小谷賢のレビュー一覧
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少し歴史を知っている人であれば、ミッドウェー海戦の際に日本海軍の暗号が解読されていたことは知っているだろう。もう少し詳しい人であれば、山本五十六長官機が撃墜された海軍甲事件でも暗号が解読されていたことを知っているかもしれない。さらに詳しい人であれば、機密文書が流出した海軍乙事件についても知っているかもしれない。海軍乙事件については吉村昭の記録文学が有名であるため、興味のある人は一読してみても良いだろう。
これらの事件から得られる印象は、「日本海軍は情報の取り扱いに問題があった」という漠然とした印象であった。しかし、本書の説くところによれば、事情はもう少し複雑である。
本書の内容を語る前に、 -
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情報や諜報という定義について解説してから英国の情報取り扱い状況の説明
開戦前の日米交渉を英国というプレイヤーを加味することにより見方が個人的には変わりました。40年は日本の出方が様々な要因で後手にまわったのを米国を引き込むことによりアジアでの対日優位を獲得する為にあれやこれやと。面白かった
情報を精査しつつ自国の国家戦略に組み込み、最善の結果を得る為に活かしていく。国家にとり情報収集の大切さだけではなく、どう戦略・政略ととりあつかい外交で取り扱う危険性と重要性が紙一重な気も。結局はそれを取り扱う機関や人材、決定する人物とのバランスの上でなりたつのかな。かな?と思ったりしました -
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インフォメーションという断片的な情報を集めてそれをインテリジェンスという、最終判断にする。
それが情報機関の役割なのだが、戦前の陸軍や海軍ではこの一連の流れが上手くいっていなかった。
情報収集や防諜面では海軍よりも陸軍が徹底していたが、その陸軍にしても作戦部門を重視しすぎてせっかく集めた情報が無駄になった上に、海軍に関しては初歩的な防諜や情報収集でしくじったりとろくなことをやっていない。
この一連を纏めると、情報機関というのは銀行で例えると審査部門であり、作戦を担う部署が営業部門とする。
審査部門は営業から上がってきた融資案件や独自に調査した融資先の情報を調べ
「あの会社は粉飾している -
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[Infoのその先]日本においては80年代頃から議論が活発化し、今日においては一般的にも知られるようになった「インテリジェンス」。国家が必要とするそれを歴史・組織・統制などの多様な観点から概説した作品です。著者は、国際政治学者として活躍し、本著の他にもインテリジェンスに関する作品を世に送り出している小谷賢。
「そもそもインテリジェンスって何?」、「インテリジェンスがなぜ必要なの?」という基礎的な問いに答えるところから筆が起こされているため、幅広い方にオススメできる一冊です。インテリジェンスにまつわる歴史的エピソードや出来事もあわせて解説されているため、興味を絶やすことなく読み進められるのも -
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本書は多くの参考文献や一次資料を参照して書かれており、為になる本だった
インテリジェンスを学ぶ教材として日本軍はのそれは適している。我々日本人にとって身近に感じられるし、敗戦によって全容が明らかになっているからだ。ところが日本は情報戦いに負けたというイメージから日本軍のインテリジェンスが劣ったものであっかのようにおもわれている。たしかに米英ののうに莫大な予算と機材を投じることはできなかった、いや職員たちは安い予算で活動に従事していたといえる。しかしなかなかどうして日本軍のインテリジェンス組織は健闘し数々の成果を挙げていたのだ。
しかしながら陸海軍全体からみればインテリジェンス部門は軽視されて -
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ネタバレ戦前日本のインテリジェンスを知ることは、今後の教訓を得るためにも、重要だ。この本は、「戦前日本のインテリジェンスに関してその具体像を描き、日本のインテリジェンスの特色について考察してい」(P.6)る。
日本のインテリジェンスは、決してそれぞれの技術や能力が低かったのではない(「戦前日本の通信情報能力の高さが部分的にうかがえる。」P.23)。「インテリジェンスを扱う上で特有の問題が存在していた。それらは主に、組織における情報機関の立場の低さ、情報集約の問題、近視眼的な情報運用、そして政治家や政策決定者の情報に対する無関心など、であった。」(P.194)
具体的には、
(1)組織化されない -
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日本軍は、太平洋戦争で情報戦において、英米に大きく負けていた、とする定説とは、ちょっとことなる事実を提示してくれる一冊です。
確かに、日本軍という組織としてみれば諜報を軽んじていたようですが、情報を扱う部署では、職人技ともいえる暗号解読や情報収集を行っていたようで、陸軍などはアメリカの暗号もおよそ解読していたのではないか、とのことです。
ただ、軍部エリートの集う作戦立案の部署からは軽んじられ、実際的にはあまり役に立てられなかったそうで、ここにも日本に今昔問わず見受けられるセクショナリズムの弊害が健在だなあ、と感じました。
それにしても、驚くべきは、日本軍が育てた情報戦エリート達は、194 -
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新たな視点を得られた良書。
日本軍の情報戦略的な失敗は常識化しているが、それはインテリジェンスとしての情報を全く持っていなかったという事では決して無かったのだ。感心の低さからくる人員等の配分こそ他国に明確に劣っていたが、インテリジェンスを獲得する能力自体は、特に陸軍においては決して引けを取らなかったようだ。
結局、組織的な構造、関心の低さ、戦略の欠如等がインテリジェンスを無駄にしてしまうという事になった。作戦部の優越性などからも、いかに情報部が軽視され、無意味な組織構造をもたらしてしまったかが窺い知れる。
現状の日本においても、ここから学ぶべき事が多いように感じる。むしろ、その体質は基本的に変 -
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第二次大戦直前のイギリス外交が、インテリジェンスをいかに利用し外交政策に反映させていたかが良く分かる良書。著者の博士論文が下敷きになっているだけに完成度が高い。
情報の入手過程よりも分析・評価・政策決定の描写に重点が置かれていたのが良かったと思う。政策決定者の視点の偏りによって獲得された情報の評価が大きく変わるというのが興味深かったが、情報が政策を決定するのでもなく、政策決定者が恣意的に情報を取捨選択するのでもないということ(どっちが先かという問題ではなく相互に影響しあっている)を忘れてはならない。
また、政府上層部での情報共有のあり方についても示唆的だった。重要な情報であればあるほど -
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加藤陽子著『それでも、日本人は戦争を選んだ』で紹介されていた書籍。
政策サイドから情報の要求を出し、情報サイドに情報を収集、分析させる情報運用"インテリジェンス・サイクル"。
陸海軍情報部はアメリカやイギリスに謙遜ない情報収集・分析活動を行っていながらも、政策サイドがその情報を合理的且つ適切に運用することができず、インテリジェンス・サイクルの停滞を招いた。
その結果がガダルカナルやインパール作戦、ミッドウェーやレイテ沖海戦への失敗へと繋がっていく。
情報部の地位の低さや組織のセクショナリズム、防諜の不徹底など、インテリジェンス・サイクルにおける構造上の問題を今も解決できな