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Posted by ブクログ
【本書の問いは主に二つの点にある。①なぜ日本では戦後、インテリジェンス・コミュニティが拡大せず、他国並みに発展しなかったのか、②果たして戦前の極端な縦割りの情報運用がそのまま受け継がれたのか、もしくはそれが改善されたのか、というものだ】(文中より引用)
戦後日本のインテリジェンス・コミュニティや組織の変遷を、公開情報を基に丹念に追った一冊。日本人の手による戦後日本のインテリジェンス通史として、現時点で読める中ではもっとも客観的かつまとまった内容に仕上がっていると思いました。著者は、日本大学危機管理学部で教授を務める小谷賢。
やっぱり公開情報をつなげていくだけでも結構な骨格は明らかになるもんだなと☆5つ
Posted by ブクログ
内閣情報調査室(内調)、公安調査庁、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部、警察庁外事情報部など、国家の政策決定や危機管理のための情報を扱う行政組織・機関であるインテリジェンス・コミュニティの戦後日本における変遷を辿り、①なぜ日本では戦後、インテリジェンス・コミュニティが拡大せず、他国並みに発展しなかったのか、②果たして戦前の極端な縦割りの情報運用がそのまま受け継がれたのか、もしくはそれが改善されたのかを考察。
戦後日本のインテリジェンス・コミュニティの歴史については知らないことが多く、勉強になった。縦割りでそれぞれ権限も弱かった状態から、内閣情報調査室を中心に各機関の情報の統合・共有が進み、政策決定や危機管理に資するというインテリジェンス本来の役割が果たせるようになってきた流れを理解することができた。
戦後日本のスパイ事案や情報漏洩事件などの事例も豊富に紹介されており、興味深かった。日本はスパイ天国だとの言説には触れたことはあったが、1964年の東京五輪の選手団や役員として大量の工作員が入ってきていたということなど、実際にこんなにも事案が発生していたのかと吃驚した。
Posted by ブクログ
戦後日本の縦割りICの姿を描く。
G2の支援を受けた旧日本軍諜報機関は軍復活を悟られ失敗。吉田茂/CIAの庇護下で外事公安警察と公安調査庁が対共産党/治安維持機関として分立する。
緒方竹虎/村井順により内閣調査室が作られるが、外務省の横槍や不祥事で分立したままICは船出を迎える。その中心は警察だった。自衛隊も別班/別室を作り、内調指揮下で電波情報収集にあたるが、IC各部門はバラバラに対応しており、しかもそれぞれでソ連に情報が流出しており杜撰な有様だった。それでも警察の出向者中心に何とかまとまりがあった。秘密保護法制は整備されず、情報は「回らず、上がらず、漏れる」
公調→破防法対象機関の監視
警察→中心。治安維持(左右翼/中ソ北)
外務省→海外情報の入手
内調→情報集約(警察の下)
自衛隊→軍事情報、電波傍受(内調の下)
冷戦後、公調は政治家の支援を受けられず対外進出を図るが、厳しい状態となった。テロ対策や北朝鮮の脅威が課題となる中、外務省はIAS、自衛隊は情報本部(後藤田正晴)、内閣は衛星情報センター(野中広務)、中央情報機構改革(町村信孝)を通じて組織改革や情報共有策がなされた。その本丸は秘密保護法制であり、特定秘密保護法や国際テロ情報収集ユニット(安倍晋三、北村滋)で結実した。さらに国家安全保障会議と事務局の整備で政策と情報の分離も実践。首相ブリーフィングを行う内閣情報官の下ICが再編された。
今後の課題として筆者はサイバー情報(対中)、公開偽情報対策(対露)、経済安全保障、ファイブアイズ加盟のための法整備、民主的統制を挙げる。
インテリジェンスの入門書は読んでいたので理論と実践の関わりが感じられてよかった。教科書通りのIC改革が行われていた。今後は、より強力な法整備による組織強化が必要だろうが、それには民主的統制も含め国民の広範な賛意が必要だろう。一般的なインテリジェンスのイメージを払拭することが不可欠だと感じる。また、今の対中インテリジェンスはどうなっているのか気になった。多分機密事項なので教えてくれないだろうが、台湾有事が近づいている今、民間の情報漏洩を含めた議論がないのは気になった。
Posted by ブクログ
日本におけるインテリジェンスの歴史を戦前から遡って見ていく。敗戦直後、旧日本軍は、暗号等の秘密事項を隠滅するために処分した。そうした中で、ある日本人女性のちょっとした会話によって、米兵にその存在がばれてしまう。その状況下で、有末精三、服部卓四郎といった一部将校たちが、インテリジェンス組織を創設しようと目論んでいた。ところが、1951年、GHQが日本を去ったことで、旧日本軍の構想がなしとなる。その一方、これらの動向をうかがったCIAは、吉田茂、緒方竹虎、村井順と、時の政府の中枢に介入する。そこから、インテリジェンス機関の創設を検討する。しかし、緒方の死去や吉田の政治的求心力の低下で、結局のところ、実現には至らなかった。このように、日本の諜報機関は空回りし、防衛庁と警察官僚らが、その代わりを担う。
その後、中曽根康弘と後藤田正晴の二人が、インテリジェンスに向けていろいろと着手するものの、抜本的な改革は実行できなかった。冷戦期は、日米同盟の関係上、アメリカの下請け扱いであった。時を経て、第2次安倍政権になると、防諜として、法案を通し、以前のような縦割り状態から、徐々に変わりつつある。今後の課題としては、サイバー対策が重要らしい。
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