わかりやすいということ」がこの本の大事なところ。このくらいの知識は、ウェブを活用していくベースということで、一般ユーザが獲得しておくべきことだと思う。
一番面白かったのは、第6章の次世代攻撃。総力戦→ゲリラ戦→テロ→サイバー攻撃への移行は納得。近い将来、絶対に大規模サイバー攻撃が起きるに違いない。国を超えてやすやすと攻撃されるサイバー攻撃への日本国の体制は非常にお粗末な状態。「水と安全はタダ」と思っている日本国民は、起きてからきっと大慌てするに違いない。それが現実に起きた時、ウェブにかなり依存している自分はどうなってしまうんだろう…と想像しただけでも恐ろしい。この分野への注力は日本中枢が手がける喫緊の課題。絶対。 -
Posted by ブクログ
Microsoft,Google,Appleがクラウドを牽引しようとしている3企業として書かれている。どれも何かで一山当てた企業で、潤沢な資源がある。
日本が追い付けていないといっても、それは仕方ない話だと思う。
基盤が無理なら、より上位レイヤーであるSaaSの部分でがんばればよいのではないか、とあったが、こちらもFacebookやInstagramなどなど、個人向けのWebアプリは外国企業に食いつぶされつつある感じがする。企業向けのWebアプリは詳しくないのでわからないが、どうなのだろう。
本書ではクラウドをめぐる企業間の駆け引きや思惑に言及してあって興味深かった。いつも社会から見て最適解をとっているわけではないことがよくわかる。 -
Posted by ブクログ
IT業界を「つくる人」「つかう人」に分けるとして、本書は「つかう人」向けに書かれた本です。しかし、「つくる人」側の人間が読んでも得るところは大きいと思います。(私がそうでした^^;)全体的にユーモアのセンスを感じる文体なのも良いです。■第一部:SEという人々■第二部:SEと仕事をするということ「現代の陰陽師」という表現が微妙にツボにはまりました。ユーザ側がどのようなことを気をつけてSEに接するべきか、ということをターゲットにしているのですが、これはSEサイドの人間が読んでも非常に興味深い内容です。顧客サイドから見た自分はどういう立ち位置なのか、そしてこれからどうなっていくのだろうか。本筋とかけ離れていろんな妄想が広がります。■第三部:ユーザとSEの胸の内ある架空の案件について、ユーザ側とSE側の胸の内を同時に(上下段に分けて)描写している、小説ライクな内容です。第三者として読む分には面白いですが、当事者になったらしんどいだろうな、という内容ですが・・・、本当にこんな事例が世の中に存在するのか?疑問なところではあります。
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Posted by ブクログ
ソフトと人間のバトルだが、チェスのIBMディープブルーVsカスパロフ戦のような企業による不透明感はない。
日本人同士、フェアプレーは当然で、お互いを尊敬し高め合おうという意図が伝わってくる。
おそらく技術者にとっては邪道であろう「作者の違うプログラムの合議制」を採用し、遮二無二勝ちに行くコンピュータ側と、それを堂々と受けて立つ女流王将。コンピュータの異色の打ち筋を「読んだ」彼女の「どれだけソフトのことを勉強したと思うのですか。(記憶なので不正確)」という言葉が印象的。
難をいえば、技術者たちが個々の人間として書き分けられていないことで、その点「科学史ドラマ」とはならず、解説書の域を出ない。 -
Posted by ブクログ
去年実現した清水女流王将と「あから2010」の対局を中心に,コンピュータの棋力向上の歴史を概観。女流王将は敗れたが,これは一番勝負。でも,いずれは名人がコンピュータに歯が立たなくなる日も来るはずだ。
将棋とか囲碁,チェス,オセロなんかはゲーム理論でいう「二人零和有限確定完全情報ゲーム」。この種のゲームは先手か後手に必勝法があるか,そうでなければ引分になる。コンピュータが無限に計算できれば人間は絶対にかなわない。
しかし無限に速く計算することは不可能である。比較的分岐の数の少ないオセロでさえ完全解明はされていない。将棋は80手程度で勝負がつくが,数手先まで読むのも場合の数が多くなりすぎて,全幅探索は現実的な時間でできない。
