小谷賢のレビュー一覧
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戦後日本の縦割りICの姿を描く。
G2の支援を受けた旧日本軍諜報機関は軍復活を悟られ失敗。吉田茂/CIAの庇護下で外事公安警察と公安調査庁が対共産党/治安維持機関として分立する。
緒方竹虎/村井順により内閣調査室が作られるが、外務省の横槍や不祥事で分立したままICは船出を迎える。その中心は警察だった。自衛隊も別班/別室を作り、内調指揮下で電波情報収集にあたるが、IC各部門はバラバラに対応しており、しかもそれぞれでソ連に情報が流出しており杜撰な有様だった。それでも警察の出向者中心に何とかまとまりがあった。秘密保護法制は整備されず、情報は「回らず、上がらず、漏れる」
公調→破防法対象機関の監視
警察→中心。治安維持(左右翼/中ソ北)
外務省→海外情報の入手
内調→情報集約(警察の下)
自衛隊→軍事情報、電波傍受(内調の下)
冷戦後、公調は政治家の支援を受けられず対外進出を図るが、厳しい状態となった。テロ対策や北朝鮮の脅威が課題となる中、外務省はIAS、自衛隊は情報本部(後藤田正晴)、内閣は衛星情報センター(野中広務)、中央情報機構改革(町村信孝)を通じて組織改革や情報共有策がなされた。その本丸は秘密保護法制であり、特定秘密保護法や国際テロ情報収集ユニット(安倍晋三、北村滋)で結実した。さらに国家安全保障会議と事務局の整備で政策と情報の分離も実践。首相ブリーフィングを行う内閣情報官の下ICが再編された。
今後の課題として筆者はサイバー情報(対中)、公開偽情報対策(対露)、経済安全保障、ファイブアイズ加盟のための法整備、民主的統制を挙げる。
インテリジェンスの入門書は読んでいたので理論と実践の関わりが感じられてよかった。教科書通りのIC改革が行われていた。今後は、より強力な法整備による組織強化が必要だろうが、それには民主的統制も含め国民の広範な賛意が必要だろう。一般的なインテリジェンスのイメージを払拭することが不可欠だと感じる。また、今の対中インテリジェンスはどうなっているのか気になった。多分機密事項なので教えてくれないだろうが、台湾有事が近づいている今、民間の情報漏洩を含めた議論がないのは気になった。
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多くの関係者インタビューをもとに、日本のインテリジェンスの歴史やその問題点を分析する良書。NSS立ち上げ後も内調とのアクセス争いがあることなど、収集・分析機関間の争いや政策との関係が引き続き問題であることがよく分かる。結局は、不確実性を含むインテリジェンスを政治家・政策部局がどれほど重視できるのかという文化の問題かもしれない。以下興味深い点。
・戦前のインテリジェンス・コミュニティでは秘密工作の方が分析よりも高く評価された。
・東條英機はインテリジェンス不信。ナチスドイツのソ連侵攻に関する情報を信じようとせず。防諜組織も持っていなかった。
・合同情報会議は1986年に創設。この頃、内調室長の総理ブリーフは週一回だった。
・1985年、中曽根総理がスパイ防止法を作ろうとして失敗。
・1998年、官房長官を議長とする内閣情報会議が創設。しかし、縦割りや政策側との混線問題は取り組まれず。
・1997年に防衛庁情報本部の創設。
・インテリジェンス改革の促進要因:テポドン実験など安全保障環境の悪化・米国の圧力
・町村は「政治指導者によるインテリジェンスの放棄」の状況を変えようと決意。
・2005年でも内閣情報官の総理ブリーフは週一回。
・NSSは内調に頼るのではなく外国の情報源を開拓しようとした。ソニーピクチャーズへのサイバー攻撃について米から情報を得たのはNSS。
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まるで映画や小説のように思えるほど臨場感が溢れる内容。
こんな世界があったのかと信じられない気持ちになり、でもそれが事実なのでとてもやるせない気持ちになる。
