岡嶋裕史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
SF好きだったり、パソコンやゲーム好きだったりするので、最近のメタバースの話題に関しては楽しそうと思う反面、あくまでエンターテインメントとか仮想オフィスなどの利用に留まるのではないか、という印象がこれまで強かったです。
しかしこの本を読んでいると、メタバースは人間の生活のより深いところまで入りこむ可能性を感じました。ただそれをもろ手を挙げて歓迎できるかというと、人によって差があるかも。
本の内容としてはメタバースについての現状を技術や歴史的なポイントから解説のほかに、最近のゲームの潮流、フォートナイトやどうぶつの森との関連、そしてGAFAMといったアメリカ巨大IT企業のメタバースをめぐる動向などを紹介したりと、様々な観点から考察されています。
最近のゲームについてある程度知っていないと、序盤はやや想像しづらいかなと思いましたが、メタバースを可能にした技術の進歩や、社名をMetaに変えたFace Bookの野望に他のIT大手の今の取り組みなど、ニュースを表層的に見るだけでは分からないところが見えてきて満足しました。
著者曰くメタバースの世界はSNSのように現実世界のいやな部分を排し、なおかつアバターや3D技術などを介し、SNS以上に没入感の高い、もう一つの現実世界になりうるとして、様々な未来予測をします。
著者の現実に対する厭世観というかコンプレックスというか、そういうところは共感できる部分はありましたが、だからメタバースでずっと過ごすというのは、個人的に違和感が強かった。ディストピア系のSFを少し思い浮かべてしまいます。
でも、最近の分断されたSNSを見ているとそういう世界もあり得るのかな、とも思ってしまう。
メタバースが現実世界をどこまで侵食するか、いまの時点ではまだ想像するのが難しいけれども、インターネットやスマホ、SNSが社会に浸透し世界を動かしたということを考えると、メタバースについても無関心を貫いたり、無知のままではいられないのだと思います。 -
Posted by ブクログ
▼メタバースの意義
・SNSは、自分と合わない人を排除して気の合う小集団を構成する「フィルターバブル」の文化を形成した
・メタバースは、そのフィリターバブルを加速させる
・今、社会では多様性が謳われているが、同性愛は肯定されるのに二次元への愛はオタクとして気持ち悪がられるという不思議な状態が発生している。本当に多様性を認めるということは、決して綺麗なことではなく、汚らしい人間の欲求も肯定すること。
・メタバースでは、そんな極めて個人的で綺麗ではない価値観も含めた多様性を見た目、そんな人同士がつながる小集団を形成できる(リアルよりも美しく、都合の良い世界)
・究極的には、メタバース内に自分と、自分にとって都合の良いAI(デジタルヒューマン)だけで構成される空間が作られるかもしれない
▼インターネットの特性
・インターネットは議論には向いていない。インターネットは個々にカスタマイズされた快適で都合の良い空間を作ることに向いている。
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・メタバースは、リアルでは認められない「偏愛」をもっと人にこそ相性が良いのかもしれない。特にメタバース系のSNSなど。
・反対に、リアルの仕事や人間関係、資産周りが充実している人にとってのメタバースは、ゲームなどのエンタメ要素、そしてVR教材で学ぶなどのユーティリティ要素、サンドボックスなどの投資要素がメインになるのかもしれないと感じた -
Posted by ブクログ
「メタバース」を学習するために読んだ本、2冊目。
メタバースとは、ゲームやアニメの世界観をベースにする「現実とは少し異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」である。
メタバースは、コミュニケーションだけでなく生活全般をフィルターバブルに包んでくれる。メタバースにより、個々にカスタマイズされた快適な空間を作ることで、多様性を達成することが可能なのではないか、という。
確かに、多様性を受け入れるということは、他人の地獄と向き合うことだ。「汚い」と切り捨てたくなる他人の愚行を認めないで多様性を語る資格はないんじゃないか、とも思う。
かといって、汚いと思うものにまともに付き合いたくないのもまた事実。
だからこそ、フィルターバブルに包まれた世界というのは、ますます求められていくんじゃないかな、と思う。 -
Posted by ブクログ
・あくまで著者の定義ではあるが、メタバース、ミラーワールドなど混同されがちな概念を整理し、今なぜ勃興しているかなどの歴史的背景を紹介し、今後のGAFAMの動向なども掴める?入門書
・後半は著者の思いというか、これが書きたいんだなぁというオタクっぽいアツい内容で、読む人を選びそうではある
・個人的にはメタバース自体に特別の関心があるわけではないが、自分が望もうが拒もうがメタバース時代はいずれやってくると思っているし(技術とはそういうもの)、スマホが普及した時のように周りの様子を眺めつつ順応していけばいいかな〜というスタンス
・メタバースとは直接関係ないが、SNSは「繋がるもの」ではなく「(不快な人間関係を)断ち切るもの」という文言にハッとした
確かにその通りで、日頃感じていたものを綺麗に言語化してくれたという感覚 -
Posted by ブクログ
もう一つの世界での新しい生き方を模索する。
最近やたらよく聞くメタバースという言葉。
新しい言葉だからその定義はまちまちでまだ明確になっていない中、この本では
メタバース
=「現実とは少し異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」
と定義し、入門書でありながらその核心を紐解いてくれている。
