あらすじ
9割の学生が「AIに就職先を相談したい」
乗換案内の結果、グルメサイトの評価、
そして検索エンジンの導くサイトも疑わない。
もはや、人間は考えることを望んでいない ?
では、「自分で考えること」を手放さないのは誰なのか ?
失敗を許容しない社会で「意思決定」はどう変わるのか ?
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Posted by ブクログ
ChatGPTが世の中に登場する前に刊行された書籍とは思えないほどに(生成) AI時代を迎えた今日にも的を得た示唆を与えてくれる。総じて分かり易い文体でテンポ良く、読み易い。一方的に悲観に陥ることなく、最終章の「未来はどうなるか」ではPositiveに向かう為の我々のあるべき姿勢も示してくれる。
Posted by ブクログ
技術者らしいぶっちゃけた書きぶりは、時にポリティカルに危うく感じられるところもあるが、それが著者の言わんとするところを飲み込みやすくもしている。「AIを完全に信用するわけではないが、人よりはまし」。この気分(あるいは事実)と我々はどのように向き合っていくべきか。様々な話題を提供しながら、真っ当な議論を展開している。
Posted by ブクログ
AIが生活に組み込まれているのは間違いない事実で、どう向き合うかを考えさせられた。機械に出来ることは機械にやらせて、人間は人間しか出来ない仕事をするべきとはよく言われることだが、この本は人間しか出来ない仕事は無駄な仕事を生み出すことと言い切っており、人間の仕事の価値を鋭くえぐっている。考えることから逃げ出さずに、どうAIと向き合い付き合っていくかを真剣に考えるべきと感じた。
Posted by ブクログ
実に鋭い。
主張が正しい、間違い以前に、視点と着想が鋭い。
「人の無駄な仕事を考えつく能力は圧倒的(よってAIに仕事を奪われることはない)」
「よい君主のもとで奴隷でいることほど楽な生き方はない」
には完全に同意。自分がそう生きることはないけど。
AIをシステムやサービスとして提供しようと考えるなら、この本で問われていることにどう答えるのか、考えておく必要がある
そんなこと考えてもしょうがない、とかそれを言い出したらキリがない、などと言い訳する連中にAI(というか技術)を語る資格はない。
Posted by ブクログ
AI化が進む社会に対しての考察。
いたずらに個人の責任をあげつらうといった精神論ではなく、時代の流れや社会の要請の面から考えているのが新鮮だった。
著者個人としては失敗しても自分で決めたい、と述べている。しかし、今を生きる「失敗が許されない世代」に対してAI化が進む(判断を委ねる)事は仕方なく、そういう社会を作ってきたのは著者含めた先の世代の責任だとも記している。
それでも、文学(SFやアニメなど)を用いながら、このままAI化を進めていいのか考えましょうと呼びかけている。一度進めてしまった、あるいは手に入れてしまった便利さは手放せない故に。
Posted by ブクログ
テレビに出ていた著者のイメージって、“すごくにこやかな人”だったんだけど。
あのにこやかさの裏に、こんなシニカルで自由勝手な面を隠してたんだなぁーってw
そこがすごく面白くて好きだ(^^ゞ
最初に就職した会社の社長って、ものすごくアクの強い人で。
今で言うパワハラし放題みたいな人wだったんだけど、でも、そこには筋が一本ビシッと通っているから、社員の誰もが反論したくても、反論出来ないのはもちろん。
ものすごく優秀で、独特の勘のよさみたいなのも持っていたから、その社長が言っていることが一番目的に叶うことになる、というのは社員の誰もがわかっていた(自分は新入社員なので知らないw)。
だから、下手に反論して説教を長引かせるよりは言う通りにした方が結果的に楽、みたいな社内の空気があり、社員の誰もが持て余しつつも、社長を認めていて。
(頭が良すぎるから)ものすごく癪に障るところがある反面、ユーモラスな面も持ち合わせているから、意外とみんなから愛されているみたいな人だった(^^ゞ
そんな会社で働き出して、1ヶ月も経っていない金曜日の午後。
他の社員とミーティングしていた社長に呼ばれて、課題を出された。
課題の内容がどういうものだったかは憶えてないんだけど、要は「アイデアフラッシュをなるべく多く出してこい」みたいな課題だったと思う。
件の社長が直々に課題を出してくれたのだ。
認めてもらいたいし、褒めてもらいたいから、(一応はw)真剣にいろいろ考えた。
土曜の夜、確か2時間くらい、“思いつくまま”に30くらいのアイデアを出したんじゃなかったかな?
そして、月曜日。
もちろん、怒られた(爆)
自分が出したアイデアが書かれた紙を、社長は2分か3分くらい、じーっと見ていた。
でも、やにわにその顔をあげて。
ギロっと睨まれた(^_^;)
「キミはこのアイデアを出すのにどのくらいの時間を使った?」
「えーっと。3時間くらいですかねー」
とっさに、1時間ほどかさ増しした(^^ゞ
「3時間考えてこれか?」
「……」
もはや何も言えないw
その後は、やはり同じ課題を出されてた人が出したアイデアと比較されたんだったかな?
