【感想・ネタバレ】不幸論のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2010年03月17日

中島義道にとっては、死んでしまえば全て終わりなのだから、死を決して回避できない以上、幸福になることはありえない。不幸論は中島道義を知るきっかけになった本だ。読んでいて思わず「うんうん、そうそう」と心のなかでうなずいている。
中島道義は、自分が世間に向かって言い放ちたかったけれど、うまく言葉にできない...続きを読むでいたことを、実に的確に代弁してくれる。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

巷には「幸せになる方法」の本が溢れている。
幸せになりたい、ではなく、幸せについて本気出して考えたいのならば、この「不幸論」がおすすめ。
真理にだいぶ近づけた気がする。

幸せの4原則
1)自分の欲望がかなえられていること
2)その欲望が自分の一般的信念にかなっていること
3)その欲望が...続きを読む世間から承認されていること
4)その欲望の実現に関して、他人を不幸に陥れないこと。

これだけだと抽象的だよね?
そんなわけで、
⇒続きはwebで♪…じゃなかった、続きは本書で♪


・「幸せになりたい症候群」

 不幸なこと(例:出世競争に敗れた、失恋した)があってもから目をそらして、「私は幸福なんだ」(例;左遷されたから早く帰れる、失恋もいい経験だ等)と思い聞かせている。

「惨めさ。われわれの惨めなことをただ慰めてくれるただ一つのものは、気を紛らわすことである。しかし、これこそわれわれの惨めさの最大のものである。」byパンセ

この言葉に、幸せとは何かが詰まっているんじゃないかな。

巷に溢れている幸福論の類は、大抵「物事にはいい面悪い面あるので、いい面だけ見ましょう」というような、「幸せと思いこめ」ということが書かれている。
だけど。
自分では「不幸」だと感じることを、「幸せ」だと結論づけること。
それって、幸せを追い求めること、いや、追い求めなければならない、と感じてしまうのではないか。
普段は幸せだ、と思い込んでいても。
実は満足していないんだ…っていう真実を垣間見た瞬間、そのギャップに疲れを感じる。


昔日記にも書いたけど、一人ぼっちでいるより、
気の合わない人と無理やり一緒にいるほうが、
余計に孤独を感じるんじゃないかな、と。


「幸せ」ってならなきゃいけないものなの?という疑問を常に抱えていたけど、答えが出た感じがする。



・「幸福でありたい症候群」
「私は幸せ」という人は、他人にも幸せと思われたい。

相対的な幸せとは見栄も含まれているんじゃないかなぁ…と日ごろの自分の考えと見事に合致。笑



・「日常の小さなことにも目を向ければ、幸せは必ずあるはずよ」のような、マジョリティの「悪意なき」感受性の押し付けについてもこの本でも書かれている。



・恋をしたての頃って、やたらふわふわして満たされた気分になる。こういう「幸せ」って感じるのは、真理を追究するセンサー(?)が鈍感になっている状態だから。

恋をすると脳内麻薬が出るって聞いていたから、納得。
…まぁかくいう私も、いざとなれば人の5倍くらいは脳内麻薬が出ますけどww

幸せって結局、自分の感情をどれだけコントロールするか、なのかな。


この本全部には共感できないし、とてもここまで割り切れないわー、というのも正直思った。
ただここまで、いわゆる「ネガティブ」系の考え方が書いてあっても、不思議と後味いいんだよね。
自分でももやもや感じていたけどうまくあらわせなかったことを、すっきり言語化してくれるからかな。

哲学者の言葉をたまに引用してはいるけど、
専門用語を極力使わないようにしているし、
一般論のあとにいくつも具体例を述べてくれるからわかりやすい。

中島義道さんの本は好きだけど、その中でも1,2位を争うほど、自分の中でしっくりと来た本。
私がよく幸せについて本気出して考えていること(笑)と、かなり似ていた!!

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

人は真実から目を背けている。
「幸せ」など存在しない。
「幸せ」を求める事とは、現実から逃避する事かもしれない。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

「人は幸福になんかなれない。自分が幸福だと語る人は、現実を直視しておらず、幸福であると錯覚してあるだけである」と断固主張する。これだけを読むと気違いのひねくれものだと思ってしまいそうですが、著者は立派な哲学者であり、哲学的に、そして論理的に書いているから読んでいると「なるほど」と思いますよ。おもしろ...続きを読むい。

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Posted by ブクログ 2021年06月04日

この種のテーマコミュニティは居心地がいい。徹頭徹尾、ブレなく繰り返される論理(ちょっとくどい)。まあ最終的には平坦なのであるが...。
マジョリティが読み「まあそういう考え方もあるよね」と承認される程度には成熟した社会だと思いたい。
PHPが出す逆説(笑)