明日、日本がなくなるなんて今の自分には想像つかないけれど、イスラエルには国の成り立ちからして闘わないいけないと思ってしまう理由がある。
闘いを続ければ続けるほど、どんどん複雑化しているように思う。
教科書的な事実羅列ではなく、色々な立場の人間のリアルな発言があふれている。
著者のインタビューにかけた時間と労力が計り知れないし、それをこの本にまとめたのがすごい。
翻訳も読みやすかった。 -
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国家とユダヤ人を危害から守るためにあらゆる手段を講じるイスラエル。イスラエルの新聞記者が政府・軍関係者への膨大な聞き取り から明らかにした、イスラエルで特殊任務にあたるモサド、シン・ ベト、アマンの3機関による、諜報活動と要人暗殺作戦の初の通史。
めちゃくちゃ面白そうだけど買う人少ないだろうな・・・と思いながら読み始めました。序文からして恐ろしいにおいがぷんぷん漂うんですけど、あまりに平和ボケした日本人にはかなり衝撃的な内容で、でも怖いもの見たさであっという間に読み終えてしまった。この著者、近いうちに消されるとかない・・・よね?ここまでの証言をよく集めたなあと感嘆しかないです。すごすぎる。筆者のイスラエルへ対する批判的な姿勢は述べられていますが、決してくどくなく、淡々と事実が記されていて客観的な一冊に仕上がっている。下も早く買わないと。翻訳してくれた早川書房に感謝です。 -
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ネタバレスパイやその所属する諜報機関の描写は映画や小説といったフィクションの世界ではよく見かけるが、この本には実際のところインテリジェンスの世界がどのようなものなのかが事細かに書かれている。そもそも諜報機関の内情をノンフィクションとして書くことなどできるのだろうかと思ったが、実際著者はこの本を書くのに並々ならぬ苦労をしたことがうかがえる。その情報収集の結果は巻末の100ページ近い注記に見ることができ、情報の正確さのために多大な努力を払っていることが推察された。また、著者がイスラエルにかかわりが深いこともあり、情報源はイスラエル側のものが多いが、著者個人の主張を極力排し中立な立場で事実を書き連ねるようにしていることも感じられた。
上巻ではイスラエルの建国から第一次インティファーダのあたりまでの期間に各情報機関がどのように設立され、確立されていったかの経緯や、国の生き残りを賭して諜報活動に血道を挙げる状況が様々な作戦行動の描写を通じて綴られる。普段自分が暮らしている日常とは全く想像もつかないような世界があるということを痛感させられた。 -
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日本では詳しく伝えられることの内、9.11以降のアメリカの“テロとの戦い”の内幕。
驚きました。CIAが映画さながらの暗殺機関に変貌していたとは。ちょっと前までCIAは、巨大な官僚組織で、十分なインテリジェンス活動は行えていないと言うイメージだったんですが、9.11で息を吹き返しましたね。
そしてもう一つの驚きが、アメリカ軍自体が、独自の諜報機関を養成している事。本書中で、「CIAが準軍事組織と化し、軍がインテリジェンス機関と化す」と言う様な事が書かれていますが、正にそのような、どっちがどっちなのか、良く分からない混とんとした状況になっている様です。
それと確信したのが、やっぱり“テロとの戦い”って、結局はテロリストの再生産に過ぎないのではないかと言う事。あまりにも貧弱な情報を下に活動するので、付帯被害が大きすぎます。結局のところ、CIAや軍との利権を確保した者たちが潤っただけで、CIAも軍も、本来目指したことはできていないのではないかと思います。その証拠に、未だに世界は、危険に満ち溢れていますよね。 -
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ネタバレ【219冊目】インテリジェンスに関する学術研究は、他の分野に比べるとあまり進んでおらず、中でも日本ではあまり研究者がいないイメージ。本書筆者、北岡元、中西輝政、小林良樹…ぐらいがパッと思いつくところか。
