小谷賢のレビュー一覧
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ロシア軍事の専門家とインテリジェンスの研究者の対談形式でロシア・イスラエルの分析を行うもの。また、日本のインテリジェンスに対する姿勢や課題点についても第六章で述べられている。会話を文章化したものなので、堅苦しい文章もなく非常に読みやすい印象だった。
戦争だけでなく外交においても、インテリジェンス組織がしっかり整備されていて情報をうまく活用できる国は強いと思う。 本書でも触れられている通り、日本も情報収集に関する下地はあるのだから、法整備と情報リテラシーの向上で改善される事を期待する。ロシア・イスラエルが今でも戦い続けていられるのは、情報収集・活用が上手いからなのも納得した。 -
Posted by ブクログ
普段あまり触れることがない話題だったためかなり難解で読みにくかったが、ここで解説されている陰謀論、認知戦、他国の干渉による国民の行動の操作など、決して誇張ではない現実の脅威を深く認識させられた。
『情報戦や認知戦は、平時から始まっている。
そして、我々一人ひとりが攻撃対象となる認知
戦においては、インターネットに接続し得るす
べての人間がその戦場に立っている (p.220)』
このような自覚の元で、情報ソースやファクトチェック情報を確かめるリテラシーを養い、不明確な情報を拡散しない、誤って拡散してしまったら速やかに削除訂正をするというのは、各人に課せられた責務だと思う。 -
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Posted by ブクログ
日本のインテリジェンスの変遷がよくわかり、抽象的な事象と具体的な事例のバランスが取られた一冊。
日本のインテリジェンスとそれに基づく危機管理、意思決定などに興味がある方向け。
日本語訳者の小谷賢氏も日本のインテリジェンス史に関する書籍を出しているので併せて読むと理解も深まると思われる。
収集、分析、伝達、保全、秘密工作、監視という6つの要素から近代以降の各時期の日本のインテリジェンスを評価している。
また、将来の日本のインテリジェンスの能力拡充や対外的協力体制構築の方向性についても示唆を与えてくれる。
日本は(どの国でもそうだが)、内外の政治情勢、技術的な進歩、そして「失敗」に影響を受 -
Posted by ブクログ
戦後日本のインテリジェンスの歴史を辿れる希少な一冊。
政治などの時代背景とともに日本のインテリジェンス機関の変遷が網羅されている。
「そもそもインテリジェンスとは何か」という点から解説されており理解のハードルは高くない。本書を通じて、過去に一度は目にしたであろう数々のニュースの裏にもインテリジェンス機関の存在があったことを知れば、今後の視野が大きく広がるだろう。
日本のインテリジェンス機関の活躍といえば、大韓航空機撃墜事件(1983年)程度しか知らなかった。しかし本書によると、それすらもソ連を追及したい米国に利用された形であり、さらにはその情報自体も優越していたのは音質だけだったそうだ。
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Posted by ブクログ
【本書の問いは主に二つの点にある。①なぜ日本では戦後、インテリジェンス・コミュニティが拡大せず、他国並みに発展しなかったのか、②果たして戦前の極端な縦割りの情報運用がそのまま受け継がれたのか、もしくはそれが改善されたのか、というものだ】(文中より引用)
戦後日本のインテリジェンス・コミュニティや組織の変遷を、公開情報を基に丹念に追った一冊。日本人の手による戦後日本のインテリジェンス通史として、現時点で読める中ではもっとも客観的かつまとまった内容に仕上がっていると思いました。著者は、日本大学危機管理学部で教授を務める小谷賢。
やっぱり公開情報をつなげていくだけでも結構な骨格は明らかになるもん -
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Posted by ブクログ
少し歴史を知っている人であれば、ミッドウェー海戦の際に日本海軍の暗号が解読されていたことは知っているだろう。もう少し詳しい人であれば、山本五十六長官機が撃墜された海軍甲事件でも暗号が解読されていたことを知っているかもしれない。さらに詳しい人であれば、機密文書が流出した海軍乙事件についても知っているかもしれない。海軍乙事件については吉村昭の記録文学が有名であるため、興味のある人は一読してみても良いだろう。
これらの事件から得られる印象は、「日本海軍は情報の取り扱いに問題があった」という漠然とした印象であった。しかし、本書の説くところによれば、事情はもう少し複雑である。
本書の内容を語る前に、 -
Posted by ブクログ
情報や諜報という定義について解説してから英国の情報取り扱い状況の説明
開戦前の日米交渉を英国というプレイヤーを加味することにより見方が個人的には変わりました。40年は日本の出方が様々な要因で後手にまわったのを米国を引き込むことによりアジアでの対日優位を獲得する為にあれやこれやと。面白かった
情報を精査しつつ自国の国家戦略に組み込み、最善の結果を得る為に活かしていく。国家にとり情報収集の大切さだけではなく、どう戦略・政略ととりあつかい外交で取り扱う危険性と重要性が紙一重な気も。結局はそれを取り扱う機関や人材、決定する人物とのバランスの上でなりたつのかな。かな?と思ったりしました -
Posted by ブクログ
インフォメーションという断片的な情報を集めてそれをインテリジェンスという、最終判断にする。
それが情報機関の役割なのだが、戦前の陸軍や海軍ではこの一連の流れが上手くいっていなかった。
情報収集や防諜面では海軍よりも陸軍が徹底していたが、その陸軍にしても作戦部門を重視しすぎてせっかく集めた情報が無駄になった上に、海軍に関しては初歩的な防諜や情報収集でしくじったりとろくなことをやっていない。
この一連を纏めると、情報機関というのは銀行で例えると審査部門であり、作戦を担う部署が営業部門とする。
審査部門は営業から上がってきた融資案件や独自に調査した融資先の情報を調べ
「あの会社は粉飾している