小谷賢のレビュー一覧
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世界各国のスパイ、諜報機関のエピソードを学べる。『孫子』でスパイ活動について言及されているが、そのノウハウは当時画期的であったという。なぜなら、古代ギリシャやペルシャにしても、占いで情勢判断をしたためである。本書でカエサル、ワシントン、ナポレオンなど歴史上の人物を取り上げているが、いずれも諜報の重要性を認識しており、そのおかげで戦争に勝利できたという。もちろん、本書でも日本の諜報に言及しており、その能力は決して低くはなく、むしろ近代以前から優れていることがわかる。著者によると、日本で今後、諜報組織の改革をしたいのであれば、世論が関心を持てるように努力しなければならないという。
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ネタバレ「全史」銘打つだけあって、第二次大戦の終わりからのイスラエルxパレスチナの攻防の流れを逐次追って書かれている。上巻はインティファーダを経てオスロ合意、パレスチナ自治政府樹立までを扱う。
正直、イスラエル内部の予想外のカオスっぷりに頭が痛くなり、酔いそうになった。イスラエル人とはもっと合理的な人々ではなかったのか? ヨーロッパ出身の教育があり、お金もある層がイスラエルという国の運営を行っており、先進的で洗練された圧政を敷いているイメージがあったが、これでは法治国家とは言えないようだ。
暗殺の手際がお粗末で失敗続きでも継続したり、私的なこだわりから効果の薄いターゲットに力を費やしたり、他国の法も -
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インテリジェンスそのものとはなにか、国内外のインテリジェンスの歴史と実態、そして将来に向けてインテリジェンス組織はどうすべきかなど、本書はインテリジェンスの基本書と優れている。
インテリジェンスといえば情報を収集する者すなわちスパイを思い浮かべるが、実は職業としてのスパイは古代から実在した。具体的な例を挙げると、古代エジプトとヒッタイトのカデシュの戦いは人類の記録上最古のスパイの記述がある。メソポタミアも同様にスパイの記述が残っていることから、スパイによる情報収集活動が古くから存在することがわかる。日本においても崇神天皇に同じような記述がある。古代中国では孫子が、古代インドでは『実理論』と -
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冷戦時代におけるCIAの活動として、ソ連および衛星国の秘密情報を盗み取る、偽情報を流す、心理作戦を仕掛けた。ところが、ソ連崩壊以降、諜報活動は減少して、それに伴いCIAの予算も削減された。そんな最中、21世紀初めに9.11同時多発テロが起きた。これをきっかけに、CIAは大統領行政命令以降控えていた秘密戦争を再開した。加えて暗殺ドローンを導入したことで、CIAは人間狩りすなわち特定個人に向けてのインテリジェンス活動が本格化する。かつて20世紀前半、戦車と航空機が世界大戦を左右したように、また20世紀後半、核弾頭と大陸弾道弾が世界情勢の均衡に影響を与えたように、暗殺ドローンの導入によって、これま
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少数精鋭が特徴的なモサド。モサドは1963年になって与えられた略称で、「情報特務工作機関」を意味するヘブライ語の「ハ-モサッド・レ-モディイン・ウ-レ-タフキディム・メユハディム」を指す。モサド長官は基本的に2期8年までとなっており、首相に直結した関係である。イスラエルの情報コミュニティの一つで官僚的な組織であるが、不思議なことにモサドは法律で規定されていない。つまり法的には存在しない組織と見なされる。
そんなモサドだが、その元となっている組織は、1915年ニリー(NILI)と呼ばれる、中東における英軍の作戦を支えるための情報組織と1929年に設立されたパレスチナのユダヤ機関の組織、政治局 -
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日本におけるインテリジェンスの歴史を戦前から遡って見ていく。敗戦直後、旧日本軍は、暗号等の秘密事項を隠滅するために処分した。そうした中で、ある日本人女性のちょっとした会話によって、米兵にその存在がばれてしまう。その状況下で、有末精三、服部卓四郎といった一部将校たちが、インテリジェンス組織を創設しようと目論んでいた。ところが、1951年、GHQが日本を去ったことで、旧日本軍の構想がなしとなる。その一方、これらの動向をうかがったCIAは、吉田茂、緒方竹虎、村井順と、時の政府の中枢に介入する。そこから、インテリジェンス機関の創設を検討する。しかし、緒方の死去や吉田の政治的求心力の低下で、結局のとこ
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ネタバレ太平洋戦争に至った経緯をイギリス視点、且つ諜報の点から考察した一冊。
日本国内での開戦経緯については学生時代に触れる機会があったが、海外からの視点は然程触れなかったので新鮮だった。
わかってはいたが、めちゃくちゃ暗号が漏れてて笑った(もちろん当時の日本にとっても笑い事ではない)
本文中でも触れられていたが、日本国内から各国大使館等への連絡の内容が漠然としており、日本政府の確定的な意思ではないのにも関わらず、盗聴していたイギリスにはあたかも日本政府の意思であるように思われるなど、このあたりのすれ違いが無ければ、もう少し別の結果があったのかもしれないと思った。(とは言っても根本のところで落と -
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ネタバレ日本の政治、安全保障、行政、インテリジェンスのいずれかに興味があれば読んだほうが良い一冊。単純に勉強になる。戦後の政治、インテリジェンスコミュニティのあり方から、冷戦や日米同盟の変化の影響を受けながら、国内外のあらゆる事件や事象も受けて、ゆっくりではあるがある意味で成長して、今の日本のインテリジェンスコミュニティがある。まだ課題も多いが、これまでのストーリーを振り返ることは有意義だ。アナロジカルにあらゆる政治や行政の課題にも連想できる気もする。そして、インテリジェンスコミュニティ自体の未来への努力の方向性も見えてくる気もする書籍である。