主に第二次世界大戦中の日本陸海軍のインテリジェンス活動について描写。巷間言われるのは、日本軍は連合国に情報戦で負けたということだが、筆者はこれに反論する。日本軍は英米や露中の暗号の一部を解読することに成功していたし、満州、中国、東南アジアではヒューミントにも長けていた。戦場において入手した情報を、その最前線の戦線において活かすという戦術的なインテリジェンスについても戦争の初期では上手くいっていた、というのが筆者の主張である。
筆者は、日本(軍)に足りなかったものは、戦略的なインテリジェンスの活用・収集であるとする。それは、インテリジェンス部門に投入される資源が小さかったこともさることながら、政策(作戦)サイドが情報部門を軽視してそのプロダクトを無視し、また、適切なリクワイアメントを出さなかったことが原因である。そして、インテリジェンスを根拠に自らの政策(作戦)を決定するのではなく、組織間の力関係や調整によってこれを決定していたのである。
特に、独ソが対立しているという駐独武官からの同一の情報を、一方の日本はこれを無視して三国同盟に突き進み、一方のチャーチルは自らの好悪を曲げて英米ソの連携につなげる方向につなげたというエピソードは印象深い。
そして、筆者は、こうした日本(軍)の問題は、今日の日本にも重要な教訓を示唆しているというのである。ここに、本書の項目だけ示して終わろう。
・組織化されないインテリジェンス
・情報部の地位の低さ
・防諜の不徹底
・近視眼的な情報運用
・情報集約機関の不在とセクショナリズム
・戦略の欠如によるリクワイアメントの不在 -
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ネタバレ【メモ】
日本帝国軍のインテリジェンス活動を陸軍海軍、太平洋戦争以前から網羅的に紹介。
インテリジェンス活動をブレークダウン(オシント・ヒューミント・シギントなど)
これまでの印象だと日本軍は情報戦に負けたイメージだったが必ずしもそうではない
英米が民間知識層をインテリジェンスに活用していたのに比べ、日本は自らの将校を教育して活動に当たらせていた。学徒出陣などはその例。
作戦部の情報軽視:ただ並べただけの情報に価値を見出さない。作戦に合致しそうな生情報を仕入れては都合の良い形成判断を行った。
短期的、戦術的インテリジェンスの場合、情報の入手と利用の時間差が縮小すれば、そこに介在するイマジネーションの量も減少する。
戦略、政策レベルのものは、戦略や政策への必要性から情報ニーズがうまれ、それを受けて収集されたインテリジェンスがフィードバックされる。時間差が開くため、過程が複雑になるため、一元的に集約する組織がいる。主観や憶測が混じる、組織間軋轢によって鮮度が失われ、貴重な情報が途中で霧散する。
情報部によると、1941年の分析で、日米兵力比は1944年に圧倒的になってしまうので、それまでになんとかしないといけない。
海軍の真珠湾攻撃は短期的には合理的だった。石油枯渇以前に戦いを仕掛け、短期決戦でものにする。しかし長期的に見ると、攻撃のインパクトは小さく明らかに間違っていた。ドイツの欧州制覇や米国の厭戦気分など、楽観的ないしは希望的観測のもとに判断された。中長期に状況を判断するセクションがなかった。
取得から利用までのタイムラグを克服するために二つ。頻繁に更新する、ラグを最小限にする(目的ありきのリサーチ
ここでも言及されている 当時の政策決定過程で重視されたのは、組織間のコンセンサスであり、情報ではなかったので、迅速で柔軟な意思決定が苦手だった。
まず課長級が中心となり部内の意見をとりまとめ、そこから上層部へエスカレーションおよび決済を経て試案が生み出される。また同時に関係各所との調整が入る。その結果、政策決定過程で必要とされるのは、情報に基づいた合理的な餡ではなく、各組織の合意を形成できるような玉虫色の案とネマワシとなり、そこに多大な時間と労力が割かれる。このシステムではどのような決定的情報が入手できても、そのタイミングが情勢判断時でないと有効に利用できない。