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Posted by ブクログ 2015年06月05日

幸福アピールする人や幸福ばっかり考える人は、実は幸福の中にいるのではなく、不幸や不安から逃げ出そうとしているだけ。かといって、不幸と向き合ってしまって解決策があるか、逃れられるかといえば、そうでもない。
やはり幸福というのは求めるものでもない。
本当は、幸福も不幸も相対的な感覚で実体はないのかも。
...続きを読む幸福も不幸も分離されるものではなくて、心の中に絡みついて天気のように入れ替わる。
ある時は、神に愛された確信や良き出会いの幸福を噛みしめるが、現実に悪い意味をつけていくことで自ら不幸を作り出してしまっている時もある。
不幸というのは、「嫌だ」と思う脳の働きにしか過ぎない。

不幸の正体を見極めることで、不幸ってそんなものでしかなくなる。
そして、幸福という幻想も、受け入れて、幸福や不幸よりもより深い生の領域に生きることが肝要だと知る。
人生の目的は幸福ではなくて、幸福というのは影のようにしてついてくるオマケみたいなもの。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年05月12日

相変わらずひとつのテーゼに持論、偏見、数々の(かなりこじつけや雑な扱いもあるのだが)引用をくっつけて、こねて、ちぎって見せるけど、最初の一ページ、いや目次に記してあるたった一行からいささかも変化はない。今回は「どうしたって不幸なんだからわかって生きてそして(以降は通底しているな)やっぱり人は必ず死ぬ...続きを読む」ということ。この先生に嫌悪感を抱くのはもっともだが、ロジックビルディングがやけに面白いことを脇においてはいけない。こんなに面白い老人ボヤキはそうはないのだから。

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Posted by ブクログ 2013年10月31日

自分が幸福な者だという錯覚だけを支持する人でないならば、読む価値のあるものである。

筆者の、不幸を身に染み込ませる考えを完全に受け入れることは難しい。
だが、同意できる部分が多分にあることもたしかである。

死は絶対的不幸であり、人は死ぬ。

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Posted by ブクログ 2011年05月16日

幸福のための条件を
①自分の特定の欲望がかなえられていること
②自分の一般的信念にかなっていること
③その欲望が世間から承認されていること
④その欲望の実現に関して、他人を不幸に陥れない(傷つけない、苦しめない)こと
と置き、歴史的な幸福論ではこれらの諸条件を満たすことができないことを述べた上で、最...続きを読む後は絶対的不幸である『死』について考察した本。

条件④に関しては、他人を不幸に陥れないことのくくりを追求しすぎていて、若干やりすぎで現実とかい離しているのではないかと思った。しかし、変わる線引きとその正当性も、今の自分に出せないのが現実である。

ただ、こういった不幸論を乗り越えるような、幸福論があってほしい、創りたいでなければ、なんかさみしい気持ちにかられてしまうと思った。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

「幸福」という言葉はあまり好きではありません。
なんだかうそ臭いし、
どこかしらつくりものめいた雰囲気がするから。
同じような思考を持った人にはぴったりの本です。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

『「幸せになろうね」「私はほんとうに幸せ者です」……。世に蔓延する「幸福でありたい症候群」。だがその幸福感は、他人の不幸や「死」の存在を「知らないこと」「見ないこと」で支えられている。』

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

読後になぜか笑いがこみ上げてきた一冊。
題名から察するようにしあわせになる為の言葉は
一切出てこないので極限に自分を落としたい時には
いいのかもしれない。
ことごとく幸福というモノを否定している。
滅多刺し!!!ぐらいの勢いで。


外的にはエピクロスであるが内的には
ストアちっくなところが自分には...続きを読むあり、
その矛盾の中に陥れなから中間地点を生きる。
絶望するまでに暴力的な自己愛の淵にたたずみながら
全力暇をつぶす決意を改めて確固たるものにしてくれた。
とりあえず、全裸で血まみれになりながら息をしてみる。
ラリってしまわないように。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

通常とは異なる視点から「幸福」を論じているので、なるほどこういう考え方もありだな、なんてことを考えながら読むのがベストのように思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月17日

こういう本が出されてるってことは、世間一般ではそうでないのか?と思った本でした。
幸せそうに見える人も他人に不幸を見せないようにしてるだけかもしれないし、人にはそれぞれその人だけの不幸があるものだし、「人類皆平等」って言われても「そんなん”生まれたら必ず死ぬ“くらいしか同じとこない…」って思ってしま...続きを読むう質で平安時代の「無常」「憂き世」にシンパシーを感じる身としては「不幸論」は新しい提案ではないけれど、でもここまで徹底的に自らを幸福でないようにしようとする著者の姿勢は凄いです。
不幸のかたちがそのひとをかたちづくる。歪んだり立ち直れなくなって人生終わらせるほどの不幸は無くてよいけど、薄っすら不幸は生きていける。もちろん「いつか必ず死ぬ」も。
中島先生、かなり偏屈で面白かったです。著書読むと先生のこと好きな人と嫌いな人がスパッと分かれそうで、「好きでも嫌いでもない」って人は居ないだろうな。
(必ず死ぬと思っておきながらその生き方かよ…というツッコミからは目を逸らしながらなので、自分の不幸を見つめ直します)