戦後旧陸海軍のインテリジェンス経験者が情報活動の復権を -
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我が国のインテリジェンス活動とは。
保守派の人たちは、日本はスパイ天国でやられ放題、盗まれ放題だと憂いている。
左派の人たちは、日本の官憲が諜報活動で市民のプライバシーを脅かしていると警戒している。
本書はいずれにも汲みさず、冷静かつ詳細な分析で日本のインテリジェンス活動をフェアに論じている。
米国による占領で始まり、完全に解体された日本のインテリジェンス活動が冷戦期から現代に至る地政学的緊張の中でどのように発展してきたか。
そして、各国のインテリジェンス活動はこの東アジアでどのように跳梁跋扈しているか。
たしかに予算も組織もなく、米国の言いなりでソ連には簡単に侵入を許す、そんな体たらく -
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内閣情報調査室(内調)、公安調査庁、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部、警察庁外事情報部など、国家の政策決定や危機管理のための情報を扱う行政組織・機関であるインテリジェンス・コミュニティの戦後日本における変遷を辿り、①なぜ日本では戦後、インテリジェンス・コミュニティが拡大せず、他国並みに発展しなかったのか、②果たして戦前の極端な縦割りの情報運用がそのまま受け継がれたのか、もしくはそれが改善されたのかを考察。
戦後日本のインテリジェンス・コミュニティの歴史については知らないことが多く、勉強になった。縦割りでそれぞれ権限も弱かった状態から、内閣情報調査室を中心に各機関の情報の統合・共有が進み -
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戦後日本の縦割りICの姿を描く。
G2の支援を受けた旧日本軍諜報機関は軍復活を悟られ失敗。吉田茂/CIAの庇護下で外事公安警察と公安調査庁が対共産党/治安維持機関として分立する。
緒方竹虎/村井順により内閣調査室が作られるが、外務省の横槍や不祥事で分立したままICは船出を迎える。その中心は警察だった。自衛隊も別班/別室を作り、内調指揮下で電波情報収集にあたるが、IC各部門はバラバラに対応しており、しかもそれぞれでソ連に情報が流出しており杜撰な有様だった。それでも警察の出向者中心に何とかまとまりがあった。秘密保護法制は整備されず、情報は「回らず、上がらず、漏れる」
公調→破防法対象機関の監視 -
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多くの関係者インタビューをもとに、日本のインテリジェンスの歴史やその問題点を分析する良書。NSS立ち上げ後も内調とのアクセス争いがあることなど、収集・分析機関間の争いや政策との関係が引き続き問題であることがよく分かる。結局は、不確実性を含むインテリジェンスを政治家・政策部局がどれほど重視できるのかという文化の問題かもしれない。以下興味深い点。
・戦前のインテリジェンス・コミュニティでは秘密工作の方が分析よりも高く評価された。
・東條英機はインテリジェンス不信。ナチスドイツのソ連侵攻に関する情報を信じようとせず。防諜組織も持っていなかった。
・合同情報会議は1986年に創設。この頃、内調室長の総 -
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まるで映画や小説のように思えるほど臨場感が溢れる内容。
こんな世界があったのかと信じられない気持ちになり、でもそれが事実なのでとてもやるせない気持ちになる。
明日、日本がなくなるなんて今の自分には想像つかないけれど、イスラエルには国の成り立ちからして闘わないいけないと思ってしまう理由がある。
闘いを続ければ続けるほど、どんどん複雑化しているように思う。
教科書的な事実羅列ではなく、色々な立場の人間のリアルな発言があふれている。
著者のインタビューにかけた時間と労力が計り知れないし、それをこの本にまとめたのがすごい。
翻訳も読みやすかった。 -
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国家とユダヤ人を危害から守るためにあらゆる手段を講じるイスラエル。イスラエルの新聞記者が政府・軍関係者への膨大な聞き取り から明らかにした、イスラエルで特殊任務にあたるモサド、シン・ ベト、アマンの3機関による、諜報活動と要人暗殺作戦の初の通史。
めちゃくちゃ面白そうだけど買う人少ないだろうな・・・と思いながら読み始めました。序文からして恐ろしいにおいがぷんぷん漂うんですけど、あまりに平和ボケした日本人にはかなり衝撃的な内容で、でも怖いもの見たさであっという間に読み終えてしまった。この著者、近いうちに消されるとかない・・・よね?ここまでの証言をよく集めたなあと感嘆しかないです。すごすぎる。筆者 -
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ネタバレスパイやその所属する諜報機関の描写は映画や小説といったフィクションの世界ではよく見かけるが、この本には実際のところインテリジェンスの世界がどのようなものなのかが事細かに書かれている。そもそも諜報機関の内情をノンフィクションとして書くことなどできるのだろうかと思ったが、実際著者はこの本を書くのに並々ならぬ苦労をしたことがうかがえる。その情報収集の結果は巻末の100ページ近い注記に見ることができ、情報の正確さのために多大な努力を払っていることが推察された。また、著者がイスラエルにかかわりが深いこともあり、情報源はイスラエル側のものが多いが、著者個人の主張を極力排し中立な立場で事実を書き連ねるように
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