主観的判断が助長され、合理的思考が組織内で埋没した例:総力戦研究所→日露戦争でも勝てると思って始めたわけではない、机上の論理の軽視と意外裡の重視、という東條陸相の答え。
→過去の成功体験が合理的思考を停止させ、精神論への偏重。
組織的な問題:意思決定の中枢にまとまったインテリジェンスが定期的に集まらないと、主観的判断が助長させるのは当然。
情報部の立場の弱さ 行動の前に情報がなければならない。行動ありきだと、情報はその行動を説明するために利用され、判断が主観的になる。
情報集約機関の不在 情報同士を付き合わせることにより精度の高いインテリジェンスを産み出すという相乗効果を得ることができない。情報が分散すると各所で都合良く評価され、組織間の共有も進まない。
近視眼的な情報運用 作戦のために使う短期決戦のための情報となり、大局的情報が軽視される。
リクワイアメントの不在 リクワイアメントを発することのできない政策サイドは、政策や国益に対する感覚が鈍ってるとしか言いようがない。リクワイアメントなしでは情報部は自らの存在意義を認識できず徐々に機能不全に陥る。 -
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「日本はインテリジェンスが弱い」中国とせめぎ合うことが増えた昨今、それこそ情報を吟味することなく語られるこの言葉。ではインテリジェンスとは何か、吟味するとは何か、弱いとはどういうことか、を旧日本軍を題材に解明していく本書。読み応えがある。
旧日本軍のインテリジェンス能力は決して低かった訳ではない。暗号解読力があり、情報機関も中国大陸では機能していて、対ソ情報戦には長年の蓄積があった。太平洋戦争緒戦の快勝も、マレー半島やハワイに対する情報収集があればこそ。ゾルゲ事件だって、国内の防諜機能が働いていた証左とみることもできるだろう。
それでは何が不味かったのか。筆者の指摘で目を引くのは、インテリジェンスの国家戦略レベルの統合のなさと、作戦立案における情報の恣意的な活用、そして海軍において致命的だった防諜意識の低さだろうか。
「逆に言えばこのような情勢判断の曲解(台湾沖航空戦で敵空母を壊走させたと判断したこと)は、米海軍との決戦である捷一号作戦発動の必要性から生じたと言うことができる。極端に言えば、何隻か撃沈されてないと作戦が発動できない、という心理が働いたのではないか。」
エリートが集う作戦部は情報部を軽視し、情報部に作戦情報を与えず、自ら情報を判断して作戦を立案していた。情報の恣意的な活用は現在の企業社会でも良く目にする光景だけに、それが戦争の行方を決めたかと思うとうすら寒くなってくる。
また情報の国家戦略的な活用というテーマも現代の我々に重くのしかかってくる。満州事変は現場の洞察が正しく、上手く行ったから良かった。しかしその後、日中戦争、三国同盟、対米交渉、太平洋戦争と続く歴史の中で、日本政府は常に受け身の対応を迫られている。情報は軍部にはあったが、情報が国家的なインテリジェンスとして主体的な戦略立案に活かされることはなかった。現在でも新聞辞令にきりきり舞いさせられる政府の姿を見るに、昭和10年代の歴史を苦い記憶として刻まないといけないのだと思う。 -
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●:引用 →:感想
●本書の内容は、これまで様々な場所で行ってきたインテリジェンスに関する講義や講演を基にしている。
→そのせいか、すでに知っている内容が多かった。
●これまで欧米では厖大な数のテキストが出版されているが、我々日本人にとって不満なのは、当然のことながらどれも欧米の読者を想定しているため、これからインテリジェンスを学ぼうとする日本の初学者にはとっつき難いことである。本書はまずこの点を意識し、なるべく日本の事例を取り上げるよう心がけた。
→たしかに日本の事例が多く読みやすかった。以前読んだ「インテリジェンスの20世紀」は学術論文集のため、読みにくかった。 -
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日本はなぜ負けたのか。作戦重視、情報軽視の宿痾を抉る。
