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「幸せになろうね」「私はほんとうに幸せ者です」……。世に蔓延する「幸福でありたい症候群」。だがその幸福感は、他人の不幸や「死」の存在を「知らないこと」「見ないこと」で支えられている。本書では、古今東西溢れる「幸福論」とその信者たちの自己欺瞞を鋭く指摘。さらに「他人(自分)を傷つけないために真実より嘘を語ること」を優先する特殊日本的幸福論者の傲慢さ、怠惰さを赤裸々にする。著者は、長年の哲学的考察の果てに――どんな人生も不幸である――という結論に辿りつく。この恐ろしく理不尽な「真実」をトコトン見すえて不幸に留まってはどうか。そのほうが「よく生きる」ことができるのではないか、と提案。著者の人生哲学が凝縮した、世界初の「不幸論」。
...続きを読むPosted by ブクログ 2010年03月17日
中島義道にとっては、死んでしまえば全て終わりなのだから、死を決して回避できない以上、幸福になることはありえない。不幸論は中島道義を知るきっかけになった本だ。読んでいて思わず「うんうん、そうそう」と心のなかでうなずいている。
中島道義は、自分が世間に向かって言い放ちたかったけれど、うまく言葉にできない...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
巷には「幸せになる方法」の本が溢れている。
幸せになりたい、ではなく、幸せについて本気出して考えたいのならば、この「不幸論」がおすすめ。
真理にだいぶ近づけた気がする。
幸せの4原則
1)自分の欲望がかなえられていること
2)その欲望が自分の一般的信念にかなっていること
3)その欲望が...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
「人は幸福になんかなれない。自分が幸福だと語る人は、現実を直視しておらず、幸福であると錯覚してあるだけである」と断固主張する。これだけを読むと気違いのひねくれものだと思ってしまいそうですが、著者は立派な哲学者であり、哲学的に、そして論理的に書いているから読んでいると「なるほど」と思いますよ。おもしろ...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年06月05日
幸福アピールする人や幸福ばっかり考える人は、実は幸福の中にいるのではなく、不幸や不安から逃げ出そうとしているだけ。かといって、不幸と向き合ってしまって解決策があるか、逃れられるかといえば、そうでもない。
やはり幸福というのは求めるものでもない。
本当は、幸福も不幸も相対的な感覚で実体はないのかも。
...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年05月16日
幸福のための条件を
①自分の特定の欲望がかなえられていること
②自分の一般的信念にかなっていること
③その欲望が世間から承認されていること
④その欲望の実現に関して、他人を不幸に陥れない(傷つけない、苦しめない)こと
と置き、歴史的な幸福論ではこれらの諸条件を満たすことができないことを述べた上で、最...続きを読む
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