小谷賢のレビュー一覧
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日本では詳しく伝えられることの内、9.11以降のアメリカの“テロとの戦い”の内幕。
驚きました。CIAが映画さながらの暗殺機関に変貌していたとは。ちょっと前までCIAは、巨大な官僚組織で、十分なインテリジェンス活動は行えていないと言うイメージだったんですが、9.11で息を吹き返しましたね。
そしてもう一つの驚きが、アメリカ軍自体が、独自の諜報機関を養成している事。本書中で、「CIAが準軍事組織と化し、軍がインテリジェンス機関と化す」と言う様な事が書かれていますが、正にそのような、どっちがどっちなのか、良く分からない混とんとした状況になっている様です。
それと確信したのが、やっぱり“テロと -
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ネタバレ【219冊目】インテリジェンスに関する学術研究は、他の分野に比べるとあまり進んでおらず、中でも日本ではあまり研究者がいないイメージ。本書筆者、北岡元、中西輝政、小林良樹…ぐらいがパッと思いつくところか。
主に第二次世界大戦中の日本陸海軍のインテリジェンス活動について描写。巷間言われるのは、日本軍は連合国に情報戦で負けたということだが、筆者はこれに反論する。日本軍は英米や露中の暗号の一部を解読することに成功していたし、満州、中国、東南アジアではヒューミントにも長けていた。戦場において入手した情報を、その最前線の戦線において活かすという戦術的なインテリジェンスについても戦争の初期では上手くいっ -
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ネタバレ【メモ】
日本帝国軍のインテリジェンス活動を陸軍海軍、太平洋戦争以前から網羅的に紹介。
インテリジェンス活動をブレークダウン(オシント・ヒューミント・シギントなど)
これまでの印象だと日本軍は情報戦に負けたイメージだったが必ずしもそうではない
英米が民間知識層をインテリジェンスに活用していたのに比べ、日本は自らの将校を教育して活動に当たらせていた。学徒出陣などはその例。
作戦部の情報軽視:ただ並べただけの情報に価値を見出さない。作戦に合致しそうな生情報を仕入れては都合の良い形成判断を行った。
短期的、戦術的インテリジェンスの場合、情報の入手と利用の時間差が縮小すれば、そこに介在するイマジネー -
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「日本はインテリジェンスが弱い」中国とせめぎ合うことが増えた昨今、それこそ情報を吟味することなく語られるこの言葉。ではインテリジェンスとは何か、吟味するとは何か、弱いとはどういうことか、を旧日本軍を題材に解明していく本書。読み応えがある。
旧日本軍のインテリジェンス能力は決して低かった訳ではない。暗号解読力があり、情報機関も中国大陸では機能していて、対ソ情報戦には長年の蓄積があった。太平洋戦争緒戦の快勝も、マレー半島やハワイに対する情報収集があればこそ。ゾルゲ事件だって、国内の防諜機能が働いていた証左とみることもできるだろう。
それでは何が不味かったのか。筆者の指摘で目を引くのは、インテリ -
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●:引用 →:感想
●本書の内容は、これまで様々な場所で行ってきたインテリジェンスに関する講義や講演を基にしている。
→そのせいか、すでに知っている内容が多かった。
●これまで欧米では厖大な数のテキストが出版されているが、我々日本人にとって不満なのは、当然のことながらどれも欧米の読者を想定しているため、これからインテリジェンスを学ぼうとする日本の初学者にはとっつき難いことである。本書はまずこの点を意識し、なるべく日本の事例を取り上げるよう心がけた。
→たしかに日本の事例が多く読みやすかった。以前読んだ「インテリジェンスの20世紀」は学術論文集のため、読みにくかった。 -
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日本はなぜ負けたのか。作戦重視、情報軽視の宿痾を抉る。
暗号解読など優れたインフォメーション解読能力を持ちながら、なぜ日本軍は情報戦に敗れたか。「作戦重視、情報軽視」「長期的視野の欠如」「セクショナリズム」。日本軍最大の弱点はインテリジェンス意識の欠如にあった。インテリジェンスをキーワードに日本的風土の宿痾に迫る。
第一章 日本軍による情報収集活動
第二章 陸軍の情報収集
第三章 海軍の情報収集
第四章 情報の分析・評価はいかになされたか
第五章 情報の利用 成功と失敗の実例
第六章 戦略における情報利用
第七章 日本軍のインテリジェンスの問題点
終 章 歴史 -
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日本軍のインテリジェンスは一般的に認識されているように決して低くなかった。特に陸軍に関しては難解と言われるストリップ暗号をほぼ完璧に解読していたことなどから極めて優秀だった。
しかし日本軍の場合その優秀なインテリジェンスを有効に活用するだけの組織体系が全く整っていなかった。
日本軍の作戦組織は情報組織の役割を軽視し、情報そのものを自分たちの主観的判断によって解釈した。
例えば三国同盟などはドイツの対イギリス戦の見通しの悪さなどから情報部の見解は同盟そのものに否定的だったが、作戦部はそういった情報を無視し「アメリカへの牽制」と称して同盟に踏み切った。
海軍は対アメリカ戦が長期化した場合、状況は -
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【要約】
太平洋戦争当時の日本軍の情報能力は欠如していた、という欧米の定説が間違っていることを、史料を通して明らかにした。しかしそれでも見劣りがすることは否めないが。海軍より陸軍のほうが進んでいたが、情報収集と解析を別の組織が行い、しかも情報そのものを軽視する風潮が強かったため、情報部の調査が活かされなかった。陸軍は対ソ連、海軍は対英米が強かった。防諜に関しては陸軍は憲兵隊を持っていたので陸軍のほうが強かった。英米では大学出の頭脳は重宝されたが、日本では学徒出陣で最前線へ送られる始末。
【興味深い事例】
・ワシントン海軍軍縮会議で日本の暗号は英米に解読されていた。
・ツィンメルマン事件
・ウル -
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イギリス外交がどのようにしてWW1・WW2で直面した危機的状況を乗り切ったのか。
主に日本・米国とのやり取りから考察している。
外交において情報がどのような役割を果たすのか、影響を与えていくのか、それを知り、活用できたことが、イギリスの強さですよね。
砲艦外交なんかが出来た強大な植民地帝国でしたが、世界大戦中・後と、帝国は衰退期に入りますもんね。
力で押すことができなくなった分、情報や策謀で優位を保つことが重要になります。
実は結構ギリギリな状況だったりしたようですが、そこも上手に立ち回り、優位をキープしていった技術は流石です。
時間がなくて流し読みになってしまったのが残念。 -
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作戦部が自部署内に諜報部を抱えており、インフォメーションをインテリジェンスに加工する専門の情報部を軽視していたため、必要な情報のリクワイアメント(要求)をしなかったり、作戦部に上がってきた情報を無視していた
作戦部は多忙な業務を抱えているためインテリジェンスとインフォメーションの区別をする余裕が無く、主観的な判断で自分たちの立案した作戦に都合のいい情報を選んでしまう
短期的、戦術面では前線からの情報がリアルタイムで入るので、情報の劣化が少なく即フィードバックされ、有効に活用されていた
日本の意思決定が調整型のため、各部署の調整後に新たなインテリジェンスが出てきても、また1から調整し直さね