暗号解読など優れたインフォメーション解読能力を持ちながら、なぜ日本軍は情報戦に敗れたか。「作戦重視、情報軽視」「長期的視野の欠如」「セクショナリズム」。日本軍最大の弱点はインテリジェンス意識の欠如にあった。インテリジェンスをキーワードに日本的風土の宿痾に迫る。
第一章 日本軍による情報収集活動
第二章 陸軍の情報収集
第三章 海軍の情報収集
第四章 情報の分析・評価はいかになされたか
第五章 情報の利用 成功と失敗の実例
第六章 戦略における情報利用
第七章 日本軍のインテリジェンスの問題点
終 章 歴史の教訓
インテリジェンスとは、分析済みの情報のこと。
「戦争中、日本は情報線に負けた」と言われているが、それは暗号を解読されていたという単純なレベルのものではないと著者はいう。本書を読むと、暗号解読に関して言えば、日本軍も連合国の暗号をある程度解読していたという事がわかる。深刻な問題は、日本がインテリジェンスを組織的、戦略的に利用することができなかったという組織構造や、対外インテリジェンスを軽視するというメンタリティーにあるという。
戦前日本は、情報を軽視した訳ではない。むしろ、陸軍は人員や資金不足の割には相当な暗号解読能力を有していた。なぜ、情報を生かすことが出来なかったのか。本書では、セクショナリズムをあげている。陸軍と海軍のみならず、軍の中でも作戦部が情報部を軽視していた弊害があげられている。
エリート意識に凝り固まった作戦部は、独自にインフォメーションを集め、それを基に作戦を練れば良いということから情報部を軽視する事となる。日本の命運を決めることになる政策決定に参謀本部の情報部長が関与していなかったという事実には驚かされる。しかも、作戦部が情報を扱いだすとどうしても戦略や作戦目的のために情報を取捨選択してしまい、作戦ありきで情報は目的を正当化するために使用される弊害がある。
政策サイドが意思決定を行う際に、情報サイドにインテリジェンスを求めると言う思考が欠如しており、政策決定者は自らのイメージや観念に沿って政策を進めていた(情報の政治化という)。このことにより、政策決定者が望む情報しか望まれず、望まない情報は雑音として排除されることとなった。
独軍の英本土攻略作戦や、独ソ戦について、情報部が冷静な判断をしていたが、生かされることはなかった。
個人的には、インテリジェンスが生かされない理由として、日本の組織が、トップダウンではなく、ボトムアップであるということもあげられると思う。有力な政治家が組閣すれば政治が主導するが、弱体な内閣の場合、官僚が主導することとなる。アメリカ型ともイギリス型とも異なる日本の問題があるのではないか。
本書は、丁寧に日本軍の失敗の本質に迫っており、丁寧な仕事に好感が持てる。内容も面白くおススメである。 -
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日本軍のインテリジェンスは一般的に認識されているように決して低くなかった。特に陸軍に関しては難解と言われるストリップ暗号をほぼ完璧に解読していたことなどから極めて優秀だった。
しかし日本軍の場合その優秀なインテリジェンスを有効に活用するだけの組織体系が全く整っていなかった。
日本軍の作戦組織は情報組織の役割を軽視し、情報そのものを自分たちの主観的判断によって解釈した。
例えば三国同盟などはドイツの対イギリス戦の見通しの悪さなどから情報部の見解は同盟そのものに否定的だったが、作戦部はそういった情報を無視し「アメリカへの牽制」と称して同盟に踏み切った。
海軍は対アメリカ戦が長期化した場合、状況はどんどん苦しくなるだろうということは予め予想していた。しかし攻撃を仕掛ければ相手を萎縮させられるだろうという希望的観測を元に攻撃に踏み切った。
作戦組織と情報組織を明確に分離し情報そのものを「インフォメーション」から「インテリジェンス」に加工しそれを作戦組織に提供する専門の組織が必要である。
作戦組織は常に戦略を思考し続け、その為の情報を得るために情報組織に対して「リクワイアメント(情報要求)」することが重要である。