どうやって計算量を減らしつつ良い手を選択するかが重要。あと,確立した定跡は覚えさせる。この点完璧に記憶できない人間はやや不利。また終盤も,可能な手が減ってくるので,コンピュータが有利になる。それでもまだプロ棋士の方が強い。人間てすごい。計算は,手を読むことと,読んだ後の評価(点数づけ)を別に考えて,読んだ手のうちから,評価の高い手を選択する。対戦相手がどの手を指すかは分からないので,相手も最善手(こちらに最も不利になる手)を指すと仮定してやる。これをミニマックス法という。
手を読むだけではなくて,読んだ手に基づく盤面の評価もしなければならないが,これも難しい,持っている駒の種類,駒の配置,などに応じて点数をつけるが,点のつけかたに正解はなく職人技の領域。ミニマックス法で計算する場面の数を減らすためにアルファベータ法というアルゴリズムを使う。
本題からずれるが,詰将棋には1525手詰の大長編があることをこの本で知った。王手と受けを実に762往復やりとりして,次の王手で詰む。もちろん詰将棋なので,双方最善手の応酬,解は一意的。もはや芸術作品だ。 -
Posted by ブクログ
副題にSEとユーザーの失敗学とある。
著者は現在は大学の準教授をしている方のようだ。
折しも昨日は大手都市銀行の統合したシステム障害発生。全国でATMの稼働が停止という事態の報道があった。
個人的には、今度の土日にこのIT関連の(ごく初歩的な内容だが)通信教育でのスクーリングを受けに行く予定あり。先日丸2日くらいかけてようやくA4版の紙3枚分の課題をまとめた。その関係もあるが、以前読んだSEの不思議な生態という本が面白かった記憶がある。
第1章の1行目から一体これは!と思わせる引き付けるフレーズがある。初めはこうだ。
・・SEにはしてやられたと思うことが多い・・・
著者は当然自らの体験も交えて自嘲気味に話を進めていく。
世のSEの皆さんがこの本を手に取らない訳はないから、読者をユーザーに限定しているのは確信犯的である。この業界人でもなく、SEさんと一緒に仕事を進めていったという経験もない私だが、うつ病などの発症の要因となる精神的なストレスの高い業種として悪名高い過酷な現場である、という認識はある。だから・・不思議なという形容詞があてはまる業種の半ば覗き趣味ともいえるかもしれない。
中味は意外と楽しくすらすら読めた。専門用語は勿論なんのこっちゃーだが、注意書きで解説してくれるし(解説してもらってもほんとのところは理解不可能だが)、著者は文学的な素養がある方のようで、誇張した表現が何ともダイナミック!スリリング!読んでいてついククク・・と笑ってしまう。
あんまり面白かったのでちょっと長いが、一部を引用してみる。
SEとは何か、システム開発とは何か、ツボのところをおさえておけば、ITに関わる知識をがりがり勉強しなくても、プロジェクトをうまくコントロールできるようになる。抱き合って喜ぶことはなくても、殴りあうことなしにプロジェクトを完遂できるだろう。
ただし、万が一なにかの手違いで本当にSEを抱きしめたくなったとしても、実行には移さないほうがいい。SEにとってそれは愛情表現でなく拷問である。SEと一般人を比較した場合、彼らは身体の一次的接触を嫌う傾向少しだけ強い。
もし、SEに対して本当に感謝の気持ちを表したいのであれば、何かもっと抽象的で静謐な表現方法を選択すべきである。残酷な運命の糸車が、ふたりを再び同じプロジェクトへ誘わないとも限らない。最後の詰めを誤らないようにしたいものである。
全く、こう表現されるいうなれば怪しげな(失礼!)商売の世界だが、如何せん専門性が強いため、どうも筆者がいうように両者のコミュニケーションが不足したまま事態が進むようだ。そのため、莫大な経費がかかってもちっとも使えない、必要ないシステムが出来上がることも往々にしてあるらしいと分かる。
そうそう思い出した・・新聞にこの間の銀行のシステム障害に対する幹部のコメント、
「今回のシステム統合は神のみぞ知るみたいなところがある・・」とのたまっていたからねえ。
(私はこれに関しては知りません、と言っているからスゴイですよ)
まあ、世の中のこんな動きを横目で見つつ、魔法のように何でも便利にうまくいく仕組みなんてないのも当たり前かと思いつつ読み終えたのでした。