その辺は忘れちゃったけど、社長が最後に言った言葉は録音したみたいに憶えている。
「キミは考えるということがどういうことか、わかってないんじゃないか?」
人にとって、考えるということはかなりの苦痛で。
苦痛だから、大嫌いなんだと思う。
…と言うと、「考えることは好きだけどな」って思う人は多いと思う。
就職した時は自分もそう思っていた。
というか、あの会社にいた人って、みんな理屈っぽくって。
考えなくていいことまで、いちいち考えて、そこに理屈をつけるような人たちだった。
お客さんの会社にあった「思考のための部屋」というプレートがついた部屋(トイレw)こそなかったけど、とにかく、考えることが大好きな人ばかりが集まっている会社だった。
そんな会社だったが、その1年後。
誰もが考えることに疲れ果てて、解散した(・・;
★を4つにしたのは、著者が書いていることに「そうかなぁー」と思ったことがいくつかあったから。
というか、著者って、たぶん根本のところで自分とは違う考え方をしているんだなって思った。
最近、とみに思うようになったのだが、自分は便利とか合理的、快適、正解、お得、共感、あなたは悪くない……みたいなことや、そういうことを言っている企業や人が胡散臭くて、ものすごく嫌だ。
いや、面倒くさいのは嫌だし。
非合理的なことにつき合わされるのはまっぴらだ。
エアコンの効いた快適な部屋にいるのは大好きだし。
ケチだから、お得で正解!なことがいい(^^)/
ただ、日本国内だけ、気づけばデフレが20年以上続いていて。
世界と同じく、ちゃんとモノの値段が上がるようになると、その価格の高さにものすごい苦痛を覚えるように。
今まで不便や不快だったことが便利や快適なナニカによって解消されると、それまでは不便や不快と感じていなかったことが急に不便や不快と感じるようになってしまう、今の生活にウンザリしてきたのだ。
一方、著者は不便や不快が便利や快適なナニカによって次々と解消されていく世界を積極的に楽しんでいる人だ。
そこが相容れないんだよなぁー(^^ゞ
とはいえ、この本は面白い。
著者のあのにこやかな笑顔の裏にあるシニカルで自由勝手な面(←褒めてますw)で語られる、誰もが現在使っている便利や快適、合理的、正解、お得なことって、裏を返せばこういうことだよね?的な話がすごく面白いのだ。
そういえば、何のニュースだったかなぁー。
「問題になりそうでもとりあえず世に出しちゃって、問題になったら謝罪して引っ込めればいいというのがシリコンバレーの常識」みたいなことを言ってた人がいて、大いに納得しちゃったことがあったんだけど。
生成AIは言うに及ばず、ITサービスを何か一つでも利用している人なら、一度読んでみていい本だと思う。
もっとも、ITサービスというのは、この本を読んだり、考えたりしないからこそ、便利で快適でお得なんだけどね(爆)
これは『チャットGPTvs.人類』の感想でも書いたことだけど。
著者は、“一度退化してしまった機能は取り戻せない。だから、思考をやめてはいけない”、みたいなことを書いているけど、AIによる人の機能の退化というのは、これから起きる人の「進化」であるような気がするけどな。
それが進化なんだとしたら、それに反する個体は淘汰されてしまうわけだ。
であれば、思考をやめない人というのは淘汰される個体ということだ(^_^;)
なら、GAFA+M様には逆らわない。アメリカには逆らわない。
GAFA+M様のなすことは便利で快適で絶対正しいんだから、素直に囲い込まれて楽しく暮らす。
21世紀はそういう人だけが生き残るんだと思う(^^)/
おまけw
「1Xテクノロジーズ」という会社は年内(2024年中)にも、ヒューマノイドを量産する予定らしい。
もちろん、それが一家に一台(1人?)となるには、それなりに先のことなんだろうけど。
(ただ、リースみたいな形で一気に普及する可能性はあるだろう)
あれが身近にいる(ある?)ようになったら、人々は考えることを一気に手放すんじゃないかな?
