倉阪鬼一郎のレビュー一覧
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世界最短の詩文学・俳句は同時に世界最恐の文芸形式でもあります。日常を侵犯・異化するなにか、未知なるものとの遭遇、人間性そのもの…作品の中心にある怖さはそれぞれですが、どれも短いがゆえに言葉が心の深く暗い部分にまで響きます。一句二句、暗唱して秘められた世界に浸ってみてください。不思議なことに、そこはかとない恐怖がやがてある種の感動へと変わるはずです。数々のホラー小説を手がけ、また俳人でもある著者が、芭蕉から現代までたどった傑作アンソロジー。(裏表紙)
基本的には575の17文字なんだから、確かに「世界最短だわな」と改めて思う。
とはいえ、17文字の世界のなんと広いことか。テーマの「怖い」一つと -
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かつて『怖い俳句』で「俳句が世界最恐の文芸形式だ」と書いた。なのに俳句より怖さで劣る『怖い短歌』を編むのかという声が聞こえる。たしかに瞬間、思わずぞくっとする感じでは俳句にかなわないかもしれないが、言葉数が多くより構築的な短歌ならではの怖さが如実にある。総収録短歌593首(見出しの短歌136首)を、「怖ろしい風景」「向こうから来るもの」「死の影」「変容する世界」「日常に潜むもの」など9つの章で構成し、「怖さ」という見えない塔をぐるぐると逍遥【ルビ:しようよう】(そぞろ歩き)するかのような奇想の著。(裏表紙)
様々な「怖さ」に焦点を当てた短歌集。
『恐ろしい風景』『負の情念』など、9つのテーマ -
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短歌というと、俵万智の、
<「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日>
のような爽やかな、そして少し甘いイメージのもの、あるいは、百人一首に出てくるような、恋や情景を歌ったようなものだと思っていた。
一方で、悲しみや、恐れを抱くものとして、寺山修司の
<マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや>
に代表されるものや、斎藤茂吉の喉紅きつばくらめ〜といったものをイメージしていた。
石川啄木に至っては、故郷の訛なつかし停車場の〜といった東北人らしい情景を描く詩人だと思っていたら......。
<どんよりと
くもれる空を見てゐしに
人を殺したくなりにけるかな>(34 -
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物語の歴史背景が楽しみ。
人間関係の丁寧な描き方に加えて、その裏の歴史的背景を楽しませてもらっています。外来野菜がどんな風に料理に取り入れられていったかも興味深いものがあります。
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購入済み
そうきたか
不思議な味わいで面白く読んでいます。
今回の、太古からの悪しき神、ひょっとしてと思いつつ、神の名を絶叫する場面でにやり。
ルビもふってないし、個人に任されているようですが、クツゥルーと来ましたか。存在描写がそのものだったので予感はしてたのですが。
江戸にクツゥルー神を降臨させた本は初めて読みました。
私の読み方が合っていれば、の話ですけど。 -
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倉阪鬼一郎 著「あまから春秋」、若さま影成敗№6、2015.12発行です。団子坂に「あまから屋」があります。主は湯島「田楽屋」で八十八に修業した旗本三男坊の飛川角乃進、おかみは同じく湯島「田楽屋」の隣「湯屋」の看板娘おみつ、内縁の妻として所帯を持ち仲良く暮らしている。角乃進は料理はそこそこ、でも剣も将棋も天下無双、さらに、実の父親は時の将軍、徳川家斉。角乃進は出自について、おみつに隠し続けてきたが、最後の峠を無事に越すことができるのか~~~!「おれの父は・・・、上様だ」「将軍 家斉だ」
倉阪鬼一郎さんの若さまシリーズ№7「あまから春秋(若さま影成敗)」2015.12発行です。将軍徳川家斉の落胤