青木祐子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
嘘か本当か、彼女の「本当」
怖い。こういう人が身近にいたら全力で逃げたい。でも近づいてこられたら絶対逃げられない気がする。一章ごとにだんだん包囲網を完璧に近付けてきたはずなのに、彼女を捕まえたと思ったはずなのに、最後のどんでん返しは、逃げられないとわかって読む最悪の結末。
sacra(というか八重子というかさくら)に悪気はないのだろう。きっと彼女の中ではすべてが本当のことだ。自分の気に入ることが「本当」で、違うなと思ったら「本当」にすればいい。悪意の無い悪はどうやって断罪すればいいのか、という話ではない。多かれ少なかれ誰でも嘘はつくけれど、彼女はそれを「本当」にしてしまう。怖い。
ものす -
購入済み
内容は面白い
しかし、書籍版なのに名前がどう読んでも、別の人間の名前であるべきだったり、誤字とおもえる箇所があった。
電子書籍化する際間違ったのか? -
Posted by ブクログ
ネタバレ*念願のマイホームを購入した氷見一家。そこは、元の地主の意向で隣り合う四軒の家が前庭を共有する、少し変わった敷地だった。元地主の仁木家は資産家で、夫は覆面作家だという噂。活動的な妻・美和が四軒のつきあいを主導している能生家。共働きで他三軒とは少し距離を置いている高井戸家。そんな三つの家族とともに、氷見家の幸せな暮らしが始まるが…。誰もが思い当たる「ご近所」サスペンス*
面白かった!それぞれの幸せのために日々戦っている四軒の描写が、細やかで巧い。どの家庭にも何かしら共感できるし、リアル感もたっぷり。話の展開も早く、語り手が一話ごとに異なるので視点が変わる面白さもあり、続きが気になって一気読み。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一般文芸を知らない、コバルトやオレンジ文庫の青木先生のファンが読むと、絶対につまらないです。最後まで読んでも意味分からない、で終わります。そういう意味では青木先生ファンにはあえてお勧めしません。
完全に一般文芸ジャンルの本です。しかも、一人の女性について数人がインタビュー形式の一人称で語り、「一番知っている」インタビュアーさえも結局飲み込まれてしまうラストは強烈でした。
こんな人間いないよなと思いつつ、結局「さくらちゃん」は嘘つきでさえない、実態のない自己愛の象徴に見えてきます。一つ飛び抜けた人を絶対的に引き付ける魅力さえあれば、フリーコピーになってしまいかねない危険を持つ、今の社会の浮薄さを