だって、ヒューマノイドには生成AI機能はもちろん、今のスマホの機能(アプリ)までそっくりそのまま備わっているはずだ。
「この商品、すごくいいですって」、「これがこの値段ですよ。絶対お得ですって」、「フォロアー数1000万人のインフルエンサーも絶賛してますよ」、「美しいアナタに絶対お似合いですよ。これがアナタがこの商品を身につけた画像です」、「この商品をSNSにあげたら、5億いいねです」、「お金? それなら◯◯金融で低利で借りられます」と背中をポンポン叩きながら、ヒューマノイドにそれを買うことをおススメされたら思考もなにもない。
人はその商品を買ったことに気づく間もなく、ヒューマノイドに次の商品をおススメされているはずだ(^_^;)
もっとも。
ヒューマノイドには、グーグル検索の機能も備わっているはずだ。
ということは、ヒューマノイドが何かひとこと言う度、いちいち広告が入るということだ(爆)
「今日の天気は晴れのち曇りです」
〈sheeinの通販。今、All 90%割引中!〉
「雨の確率は午前中が0%。午後は10%。夜は20%です」
〈葬式なら友引葬儀社。今ならお二人目無料!」
「明日の天気は晴れ」
〈どんな人でも絶対痩せられるサプリメント、「即身仏」! 痩せる。それは涅槃…〉
ヒューマノイドが何か言っても、広告が多くて何を話しているのか全然わからない可能性は大いにある(^^ゞ
Posted by ブクログ
人間の、感情やバイアスに支配された不合理な判断よりもAIの判断に委ねる機会は今後増えていく。物心ついたときからAIがいる人が増えるのだからなおさら。
一方でAIに判断基準を教えるのは人間。例えば自動運転時の衝突回避で歩道側にハンドルを切るのか対向車線側にハンドルを切るのか、といった重い判断と責任を負う場面が出てくる。
人間はいつか思考から逃げ切るのか、それが人間にとって幸福なのか。
Posted by ブクログ
洗濯機の発明で洗濯が、電卓の発明で計算が、
車の発明で移動が楽になった様に、AIの発明で
考える行為が楽になる(解放される)。故にAIは
積極的に活用した方が良い。
但し、AIに依存し過ぎると人間のコアコンピタンスである『考える力』が衰える(思考からの逃走に
繋がる)ので意思決定は自分でしたい。
専門的な言葉が利用されていて、分かりづらい箇所も一部ありますが、新たな気付きがある面白い本です。AIについて興味がある方にお勧めです。
Posted by ブクログ
AIが自ら思考するよりも最適解を出してきた世界で人間はどう生きるのか?
今後、予想できないくらい確実に進化していくChatGPTが既にある中での自分の存在意義は?
Posted by ブクログ
考えることを多くの人がやめなければAIに操られることはないけど実際AI社会になってしまったら私も考えることを放棄しそうで怖くなった
常に考える自分を信じる
Posted by ブクログ
AIとの現実味のある付き合い方を考えることができて良かったです。
そもそもAIがここまで盛り上がったのは「ものごとの決定の責任をなにかに押しつけたい」というニーズがあったからだ、という因果関係は今までに自分にない認識でした。
そのニーズはネットの普及で選択肢が広がりすぎたこと、さらにSNSの普及で失敗が許容されない社会になってきたことからきているとのことで、まさにその中を生きてきた世代としては納得させられるものでした。
本の中で繰り返されていた筆者の主張は、「たとえめんどくさくてもAIについて知って、実装者に全てをコントロールされないように意見を形成していこう!」というもので、とても現実的でスッと入ってくる内容でした。
長期的なものごとをじっくり調べる時間はやはり必要。暇をしっかり確保して、テクノロジーの駒にならないようにしたいと思いました。
Posted by ブクログ
大学の情報学部の教授の著作。
最近の学生の気質から、AIが台頭してくる近未来を予見する。
「社会の舵取りをAIに任せるのがいいのだろうか? それを本書で検討していきたい。」
それが本書のテーマであり、結論としては、タイトルに反して、
「AIの思考が今後どんなに人間に優越することになっても、私たちは考えることをやめてはいけない」
と、思考からの逃走に警鐘を鳴らす。
凡そ、予想のついた内容ではあるが、日ごろから若い学生たちと多く接している教授という立場から、なぜ昨今の学生は考えることをしないのか、それは何に原因があるのかを、分かりやすく解き明かす筆致が見事で、読みやすい。
曰く、失敗が許容されない洗練された社会の仕組みに因があり、失敗を繰り返す試行錯誤の先にあるイノベーションを、いきなり求めるのは無理がある。
そもそも、人間(の多く)は、創造的な思考、あるいは意思決定が苦手であると著者は記す。
「進学でも就職でも結婚でも運転でも、相当いろんなことを間違える」
なるほど多くの学生の例を見ていて、実際に思うところであろう。
そうなると人間は、苦手なことを道具に頼ろうと考える。
「面倒なことを外部化したいという人間の業は、深く濃い」
故に、道具や機械などの技術は果てしなく発展し、考えつくものはあらかた外部化し尽くした先にあるのが「思考」、その外部化ということになる。
「最後に残った大物が思考である。これを外部化できるキラーアプリケーションがAIだ。だからAIは重要なのである。」
なかなかロジカルな展開で読みやすかった。
そして、最終的には、AIは、今後の社会には重要かつ必要であるとしつつも、
「AIの思考が今後どんなに人間に優越することになっても、私たちは考えることをやめてはいけない。」
と、若者に未来を示す立場にある教育者としての啓示を忘れない姿勢がよい。
なかなか考えさせられる一冊だ。