岡嶋先生の主観ちょっと強めだけど、メタバースについて歴史的背景から現状、課題まで網羅されていて、学び始めの一歩としてはとても有効な一冊。
先日ラジオでたまたま岡嶋先生のメタバースに関する話を耳にして、メキメキ湧いた興味を元に買ってみた当書。
正直メタバースについての知識なんて綿毛にも満たないほわほわな状態だったけど、この本を読んでグッと現実味が湧いたしもっと知りたい欲も湧いた。
内容は、現実が生きづらいなら自分にとって都合のいいネット上のもう一つの世界で生きていくという選択肢があってもいいんじゃない?というのが趣旨。
今はなかなか想像が追いつかないけど、メタバース上ではお金を稼ぐこともできるし、遊ぶことも恋愛をするもできるから、食事と排泄以外はそっちの世界で過ごすことができる。
しかも思い通りの見た目で、自分の周りはAIやフィルターバブルを通した自分にとって都合のいい人、モノ、情報が囲み、嫌な思いをすることもない。
嘘みたいな夢みたいな話。
いかんせん岡嶋先生とは考え方がとても似ていて共感の嵐。
リアルな世界がなんとなく生きづらいと感じていること、暇さえあれば"都合のいい世界"にどっぷり浸かっていたいこと、オタクであることなど挙げ出したらキリがない。
だから私はメタバースの世界で生きることを虚しいとか奇妙だと思わないし、むしろ歓迎・ワクワクスタンス。
メタバースが今後どうなるかまだまだ予測不能なことも多いけれど、言えるのは潜在ニーズは確実にあり間違いなく拡大するということ。
生まれうる新しい世界に胸の高鳴りが止まらない。 -
Posted by ブクログ
AIとの現実味のある付き合い方を考えることができて良かったです。
そもそもAIがここまで盛り上がったのは「ものごとの決定の責任をなにかに押しつけたい」というニーズがあったからだ、という因果関係は今までに自分にない認識でした。
そのニーズはネットの普及で選択肢が広がりすぎたこと、さらにSNSの普及で失敗が許容されない社会になってきたことからきているとのことで、まさにその中を生きてきた世代としては納得させられるものでした。
本の中で繰り返されていた筆者の主張は、「たとえめんどくさくてもAIについて知って、実装者に全てをコントロールされないように意見を形成していこう!」というもので、とても現実的でスッと入ってくる内容でした。
長期的なものごとをじっくり調べる時間はやはり必要。暇をしっかり確保して、テクノロジーの駒にならないようにしたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
〈全体の感想〉
「いまさら聞けない」とか「常識」と言った言葉がタイトルに入っているのでIT初心者向けの丁寧でわかりやすい解説書かと思っていた。しかし、いざ読み始めると「難しい」と感じてしまった。特に第1章と第2章はITに詳しくない私には難しい単語が多く、全て調べていると読み終わるのにとても長い時間を要してしまいそうで、正直ある程度はわからないまま進んでしまった。今後は基本的な用語を覚えていきたいと思った。
基本的な用語も解説しつつ、過去の歴史や今の社会の現状、今後の課題なども書かれている。さらにITだけでなく、私たちの心の持ち方についても言及されていて心を打たれた。
〈面白かったところ〉
大手のテック企業が大量の個人情報を蓄えているデータセンタを冷却するためにデータセンタをコンテナに入れて海中に沈めたり、山中の雨にさらしたりしていると言う話が原始的な方法だなあと思って面白かった。
〈反論・疑問点〉
BPRにおいて、無理にIT化する必要はなく企業システムのどこにITを用いるかの考慮が必要だと述べている一方、EPRのようなパッケージシステムを導入した方が良いと述べている箇所もあり、素人の私からするとそれらは相反するような気がしてしまった。ただ、BPRと言っても大企業から中小企業、個人事業主によって状況は異なるという話も聞くので一般的に語ることは難しいのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大学の情報学部の教授の著作。
最近の学生の気質から、AIが台頭してくる近未来を予見する。
「社会の舵取りをAIに任せるのがいいのだろうか? それを本書で検討していきたい。」
それが本書のテーマであり、結論としては、タイトルに反して、
「AIの思考が今後どんなに人間に優越することになっても、私たちは考えることをやめてはいけない」
と、思考からの逃走に警鐘を鳴らす。
凡そ、予想のついた内容ではあるが、日ごろから若い学生たちと多く接している教授という立場から、なぜ昨今の学生は考えることをしないのか、それは何に原因があるのかを、分かりやすく解き明かす筆致が見事で、読みやすい。
曰く、失敗が許容されない洗練された社会の仕組みに因があり、失敗を繰り返す試行錯誤の先にあるイノベーションを、いきなり求めるのは無理がある。
そもそも、人間(の多く)は、創造的な思考、あるいは意思決定が苦手であると著者は記す。
「進学でも就職でも結婚でも運転でも、相当いろんなことを間違える」
なるほど多くの学生の例を見ていて、実際に思うところであろう。
そうなると人間は、苦手なことを道具に頼ろうと考える。
「面倒なことを外部化したいという人間の業は、深く濃い」
故に、道具や機械などの技術は果てしなく発展し、考えつくものはあらかた外部化し尽くした先にあるのが「思考」、その外部化ということになる。
「最後に残った大物が思考である。これを外部化できるキラーアプリケーションがAIだ。だからAIは重要なのである。」
なかなかロジカルな展開で読みやすかった。
そして、最終的には、AIは、今後の社会には重要かつ必要であるとしつつも、
「AIの思考が今後どんなに人間に優越することになっても、私たちは考えることをやめてはいけない。」
と、若者に未来を示す立場にある教育者としての啓示を忘れない姿勢がよい。
なかなか考えさせられる一冊だ。