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Posted by ブクログ 2018年08月11日

理解できる部分と理解できない部分が同じくらいあり難しい本だと思った。人は決して幸福になれないというのはただのニヒリズムではなくニーチェ的な能動的なニヒリズムを意味しているものだということは分かった。また世の中には幸福というもので真実を隠匿しそれを見ようとしないというのは実際そうだと思った。かなり難し...続きを読むいのでもう少し考えてみたい

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Posted by ブクログ 2014年02月17日

とても刺激的な本である。一言で言うなら、人間はどうやっても不幸なんだってこと。幸福とは、思考停止であり、錯覚であるということだ。そして幸福であることを求めるのではなく、不幸であることを受け入れ、自らを知ることの大切さを説く。僕には、とても説得力のある正論に感じた。

やや自嘲的に感じる作者の文章は...続きを読む、好みが分かれるようにも思う。またぬるま湯のような当たりのいいだけの人生論とはー線を引いているので、反感に近い感情を持つ人もいるだろうなと思う。しかし、「人は自分の見たいものだけを見る」生き物であり、そういうものを選び集めておいて「ほら、みんなそうだ」と納得したがる生き物なのである。こういうガツンと目を覚まさせてくれる薬は必要だ。

そもそも、哲学ってものはこうやって冷酷に真理を追いつめていかなければつまらないもので、僕はこの本の中に、ものすごく力強いものを感じる。強い風に逆らって突き進むようなものを感じる。風を観測するだけの人ではないと感じる。だから、この本に書いてあることは確かにその通りだろうと納得してしまう。表面的に感じる違和感のようなものを越える力があるからだ。

それでもなお僕の中には、人が生きていくには、錯覚や思考停止も必要なんじゃないかって思う部分がある。作者には怒られるかもしれないけど、僕には作者のように、人生の理不尽から目をそらさず、不幸を受けいれ続けるパワーはない。自分もそこそこ幸福だって「錯覚」しつつ、それに甘えそうになった時、はっと気づいて自らを戒めるくらいでいい。

ただちょっと思い通りにいかないくらいで、自分は不幸なんだって周囲にあたっちゃいそうな今の僕に、ぴったりの苦い薬だった。

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Posted by ブクログ 2013年03月10日

ぶっ飛んでる中島さんの話が新書で読める幸せ。

ぶっ飛んでいながらも、権威もあるからだろうけど。

中島さんの本を読むと安心する。

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Posted by ブクログ 2011年01月11日

幸福でありたい症候群の人がほとんどだが人が幸福になる事は決して無い。そう思い込んでいるだけである。本当の自分自身をしりたければ幸福であると偽らず不幸である事を自覚する事だと筆者は述べる。
幸福になるためにはどうすれば良いかについて書かれた本はいくつもあるが不幸であれと書かれたのはこの本ぐらいではない...続きを読むだろうか。
こんな考え方もあるのかと感心すると同時に筆者を寂しい人だと思った。

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Posted by ブクログ 2010年05月29日

[ 内容 ]
「幸せになろうね」「私はほんとうに幸せ者です」…。
世に蔓延する「幸福でありたい症候群」。
だがその幸福感は、他人の不幸や「死」の存在を「知らないこと」「見ないこと」で支えられている。
著者は、長年の哲学的考察のはてに―どんな人生も不幸である―という結論に辿りつく。
この「真実」を自覚...続きを読むし自分固有の不幸と向きあうほうが、「よく生きる」ことになるのではないか。
古今東西溢れる「幸福論」とその信者たちの自己欺瞞を鋭く指摘した上で、そう提案する。
だれも書かなかった、「不幸論」の誕生。

[ 目次 ]
第1章 幸福のための条件
第2章 さまざまな幸福論
第3章 幸福がもたらす害悪
第4章 相対的不幸の諸相
第5章 「死」という絶対的不幸
第6章 自分自身の不幸を生きる

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2014年02月19日

「人は勝手にこの世に放り込まれた上、もうじき死んでいく」という理不尽な構図を直視する限り、幸せは有り得ない。世のみんなのいう幸せは全て幻影だという主張。
主張そのものはともかくとして、常識に真っ向から挑む姿勢が読んでいて楽しい。なお、この本は私にとって逆説的に非常に役立った。「世の中の幸せは全て思い...続きを読む込みにすぎない」なら、「人は思い込みで幸せになれる」ということ。ポジティブシンキングで人間は生きていけるというわけだ。

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