あらすじ
ますます過剰化、多様化する情報の渦のなかを国家は、組織は、そして国民はどう生き抜いていけるのか。意思決定者や軍が正しい行動をとるために、情報機関にいま必要とされていることはなんなのか?気鋭の防衛省の研究官が、「インテリジェンス」の歴史から、各国情報機関の組織や課題を詳述。イランクが大量破壊兵器を保持しているという、なんの根拠もない「事実」が信じられるに至るまでの情報の誤った伝達や歪曲、スパイ・ゾルゲの活躍の裏側など、著名な歴史的事件をはじめ、豊富な事例を通して易しくわかる、インテリジェンス入門の決定版。
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小谷賢さん待望のインテリジェンス教科書です。他のインテリジェンス教科書と比較すると、ご自身の経歴からかイギリス色の仕上がりを感じます。
理論一辺倒ではなく、歴史の流れや技術的な内容もあり、自分は飽きることなく一読できました。
ご自身もおっしゃってましたが、文庫本ではもったいない内容です。
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[Infoのその先]日本においては80年代頃から議論が活発化し、今日においては一般的にも知られるようになった「インテリジェンス」。国家が必要とするそれを歴史・組織・統制などの多様な観点から概説した作品です。著者は、国際政治学者として活躍し、本著の他にもインテリジェンスに関する作品を世に送り出している小谷賢。
「そもそもインテリジェンスって何?」、「インテリジェンスがなぜ必要なの?」という基礎的な問いに答えるところから筆が起こされているため、幅広い方にオススメできる一冊です。インテリジェンスにまつわる歴史的エピソードや出来事もあわせて解説されているため、興味を絶やすことなく読み進められるのも評価できるところです。
日本におけるインテリジェンスについてもページが割かれているのですが、筆者が本書で述べる提言は、実現可能性をしっかりと考慮に入れた現実的なもののように感じました。倫理的問題や報道の自由などの他の規範とどう折り合いをつけていくかという点にも話が触れられており、バランスのとれた内容だと思います。
〜インテリジェンスの究極の目的は、「相手が隠したがっていることを知り、相手が知りたがっていることを隠す」、すなわち彼我の差を生み出すことなのである。〜
インテリジェンスの教科書として☆5つ
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インテリジェンスという言葉は佐藤優氏の本を読んだときにはじめて知ったのですが、「国益のために収集、分析、評価された外交・安全保障政策における判断のための情報」がどのようなもので、どう使われているかを学ぶのに手軽な本だと思います。
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諸外国のインテリジェンスの歴史だけでなく、インテリジェンス理論についても少しわかった。日本はこの分野でかなり遅れているということを再確認した。
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インテリジェンスそのものとはなにか、国内外のインテリジェンスの歴史と実態、そして将来に向けてインテリジェンス組織はどうすべきかなど、本書はインテリジェンスの基本書と優れている。
インテリジェンスといえば情報を収集する者すなわちスパイを思い浮かべるが、実は職業としてのスパイは古代から実在した。具体的な例を挙げると、古代エジプトとヒッタイトのカデシュの戦いは人類の記録上最古のスパイの記述がある。メソポタミアも同様にスパイの記述が残っていることから、スパイによる情報収集活動が古くから存在することがわかる。日本においても崇神天皇に同じような記述がある。古代中国では孫子が、古代インドでは『実理論』とスパイの重要性が説かれる。アッバース朝に関しては、暗号解読の技法が進んでいたという。このように歴史をさかのぼるとスパイは昔からいたと理解できる。
近代以降、特に20世紀以降は各国でインテリジェンス組織が発展する。これらの組織は、その国の政治制度や文化で異なっており、それぞれの独自の問題を抱えている。本書のp50に書いてあるように、どの国のインテリジェンス組織も多くの妥協の産物で成り立っているので、完璧な状態で組織運営している国はない。それを踏まえた上で組織の改善を適宜行っている。
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国際社会が密につながりを持つ現在
相手の表す情報を正確に分析する技術が日本には
必要な時代となっております・・・世界最高の
インテリジャンスを解説した本書は必読です
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昔から重要な分野ではあっただろうけど、テロとの戦いということも考えると、今後重要性はより増す分野だと思う。各国との情報のやり取りをする必要があるということからも、国として力を入れていかないといけないだろう。
着々と準備は進めているようだけど、マスコミが変に茶々を入れて頓挫するようなことにはならないで欲しい。
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●:引用 →:感想
●本書の内容は、これまで様々な場所で行ってきたインテリジェンスに関する講義や講演を基にしている。
→そのせいか、すでに知っている内容が多かった。
●これまで欧米では厖大な数のテキストが出版されているが、我々日本人にとって不満なのは、当然のことながらどれも欧米の読者を想定しているため、これからインテリジェンスを学ぼうとする日本の初学者にはとっつき難いことである。本書はまずこの点を意識し、なるべく日本の事例を取り上げるよう心がけた。
→たしかに日本の事例が多く読みやすかった。以前読んだ「インテリジェンスの20世紀」は学術論文集のため、読みにくかった。
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インテリジェンスの入門編。2025年、アメリカのトランプ大統領が全CIA職員を対象に早期退職を提案した。そもそもCIAはどのようにして誕生したのか?彼等は何をしており、何を求められているのか?等、CIAに関する知識の下地作りにちょうどよい内容。さらに著者が日本人読者を意識してなるべく日本の事例を取り上げてくれているため、欧米一色とならず、日本国民としての当事者意識を持ちながら読めた。
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出版が9年前なので、参考程度にと読んでみたが、インテリジェンスの入門としては現在(2021年)でも十分!各国では地政学、インテリジェンスと大学で学部が設置されているそうで、日本でもぜひ。
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インテリジェンスの総論についてまとめた文庫本。歴史と理論からはじまり、組織の作り方やヒュミントの育成、秘密工作、国家的情報の統制など、内容は幅広い。インテリジェンスの理論では、どの本を読んでも「インテリジェンス・サイクル」という概念が出てきて、これがCRISP-DMなどの「データマイニングのプロセス」と瓜二つなんだけど、どういうことなんだろう。「データマイニング」という分野を立ち上げた主要メンバーは、実は元々はインテリジェンス屋だったのではないかという仮説を持ち始めた今日この頃である。
Posted by ブクログ
国家がインテリジェンスを活かすためにはどうすればいいのか。
インテリジェンスとは、①国家が国益を追求するために不可欠な知識(情報)、②情報を扱う専門の組織、③情報収集や分析、そして政策決定者による利用までを含む一連のプロセス、の3つの意味を内包している。
主に、世界のインテリジェンス組織、インテリジェンスの歴史、手法、秘密保全、統制と監視、日本のインテリジェンスに分けて話が進められていく。
本書からインテリジェンスの必要性はあまり感じられなかったけど、一つの組織として国益追求のために日本が整えなければ行けない部分が山ほどあることは分かった。
委員会型のイギリスと中央集権型のアメリカ。日本はアメリカ式を目指しているらしいけど、縦割り官庁の中ではどこが中央になるのかが悩ましい所。かといって、委員会型には各人(各省庁)の良識が支えになっている部分が大きいし。。。とにかく、失敗を積み重ねながらでも動いていくしかない、前に進むためには。
余談だが、日本の法律でスパイ行為を行った民間人・外国人を取り締まる法律がないのには驚いた。愛国精神を強要するのは好きじゃないけど、国民なら最低限国を守る責任はあるよね、と思ってしまった。。。