中島義道のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ原因や結果とは、「こうしたことは二度と起こってほしくない」とか「この現象は回避したいものだ」とかの原始的なわれわれの欲求にしたがって、自然現象をさらにとらえなおすことです。P163
因果関係とは、「起こってほしくない」という思いを込めて、ある現象を見るところに発生する概念です。原因とは、ある現象が、われわれが期待している通常のあり方から逸脱したとき、はじめて問うようなものなのです。P165
過去の出来事に興味を抱く態度全体が、じつはもはや取り返しのつかない意思行為をいかにとらえるかという態度に支えられています。過去の出来事の原因を問うのは、第一に、過去の出来事がもはや取り返しのつかないことを -
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
明るく元気で、前向きに、人に囲まれて快活に生きてる人は、この本を手に取ることはないでしょう。逆に、こういう陰気なタイトルに惹きつけられるのは、著者と同類(または近い)の暗さを持ってるってことでしょう。そういう、ごく一部の人にとっては、胸にズキッとくる痛みと一緒に、共感と勇気を感じられる本じゃないかな。
最近は、ポジティブ・シンキングが徹底してて、ネガティブなことをちょっとでも考えると害になる、ネガティブ発言をする人には近寄らない、みたいな雰囲気があったり、仲間を大切に、家族を大切にっていう傾向も強まってる気もするんですが、素直にそう思えている人にとっては、異次元の内容でしょうねぇ、きっと。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ人を嫌ってはいけないことは、学校や家庭で何となく教えられた気がします。しかし、嫌うことっていけないことでしょうか?
僕個人の考えだと、嫌うことそのものは別に構わないと思っています。逆説的ですが、それは自分が嫌われてもいいと思っているからです。
当たり障りのない、無難な人生を送ってもいいかもしれませんが、僕はそうじゃあない方が好きです。誰かに嫌われるようなことをしても、それが世のため人のためを思ってやったことであればいいじゃないかと。
人を嫌うということは、人から嫌われることを考えるのと同じことで、共感できる部分が多々ありました。 -
Posted by ブクログ
著者は、人間のある面がひどく嫌いという。いわゆる「よいこと」を絶対の自信を持って、温かい眼差しを持って強要すること。とりわけ、他人が喜んでいるときに喜ぶように、他人が悲しんでいるときに悲しむように共感することを強要する、他人の鈍感さと傲慢さが嫌いなのだという。
共感は演技を呼び起こし、共感する者は賞賛され、共感しないものは非難されるがゆえに、人々は必死になって演技する「共感ゲーム」が繰り広げられる。誠実さに対する神経が異常に発達した人間は、こうした共感ゲームにコミットすることが無性に不愉快なのだ。
他人からはどんなに馬鹿げて見えようと、自らの欲望にごまかしがないこと。著者は、世間体や金銭な -
Posted by ブクログ
75点。人生に生きる価値はない。と言われたら「は?それってどういう意味?」となるし、「だから意味も価値もないってこと」っていわれてもよくわからない。
無意味だということを自分が理解したとすれば、十分に有意味な行為だしなぁ。
無意味である、とはいったい、どういう意味で「ある」のか。
無意味さを、意味を経由して理解する以外の方法はない。
じゃあ、どうすればいいのだろう。
このひねくれた著者は一生をかけて、先のけっこうどうでもいいような問題について考え続けている奇特な爺さんです。
小さい頃、死が怖かった人は多い。私もそうであった。私の場合は死ぬという行為にではなく、死後を想像することに恐怖を覚えた。 -
Posted by ブクログ
――――――――――――――――――――――――――――――○
無念の拳を振り上げながら、彼はまた新たに言葉を押しつぶすことを学んだのです。彼は「こんなことってあるものか!」と叫ぶでしょう。しかし、その彼が銃数年後、同じようにして他人(部下)から言葉を暴力的に奪わないとは限りません。37
――――――――――――――――――――――――――――――○
多くの女性は「この人、私がいなければ何もできないの」と思い込みたいのでしょうが、それは夫を恋人を人間としてひとり立ちさせたくないから。精神のてん足をして、ひとり占めしたいからです。こんなことをしていると、いつかツケは自分に回ってくる。120
――